- 他科に比べて労働時間の調整がしやすく、転科先としての検討も
- 臨床医が採取した臓器や組織・細胞・尿・痰などの組織・細胞診断から死因を解明するための病理解剖まで、病名の確定や治療方針の策定に必要な、さまざまな情報を他科の医師に提供する、まさに影の功労者ともいえる病理診断科。
病理専門医の数は全国に約2,200人。日本医師会の『病院における必要医師数調査』によると不足率は約73.5%で、厚生労働省『必要医師数実態調査』をみても、回答した病院(二次医療圏に属する病院のうち約10,000施設)のうち約2割が必要医師数に足りていないという現状にあり、全国的な人手不足が問題視されています。
病理専門医が患者さんと直接会うことはありませんが、他科の医師から治療方針に関する相談を受けたり、カンファレンスに参加したりするなかで医師としての充実感が得られ、また、他科に比べ、自分のペースで仕事を進めることができるため労働時間の調整がききます。子育て中の女性やプライベートの時間を大切にしたい方にとっては、狙い目の科目といえます。
病理科は臨床検査のうち病理診断・細胞診断・剖検を通じて他の診療各科に情報を提供する部門です。病理医は直接患者さんと接触する機会は少ないものの、治療方針の決定から治療効果の判定まで、現代の先端医療に欠かせないきわめて重要な部分を司っています。
また患者さんに対して直接検査を行うのではなく、細胞レベルの生検の組織診断を行うのも病理医の特徴といえるでしょう。免疫組織・細胞学的検査、分子病理学的手法の導入、電子顕微鏡検査など他の臨床医とは異なるスキルを評価され、必要とされる求人案件も多数あります。
病理科医は主に主治医によって行われる臨床検査のうち、特に確定診断を必要とされるがんなどの病気に対して「最終診断」を下すという大きな役割を持っています。
厚生労働省の「医師・歯科医師・薬剤師調査の概況」によると、平成20年に医療機関に従事していた病理科医は約1,370人、そして平成24年はおよそ1,610人。伸び率は16.8%ほどとなっています。病理科を持たない小規模のクリニックや医療機関も少なくありませんが、科学的検査を主体とした幅広い病理診断の専門家として総合病院、専門病院、大規模クリニック、企業や団体への検診を主たる業務としているクリニック、在宅専門クリニック、老人保健施設などさまざまな医療施設からの求人があります。
厚生労働省が平成22年に行った「病院等における必要医師数実態調査」によれば、必要医師数の平均倍率は現員医師数が1.11倍であったのに対し、病理科医の必要医師数は1.20倍となっており、診療科目別にみると医師不足が目立つ診療科となっています。
生検の組織診断を行うという業務の特性上、時間的・空間的にも融通がききやすい業務であるため、子育て中の女性医師や要介護者の家族を抱える方など勤務時間に制約のある方でも活躍しやすい環境が整えられた求人案件に恵まれています。
病理科は2008年から、「病理診断科」「臨床検査科」として標ぼうすることが可能になりました。病理診断科の現員医師数は平成22年9月29日時点で1,283人、臨床検査科は676人です。現員医師数と必要求人医師数を合計した必要求人医師数の倍率は病理診断科が1.20倍、臨床検査科は1.09倍です。(厚生労働省 平成22年「病院等における必要医師数実態調査の概要」より)。現員医師数に対する必要医師数の倍率(全診療科平均)は1.14倍ですから、特に病理診断科で求人ニーズが高まっているといえます。
病理科は主に顕微鏡を使用して病気を診断する検査部門です。また、死亡した患者の病気と死因を明らかにする病理解剖も仕事のひとつです。
現在、小児科や産婦人科の医師不足が問題となっていますが、実は病理専門医の全医師数に占める割合は1.17%であり、これらの診療科よりも少ない数値です。しかも病理医は首都圏に集中しており、地方の病理医不足は深刻な問題となっています。全国的に病理医のニーズは高まっており、転職市場においても常勤医師を中心に求人の募集はあります。