- 女性医のニーズが増加、設備や症例実績などが検討のカギに
- 前立腺ガンや膀胱ガンなどの重疾患から、前立腺肥大・膀胱炎・尿失禁といった患者のQOLに関わる疾患まで、尿路および生殖器における疾患を対象に、その病状に応じて内科的もしくは外科的アプローチを行う泌尿器科。近年では、膀胱炎や過活動膀胱・腹圧性尿失禁などに悩む女性患者のニーズもあり、女性医師を求める病院も増えてきています。
厚生労働省『必要医師数実態調査』によると、全医師数における泌尿器科医の割合は現員医師数・求人数ともに約3%前後であり、それほど多いとはいえませんが、高齢になるほど罹患率が増える前立腺ガンや排尿障害など、高齢化とともに泌尿器疾患の患者も増加していくことが予想されるため、泌尿器科医のニーズは今後さらに高まっていくことと思われます。
近年では、前立腺全摘の腹腔鏡下手術に「ダヴィンチ」を導入している病院も増えてきていることから、転職によってキャリアやスキルアップを目指す方は、エリアや条件面の他に、その病院の設備や症例実績なども参考にするとよいかもしれません。
厚生労働省「平成24年(2012年)医師・歯科医師・薬剤師調査の概況」によれば、医療施設に従事する泌尿器科医の総数は約6,750人。内訳は病院勤務がおよそ4,970人、診療所勤務が1,780人となっています。
また平均年齢は病院勤務44.8歳、診療所勤務57.9歳。前述の調査から4年前の平成20年の調査ではそれぞれ43.7歳、55.9歳でしたから、病院勤務の泌尿器科医は世代交代がおおむね順調に進み、診療所勤務の泌尿器科医の高齢化がやや気になる数値になっています。このためもあってか、求人案件では比較的若手医師の求人が目立つ傾向にあります。腎臓内科、循環器内科とも密接な関係にある泌尿器科。透析のニーズが高い循環器科、透析専門クリニック、老人保健施設などの求人案件が多数となっています。
透析関連の医師人材ニーズは常に一定以上で求人案件も安定していますが、近年目につくのは老人保健施設の求人です。50歳を境に疾患数が急増するといわれる前立腺肥大、またそれに関連して排尿障害・頻尿など高齢者特有の症状との関係が深いため泌尿器科のベテランを希望する老人保健施設も少なくないようです。
また近年急増傾向にある前立腺がんは、1975年の調査では全国で2,000人あまりであったのに対し、2000年の調査では約23,000人と10倍にも膨れ上がっています。いずれ肺がんに次いでがん死亡患者数の第2位を占めるのではないかという予測もなされています。食生活の欧米化による高タンパク・高脂肪の食事が主たる増加原因と考えられていますが、「進行は遅いが転移しやすい」といわれる前立腺がんの早期発見・早期治療は老人医療の中でも泌尿器科が率先して取り組むべき大きな課題ではないでしょうか。
さらにこの分野では内視鏡下外科手術が長足の進歩を遂げており、整った環境でスキルを磨ける病院も多数あります。
泌尿器科の現員医師数は平成22年9月29日時点で4,790人、必要求人医師数は461人で、現員医師数と必要求人医師数の合計は現員医師数の1.10倍です。また現在は求人を募集していませんが、医療機関が必要とする必要非求人医師数を含めた必要医師数は616人であり、現員医師数と必要医師数の合計は現員医師数の1.13倍です(厚生労働省 平成22年「病院等における必要医師数実態調査の概要」より)。現員医師数に対する必要医師数の倍率(全診療科平均)の1.14倍よりもやや低い数値です。
泌尿器科が扱うのは前立腺がんやぼうこうがんなど、手術を中心にした疾患だけでなく、近年では高齢化の影響によって、前立腺肥大症や過活動膀胱などの薬物療法を中心に行う疾患も増えてきました。泌尿器科の社会的なニーズは高まっており、常勤・非常勤ともに多くの求人が募集されています。
また、「子宮脱」や「骨盤臓器脱」など、女性ならではの疾患も増加しているといえます。泌尿器科の受診に抵抗のある女性は多く、今後は女性医師の就職・転職ニーズが高まるとみてよいでしょう。
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