1. より多くの収入を得たい

転職の主な原因となる6つの理由

(5) 人間関係に疲れてしまった

医師の世界に限らず、「人間関係の悩み」は、転職理由の上位にランクインしています。医師の場合には、どのような人間関係トラブルが負担になっているのでしょう。

この記事では、医師の人間関係に関する調査や「人間関係に疲れてしまった」ために転職した/転職を検討している医師の声をまとめ、その内容について解説します。

医師だからこそ辛い……
転職理由になり得る、上司や看護師との人間関係

弊社が実施した「医師のメンタルヘルスに関するアンケート調査」によると、「普段、ストレスを感じていますか?」という質問に対して、76%が「はい」と回答しています。つまり医師の3/4は、ストレスを抱えながら仕事をしていることになります。

その理由として、「医療スタッフ(看護師など)との人間関係・つきあい(41%)」と「上司との人間関係・つきあい(40%)」が特に選択された項目でした。他の回答比べて2倍以上選択されており、職務上立場の違う人との人間関係に、多くの医師がストレスを感じているのです。

現役医師4人に対してアンケートをおこなった「院内の人間関係によるトラブル調査」でも、「医師同士の微妙な人間関係」「看護師とのコミュニケーション」などで、トラブルに発展したというエピソードがあげられています。みなさんにも、共感できるものがあるのではないでしょうか。

もともと、医師の世界は上下関係が厳しい場所。ただでさえ上司や先輩医師に気をつかわなければならないうえ、他職種との関りで少しでも厳しい口調や態度を見せてしまうと、たちまち「パワハラ」と言われかねない時代です。

転職した/転職したい「人間関係に疲れてしまった」

「30万の給料差や手術執刀数、同期との差に虚無感」

年齢 29
性別 男性
専門科目 眼科
専門医/資格 未取得
役職 医局員
所属 大学病院
年収 現在:900万
転職回数 0

私の職場には、自分が気に入った医師だけを優遇する教授がいて悩まされています。特定の医師だけ、条件や待遇の良いアルバイト先に勤務させるのです。

気に入られている医師と私は入局3年目の同期ですが、私とその医師の月給の差が30万ありました。これを知ったときは、ショックでした。この件を認識している同僚もいますが、指摘できる医師は誰もいません。

また、白内障やトラベクロトミーなど、3年目でも担当できそうな症例は、全てその医師のところに回り、私の担当は手術がないような症例か、手術があってもベテランしか担当できず、助手に回るしかないような症例ばかり。「手技スキルが上がらないのでは?」と不安になってしまいます。

教授が気に入った医師への優遇やひいきが今後も続くことは明らかです。昇進や昇格にも影響がありそうですが、いまは大学病院を離れるわけにもいかず、本当に悩んでいます。

「転職しなければわからなかった『ストレスの無い人間関係』」

年齢 30
性別 男性
専門科目 内科
専門医/資格 未取得
役職 医員
所属 市中病院
年収 前職:800万 → 現在:1,000万
転職回数 1

以前勤めていた職場では、人目につくところで陰口をたたいたり、カンファレンス中に他科の医師の悪口を言ったりする方がいました。

確かに他科の医師が不適切な対診をしたり、無理な理由で他の診療科に患者を任せることは、日常的にありましたが、それを差し引いても聞くに堪えない発言が多々ありました。

初期対応した若手医師を見つけては、「彼は無能だから、○○科にしかなれないだろう」と人格攻撃が展開されるのが常。私が可愛がっていた後輩も目をつけられ、その後輩から「僕は、医師をやめたほうがいいのでしょうか」と、相談を持ち掛けられたこともありました。

先輩医師としてなにかできればよかったのですが、その医師に目をつけられるのが怖くてなにもできず。とても情けない気持ちになりました。

逆に自分が話し相手として捕まると、あっという間に時間が溶けていきます。しかし当時は、そういう医師がいるのも仕方ないものと思っていて。医療現場はこれが普通なのだと諦めていたのです。

その後、転職支援サイトのエージェントを通じて転職。次の職場でもある程度は仕方ないかなと覚悟していたのですが、そういった医師に会うことは一切ありませんでした。逆にいまの職場ではお互いを尊重し合う風潮があり、日々の業務に従事できています。

病院の風潮などもあると思うので一概には言えませんが、合わない医師がいれば上手に距離を取る、これを肝に銘じ業務にあたっています。

「悩んだ時間を勉強に充てていれば…」

年齢 48
性別 男性
専門科目 内科
専門医/資格 日本内科学会認定 総合内科専門医
役職 院長
所属 クリニック
年収 前職:1,800万 → 現在:2,000万
転職回数 4

私が20代のころ勤務していた救急病院は、医師や看護師が足りず、常に業務の押し付け合いのようなことが起きていました。
経営陣に受入れ可能な許容量を超えていると抗議する医師もいましたが、ERに救急車を断る権限が与えられておらず、医師も看護師も疲弊している状況でした。

そんな現場ですから、当然人間関係もぎくしゃくしており、当時未熟で若かった私は、上司や看護師の標的になっていました。

看護師に、「○○先生(上司)に聞いていただけませんか?」と返そうものなら、その後○○先生に「なんでこんなこともできないんだ」と怒鳴られる始末。

パワハラという言葉がなかった時代で、なにをやっても怒鳴られ、病院に行くのが嫌で仕方ありませんでした。悩み苦しみながらも、医局を辞めたばかりで転職先もなく5年間そこで辛抱しました。

その後、友人のコネで転職しましたが、今となっては人間関係に思い悩んでいる時間を、もっと有効に使えていればよかったと後悔しています。

転職するほうが賢明な場合も……人間関係が仕事に及ぼす影響

たかが人間関係と思われる方もいるかもしれませんが、院内で人間関係のトラブルがあると、結果として患者さんにまで影響が及びます。

院内の人間関係による「空気感」というのは、長年かけて作られてきたものであり、すぐに変えるのは難しいものです。

自分の努力ではどうしようもない、どう対応していいかわからないといったことが続くと、「いくらやっても無駄」と、学習性無力感に陥ることも。そして、気になることが増えれば増えるほど、診療に対するモチベーションが下がってしまいます。

環境を変えようとする努力が必要な場合もありますが、自分自身が新たな環境に進むほうが効率的な場合も少なくありません。

人間関係と聞いて複雑な思いをお持ちなのであれば、他の医師の体験談を参考に「自分の置かれている環境が、客観的にどう見えるか」「同じようなトラブルを経験した人は、どのように乗り越えたのか」。こういった情報を探してみるのもひとつ。
「病院」は、他職種が密に絡み合い、業務の特性上閉鎖的であるというかなり特殊な空間です。第三者が介入しにくい場所だからこそ、自ら外の世界にアンテナを伸ばしていかないといけないのかもしれません。

転職する、しないに関わらず、現状を客観的にとらえ、どういった環境であれば自身がよりよい状態で働けるのか、ゆっくりと考えてみてはいかがでしょう。