- 開業医が多いのが特徴、長期の人生設計とともに選択を
- 耳・鼻・咽頭・喉頭・気管・食道から頭頸部におけるさまざまな疾患を扱う耳鼻咽喉科。中耳炎・外耳炎・扁桃炎・副鼻腔炎といった日常的な疾患から、甲状腺ガン・咽頭ガン・舌ガンのような腫瘍、さらには花粉症に代表されるアレルギー性鼻炎まで、扱う疾患はもちろん、患者年齢も新生児から高齢者までと幅広いため、手術を必要としない日常的な疾患を対象とした地域の診療所・クリニックなども増えてきています。
日本耳鼻咽喉科学会の医師年齢構成(平成25年調査)によると、病院勤務医の場合、35~39歳をピークに歳を重ねるごとに減少し、60歳代以降になると数えるほどしかいません。その半面、診療所勤務医は40歳以降で急増し、50歳代がもっとも多く、70~80歳でも1,000人近い医師が働き続けているという現状です。
このデータから、若いうちは病院に勤務し、その後、診療所などを開業する医師が多いことが見受けられますが、良性疾患・悪性腫瘍などの手術は小規模施設では対応できないため、病院での臨床を続ける医師も少なくありません。将来、どの道に進むのか、慎重に考える必要がありそうです。
耳鼻咽喉科は耳科学、鼻科学、咽頭科学、口腔・喉頭科学などの多くの学問体系に支えられ、耳・鼻・咽喉を診療の対象とした幅広い臨床医学分野です。また聴覚、平衡感覚、嗅覚、味覚など感覚の障害や言語障害などコミュニケーションの障害も扱い、近年はアレルギーに関する研究領域、臨床領域にも大きな広がりをみせています。
総合病院に欠かせない診療科目であり、またクリニックの数も全国的に多いことからさまざまな規模の医療機関からの求人案件が多数集まっています。
厚生労働省の「平成24年(2012年)医師・歯科医師・薬剤師調査の概況」をみると、平成24年末時点で医療施設に従事する耳鼻咽喉科の医師数はおよそ9,090人、このうち約3,640人が病院に勤務し、5,440人ほどが診療所に勤務しています。病院勤務よりも診療所勤務の医師数の方が多い診療科目は内科、皮膚科、眼科、婦人科など非常に限られており、このうち耳鼻咽喉科は眼科に次いで特に診療所勤務の医師数の比率が高い診療科目となっています。
耳鼻咽喉科の診療領域で近年注目が集まっているのが、年々患者数が増加し、全国推定受療患者数がおよそ35,000人もいるとされる突発性難聴と、スギ花粉症に代表される花粉症などのアレルギー疾患でしょう。突発性難聴に関しては病因もまだ解明しておらず、血管拡張薬や副腎皮質ステロイドが使用されるなどさまざまな治療法が試されていますが、いまだに特効的な治療法は確立されておらず、アレルギー疾患に対しても対症療法が治療法の中心となっています。花粉症は日本ではおよそ2,500万~3,000万人が患っていると考えられており、病院やクリニックに通う患者数も増加傾向にあるようです。求人案件をみても総合病院からクリニックまで幅広く募集が行われています。
耳鼻咽喉科の現員医師数は平成22年9月29日時点で3,601人、必要求人医師数は356人で、現員医師数と必要求人医師数の合計は現員医師数の1.10倍です。また、現在は求人を募集していませんが、医療機関が潜在的に必要とする必要非求人医師数を含めた必要医師数は531人です。そして、現員医師数と必要医師数の合計は現員医師数の1.15倍です(厚生労働省 平成22年「病院等における必要医師数実態調査の概要」より)。
耳鼻咽喉科を専門とする医師は減少傾向にあります。また、耳鼻咽喉科は専門性が高い診療科であるため、他科からの転職は少ないのが現状です。ただし、高齢化社会の日本では、加齢に伴い嚥下障害や老人性難聴、悪性腫瘍などの機能障害が増えており、常勤・非常勤ともに耳鼻咽喉科医の需要は高まっています。特に、耳鼻咽喉科医が足りていない地方では、時期を問わず求人の募集がある地域もあり、なかには好待遇の求人も募集されています。
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