1. 今後のキャリアに関係する?いまさら聞けない「病床再編」(1/3)

今後のキャリアに関係する?いまさら聞けない「病床再編」(1/3)

「病床再編」って聞いたことあるけれど…
医療費削減に向けた政策として2012年2月に閣議決定された「病床再編」。2025年に向け、医療提供体制を見直すこの政策は、医師にとっても患者さんにとっても大きな転換期になると言われています。
しかし、「病床再編」とはどのようなものなのか、誰にどんな影響があるのか、あまり認知されていないのが実情かもしれません。「病床再編」という言葉は耳にしたことがあるけれど、この政策が進むとどうなるのか、疑問を抱いている医師も多いと思います。
今回は、現場で働く医師に「病床再編」に関しての疑問質問をヒアリングし、それについて回答していきます。

「病床再編」とはどんな政策?

75歳以上の後期高齢者が増え、医療費がどんどん膨れ上がってしまったことが問題となっています。「7対1看護体制(以下、「7対1」)」とは患者さん7人に対して看護師1人が常時勤務するシステムのことを指しますが、この体制が一番診療点数(診療報酬)が高いため、病院経営者としては「7対1」の病院を作りたいと考えます。しかし、「7対1」の病院が増えすぎたため、医療費が膨れ上がってしまったのです。現在、医療費は40兆円を超えたと言われています。
診療点数の高い「7対1」の病院は、現在約36万病床あると言われています。その36万の病床をそれぞれ役割毎に分けることで、医療費がかさむ原因となっている「7対1」の病床を減らしたいと厚生労働省は考えています。

例えば、大学病院のような高度急性期の患者さんだけを受け入れる病院、地域に密着した緊急治療に対応できる急性期の病院、リハビリなどを受け持つ回復期に対応する病院、長期療養に対応できる病院、と患者さんの状況に合わせて病院を転院するシステムを構築させたいのです。

しかし、長期療養に対応できる病院など、看護師さんの数が少なくて済む病院の場合は診療報酬が少なく収入が減ってしまうので、病院としてはどうしても病床を「7対1」にすることに固執してしまいます。また、急性期の患者さんを治療したいと考える医師も多いため、「7対1」の病院での勤務を希望する医師が多く、体制のバランスが保てないことも問題の一つとなっています。
「7対1」の病院であると申告している病院であっても、実際に患者さん7人に対して看護師1人の体制ではない病院も多いと言われており、「7対1」病院が本来果たすべき「具合の悪い患者さんを治療する」という機能が果たせていないのではないか、という点も議題となっています。

一般病棟入院基本料等の病床数出典:厚生労働省 中央社会保険医療協議会 総会(第260回)

ポイント
  • 医療費の増加を懸念した厚生労働省が、点数の高い「7対1」体制にメスを入れた=「病床再編」
  • 病院側は、診療報酬の高い「7対1」体制を守ろうとしている
  • 上記2点から、本来の「具合の悪い患者さんを治療する」という機能が果たせていない可能性も…