- 白内障手術数は年間で約100万件、常勤医師を求める現状が浮き彫りに
- 白内障・緑内障・結膜炎のように一般にも馴染みの深い疾患から、斜視や弱視・色覚異常、網膜剥離、糖尿病性網膜症といった疾患まで、目に関するさまざまな疾患を取り扱う眼科。近年では、コンタクトレンズ使用者の増加、パソコンやゲーム機の普及などによって、ドライアイや眼精疲労といった日常的な疾患を訴える患者が急増しています。
眼科専門医の数は全国に約10,500人(日本眼科学会/平成27年現在)。一見すると多いように思えますが、年間に行われる白内障手術件数は約100万件、緑内障の推計患者数は約400万人、ドライアイ患者数は全国で約800万~2200万人といわれており、この数字だけをみても、全国的な眼科専門医不足の現状が浮き彫りになります。
厚生労働省『必要医師数実態調査』によると、二次医療圏の病院では現員医師数の約23%が短時間勤務や非常勤である半面、求人においては常勤が圧倒的に多いというデータが出ていることから、常勤医師の不足を短時間および非常勤で補っている現状がみてとれます。このことからも、他科に比べて自分のライフスタイルに合わせた働き方を選べる科目といえるでしょう。
眼科は他の診療科目に比べると、際立って診療所に勤務する医師の多い診療科目です。厚生労働省の「平成24年(2012年)医師・歯科医師・薬剤師調査の概況」によれば医療施設に勤務する眼科医総数は約12,840人となっていますが、このうち病院勤務医がおよそ4,690人、診療所勤務医が8,150人ほどとなっています。これは眼科医が診る疾患の多くが入院加療を必要としないこと、専門性が高いため他の診療科目との協働の必要性があまり高くないことなどが挙げられるでしょう。
しかし眼科の場合はクリニックでもかなり大規模な医療機関が多く、100人近い眼科医を抱えるところもあり、盛んに求人活動を行っています。厚生労働省の「医師・歯科医師・薬剤師調査の概況」によれば、平成20年から平成24年の4年間、医療施設に従事する眼科医師数はおよそ12,630人から12,840人ほどへと約1.6%の微増に留まっています。医療施設に従事する全医師数全体の伸び幅(約5.9%増)に比較すると眼科医の増加数は少なく、また平均年齢が48.8歳から50.4歳と1.6歳上昇している(全医師の平均年齢は0.6歳上昇)点からみても、眼科という診療科全体でやや世代交代が沈静化しているように見受けられます。
さて、眼科という診療科で近年大きな注目を浴びたのは、レーシックなどの近視治療に特化した大規模クリニックの増加でしょう。こうしたクリニックは大都市の人口密集部に集中する傾向があり、全国的にみていくと地域密着型である老舗の眼科病院や総合病院の眼科から寄せられる求人数のほうが多数となっています。
また高齢化社会の進捗によって加齢黄斑変性症、白内障、緑内障などの増加が大きな社会問題化しつつあり、老人保健施設や高齢者向け医療機関でもこうした高齢者の眼の疾患に対応できる眼科医を多く必要としています。白内障治療に関しては近年「日帰り手術」の需要が高まっており、こうしたスキルを持つ眼科医を高待遇で迎えたいというクリニックも多く見受けられます。
眼科の現員医師数は平成22年9月29日時点で4,621人、必要求人医師数は451人で、現員医師数と必要求人医師数の合計は現員医師数の1.10倍です。現在は求人募集をしていないものの、医療機関が潜在的に必要としている必要非求人医師数を含めた場合、必要医師数は660人となり、現員医師数と必要医師数の合計は現員医師数の1.14倍にあたります(厚生労働省 平成22年「病院等における必要医師数実態調査の概要」より)。現員医師数に対する必要医師数の倍率(全診療科平均)が同じ1.14倍であることを考慮すれば、眼科医師は依然として需要があり、転職チャンスの多い診療科目といえます。
現在、加齢によって起こる「白内障」「緑内障」「加齢黄斑変性」などの眼疾患が問題となっており、これらを専門にする医師のニーズが高まっています。また角膜屈折矯正手術のレーシックを専門にする病院も多く、眼科医師の需要は尽きません。常勤・非常勤ともに求人募集も活発に行われているので、時期を問わず転職活動できるのも魅力といえます。
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