スタッフの雇用・育成成功事例

【第3回】 教育

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スタッフの「教える力」をいかし、院内のレベルアップを実現

教育する際のポイント
(1) 主任に一任することで新規入職スタッフだけではなく主任も育つ
(2) スタッフ同士で学び合える環境を構築

1995年に開業した医療法人社団つじむら歯科医院では、新規入職スタッフに対し3か月間の研修期間を設けている。歯科医師や歯科衛生士、メディカルコーディネーターなど職種ごとの主任が、同院独自の研修カリキュラムに則って新人の教育をおこなう。
たとえば、新入スタッフが患者の歯を削るたびに主任がチェックし、指導やフォローをする。研修の進捗状況に合わせて、どの患者を担当するかを決めるため、同じ症例ばかりを診ることもなく、幅広い症例の患者を経験することができる。
加えて、レポートの提出も課している。新入スタッフは課題本を読み、1~2週間かけてレポートにまとめる。提出されたレポートをもとに主任は当スタッフに口頭試問をおこない、知識面などであやふやな箇所があれば、再度勉強するように指導する。それを踏まえて当スタッフはレポートを修正して再提出し、主任がチェックした後、辻村傑総院長が最終確認をするという流れだ。


教え方などについては、基本的に主任に一任している。
「権限移譲が苦手な経営者がいますが、我慢して任せることが大切です。はじめは、任せた仕事のうち3割しかできないかもしれませんが、できたところをほめる。次は4割できるようになるので、できるようになったところをほめます。それを繰り返すことでスタッフは育っていきます」と、辻村総院長は意図を話す。こうした取り組みの結果、きちんと新人教育ができる主任が育っているという。

また、同院の業務フローなどのマニュアルは早くから冊子としてまとめられていたが、変更点や追加事項があっても書き込みにくいという制約があった。そこで、4年前(取材当時)に部署ごとに半年ほどかけてマニュアルを作成し直し、院内のパソコン上に保存し、用意にチェック・更新できるようになっている。仕事をするうえで不明点があれば、先輩スタッフに聞く前にこのマニュアルなどをもとに自分で調べ、それでもわからなかった場合は質問するという仕組みを構築したことで、教える側の負担も軽減した。
ミーティングなどで業務フローの見直しをおこなった場合は、そのミーティングの議長を務めたスタッフがマニュアルを修正・更新する。作成した当時に比べ、よりわかりやすく中身の濃いマニュアルになっているという。

同院では、スタッフ同士が学び合うことができるような教育環境づくりにも力を入れている。その一つは、スタッフ採用の面で工夫をこらしていることだ。歯科業界での経験が豊富な人よりも、栄養士やホームヘルパー2級といった資格取得者など、多様なバックグラウンドを持つ人を積極的に採用。院内勉強会などをとおして、多職種のスキルや経験を院内で共有することで、全体のレベルアップにつなげている。

同院では年に1回、1日がかりで症例検討会を開催。全スタッフが1人ずつ15~20分かけて発表をおこなう。たとえば、ホームヘルパー2級の資格を持っているスタッフの場合は、車いすの患者への対応方法など、介護の観点から業務の改善について発表する。そのため、半年ほど前から症例やデータを集める必要があり、スタッフは普段から問題意識を持って仕事に取り組むようになる。歯科職種とは異なる視点での発表は、さまざまな改善のヒントをもたらしてくれるという。

また、毎週1回2時間ほどかけてミーティングをおこなっており、そこでも各スタッフが改善点を提案する。「新しいやり方を取り入れればサービスの質があがりますし、仕事の効率化も図れます。当院は以前、午後8時まで診察していましたが、効率化などで現在は午後6時に終わります。新しいことにチャレンジして結果が出ればスタッフにもメリットがあるので、積極的にやってみようという考えが院内に浸透しています」と、辻村総院長は話す。 
もちろん、ほかの分野での経験が豊富なスタッフを採用すると、歯科業界で働くのは初めてということもある。その場合は、入職後1~2年は受付業務や辻村総院長のアシスタントなどを担当させ、歯科の知識を身につけさせるようにしている。

【出典】
『クリニックばんぶう』2014年3月号
【取材先】
医療法人社団つじむら歯科医院(神奈川県伊勢原市)

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第5章
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第6章
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第7章
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