スタッフの雇用・育成成功事例

【第1回】 人材募集

>>一覧はこちら

等身大の姿を伝える特設サイトで スタッフ募集に奏功

募集する際のポイント
(1) 背伸びせずに等身大の姿を伝える
(2) Uターン・Iターン人材を集める

「在宅医療専門の診療所におけるホームページ作成の狙いは、患者さん集めよりも人材募集に重点が置かれています」。こう話すのは、医療法人かがやき総合在宅医療クリニック(岐阜県羽鳥郡岐南町)の市橋亮一院長だ。同院がホームページを作成したのは、開業直前の2009年1月。これは集患を目的としたものではなかった。

「当院の患者さんは平均70代で、ケアマネジャーや病院からの紹介、口コミが中心です。ホームページについては患者さんのお子さん世代が、どんな診療所なのかを確認するために閲覧することがたまにあるくらいです」と、市橋院長は説明する。そのため、患者の家族が安心できるように、同院の概要などを掲載するにとどめた。

その後患者数が増え、医師や看護師などのスタッフが必要となったため、翌10年に同院のホームページに人材募集を目的とした特設サイト「採用情報サイト」を開設した(現在は、同院のホームページ内に情報を表示)。
ホームページを開設するにあたっては、次のことに留意した。


1つ目は「自分たちの姿を正直に伝えること」だ。
「『類は友を呼ぶ』というように、当院の考え方や実際の仕事内容を正直に掲載すれば、自然に自院に合った人材が応募してくれるだろうと考えました」
そこで採用情報サイトには、市橋院長のインタビューや、非常勤医やケアマネジャー、看護師などによる対談などを載せ、同院の特徴や在宅医療に対する考え方などを掲載した。

もちろん、プラス面だけではなく、在宅医療では「総合内科医として仕事をするのです。裏を返せば、一つの病気・疾患に対する専門能力は低くなります」と、マイナス面にも言及。応募者の持つ在宅医療のイメージと実際の仕事の間にズレが生じないようにしている。

2つ目は「Uターン人材・Iターン人材を集めること」だ。
同院がある岐阜県南部の岐南町は、JR名古屋駅から電車で20分という地の利に恵まれている。市橋院長自身、大都市ではなく、自然が身近にあり都会の良さも併せ持つ中規模都市で子育てをしたいと考えて、同地で開業した。そうした人材を集めるため、オンコールの回数や長期休みの取得状況などの情報、勉強会や研修会への参加状況などを掲載。プライベートの時間を確保しつつ、医療に関する最新の情報も学べる環境であることを伝えるようにした。

ホームページの作成は近隣の制作会社に依頼し、ディスカッションを重ね、半年かけてつくった。開業当初は、自院の様子が伝わるような写真がなかったため、イラストを掲載していたが、開業から1年以上が経ち、スタッフやイベントなどの写真がたまってきたことで、採用情報サイトには写真を多く掲載。勤務医のなかには在宅医療専門の診療所での働き方をイメージできない人も多いので、動画も掲載した。これらを通じて、同院の等身大の姿を伝えることができたという。

ホームページからエントリーができるようにし、見学を希望する人には、1日かけて訪問診療に同行してもらった。
「在宅医療に関心があっても、実際の仕事内容を知らない人もいるので、ミスマッチを防ぐためです。同行してもらうと、つまらなさそうな表情を見せる人もおり、合否を判断するのにも役立ちました」

その結果、常勤医1人、非常勤医2人、看護師5人を採用することができた。どのスタッフもホームページだけではなく、口コミや市橋院長の講演会をきっかけとして同院を知ったものの、ホームページの情報が応募の決め手となったという。

同院では学生のインターンシップの受け入れもおこなっている。教育学部など、医療とは直接関係がない学部の学生でも意欲があれば受け入れ、半年間働いてもらう。
「当院は『在宅医療の文化の確立』を使命としているので、こうしたインターンシップの受け入れは未来への種まきになると考えています」と、市橋院長は説明する。
インターンシップ生の様子は、同院のフェイスブックなどをとおして、外部にも伝わるようになっている。

最後に市橋院長は、人材募集におけるホームページの重要性についてこう語る。
「一流企業では高額のコストをかけて人材を採用しますが、医療業界は比較的簡単に採用しています。よい人材を採れるかどうかは、診療所の明暗を分けます。開業当初は、身近な知り合いを採用したほうがいいかもしれませんが、さまざまな能力のある人を集めるのであれば、ホームページを充実させることが重要です」

【出典】
『クリニックばんぶう』2014年3月号
【取材先】
医療法人かがやき総合在宅医療クリニック(岐阜県羽鳥郡岐南町)

新刊紹介 『医療経営データ集2015』

『医療経営データ集2015』

医療・介護経営の羅針盤とのある最新の統計データが満載!

【目次】
巻頭特集1
2015年版医療経営データの全体像
経営動向の概略、地域の医療提供体制
巻頭特集2
地域医療構想等の動向と医業経費特別分析
第1章
医療を取り巻く環境の現状分析・・・施設動向、経営動向
第2章
病院経営に関する現状分析・・・運営費、医師・看護師確保 等
第3章
病院経営に関するトピックス・・・患者数推移、在宅医療 他

■監修・編集 : 日本政策投資銀行/日本経済研究所
■体裁 : A4判・並製、2色刷り、256ページ
■本体価格 : 2,800円+税
■詳細はこちら

新刊紹介 『医療・介護改革の深層』

『医療・介護改革の深層』

日本の社会保障制度を守るための提言書。業界の未来を予測し、来るべき危機を回避。

【本書の要点】
  • ○都道府県による地域間競争時代が到来!
  • ○政権が取り組むべき次なる課題とは?
  • ○社会福祉法人の実像と、社会福祉法改正のポイント
  • ○地域医療連携推進法人制度を巡る10の論点
  • ○ “日本のピッツバーグ” を目指すための6つの条件

■著者 : 松山 幸弘(キヤノングローバル戦略研究所研究主幹 経済学博士)
■体裁 : 四六判/240ページ予定
■本体価格 : 2,500円+税
■詳細はこちら

記事提供

株式会社日本医療企画

株式会社日本医療企画
〒101-0033 東京都千代田区神田岩本町 4-14 神田平成ビル
【トピックス】
・開業医や開業志向勤務医をサポートする最新クリニック総合情報誌
『クリニックばんぶう』