- 産婦人科との分離が進み、求人数に反映されない潜在ニーズが高まる
- 月経困難症や子宮内膜症、子宮ガンや卵巣ガン、さらには不妊治療から更年期障害まで、幅広い年齢層のおもに女性特有の疾患を診療する婦人科。近年、大学病院や総合病院において、従来の「産婦人科」から「婦人科」を独立させ、産科と小児科(新生児領域)の機能を併せもつ「周産期母子医療センター」に移行する動きが活発化していることから、これまで以上に婦人科の領域が明確になりつつあります。
厚生労働省『必要医師数実態調査』によると、二次医療圏に属する病院では、もともと婦人科と産科を併せた「産婦人科」が多いことから、婦人科単独という意味での現員医師数・求人数はあまり多くありませんが、産婦人科としてみると、現員医師数・求人数ともに多く、全国的に人手不足な現状が見受けられます。また、対象が女性であることから、とくに女性医師の需要が高まっています。
婦人科の領域でも先進医療の研究や臨床が進んでおり、さらには、不妊治療の専門クリニックや思春期・更年期外来を置く施設の増加など、婦人科の領域が明確になるとともに細分化も進んでいるため、転職の際には、自分の得意分野や将来を見据えた選択が必要です。
婦人科は、臨床的には産科で扱う事項を除外した、女性性器の疾患と機能異常を扱う診療科として女性特有の疾病を中心に扱います。婦人科医は産科医・産婦人科医とともにもっとも不足している医師のひとつに数えられ、また婦人科医の全国平均年齢は56.9歳となっており、全診療科中で内科医と並んでもっとも高齢化が進んでいます。分娩の取り扱いを休止している医療機関でも婦人科を存続させているところが多く、求人需要は極めて高い水準となっています。厚生労働省の「がん検診の受診状況」によると、子宮がん検診の受診者は平成19年には24.5%でしたが、平成22年には28.7%、平成25年には32.7%と徐々に高い水準に移行しています。これは乳がん検診についてもほぼ同様の傾向がみられ、乳がんの早期発見のための定期的な乳がん検診とともに、子宮がん・卵巣がん検診も総合的に行う「婦人科検診」が世間に認知されてきたことも大きく影響しているものと思われます。
これに伴い、婦人科医は総合病院・一般病院・産婦人科専門病院以外にも検診センター、検診クリニックなどで多く必要とされるようになりました。
また更年期障害のホルモン治療など閉経後の女性に対する治療・ケアには婦人科医のスキルが欠かせません。このため老人保健施設や高齢者医療施設からの求人も数多くみられます。このように近年は婦人科医の活躍の場や働き方の選択肢が大きく広がりました。
一方、婦人科に特化している病院では腫瘍・子宮筋腫など婦人科手術の中でも専門領域のスキルを問われる場合があります。専門性の高い方はそれに応じた好条件の求人案件を見つけていただくこともできるでしょう。
全般的に産科・産婦人科のない婦人科は比較的働き方の自由度が高い傾向にあり、当直なし、育児支援制度ありなど女性医師にとっても働きやすい職場が多いようです。
婦人科の現員医師数は平成22年9月29日時点で1,084人、必要求人医師数は86人で、現員医師数と必要求人医師数の合計は現員医師数の1.08倍です。また現在は人員募集をしていませんが、医療機関が潜在的に必要とする必要非求人医師数を含めると必要医師数は130人であり、現員医師数と必要医師数の合計は現員医師数の1.12倍です(厚生労働省 平成22年「病院等における必要医師数実態調査の概要」より)。現員医師数に対する必要医師数の倍率(全診療科平均)が1.14倍であることをふまえても、依然として転職チャンスが多い分野といえます。
婦人科は女性のライフサイクルと密接に関係している診療科で、生理不順や排卵障害などの「ホルモン異常」、また子宮体がんや卵巣がんなどの「女性特有の病気」を専門にしています。近年、食生活の欧米化や、女性の社会進出におけるストレス増加などが原因となり、上記のような婦人科疾患にかかる患者が増加しています。全国規模で需要が多く、地方病院だけでなく大病院でも常勤・非常勤問わず求人募集が盛んです。
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