- 過酷なイメージの反面、やりがいとキャリアアップを求めるなら理想的
- 診療科目に関係なく、救急患者の初期診療と治療、集中治療や救命救急処置も行われる救急科。そこで働く専門医には、救急患者の症状を冷静に判断するとともに、その症状に応じた適切な治療をすることが求められます。
厚生労働省が認定する救急病院の数は、二次救急と救命救急センター(三次救急)を合わせて全国に約3,500件。年間平均の患者受入数は二次救急が約1,000件、救命救急センターで約4,300件と非常に多く、それらを約4,100人の救急科専門医(日本救急医学会)が中心となって賄っているという現状です。厚生労働省『必要医師数実態調査』をみても、全国的に求人数が多く救急科専門医がまったくいないという病院も少なくありません。
他科に比べて、労働環境が過酷なイメージのある救急専門医ですが、近年では、自然災害などの現場においても重要な役割を担うため、他科に比べてやりがいがあり、また、取り扱う症例数も多く、外科的・内科的な幅広い知識と技術が要求されることから、スキルアップ・キャリアアップを目指す医師には、理想的な環境といえるでしょう。
救命救急医は疾病、けが、やけど、中毒などで意識不明ないしは心肺停止状態となった患者さんに対して診療科に関係なく診察し、特に重症な場合には救命救急処置、集中治療を行うことを専門とします。救急救命士と連携し、疾病やけがの種類、治療の経過に応じて適切な診療科と連携して診療に当たるという点では「究極のジェネラリスト」であることを求められる診療科かもしれません。
このため、救命救急科を標榜していない病院や医療施設でも救命救急医に対する求人を行っているところは少なくありません。
平成22年9月29日付で発表された厚生労働省の「病院等における必要医師数実態調査の概要」によれば、診療科目別の必要求人医師数において救命救急科は1.28倍と、リハビリ科に次いで第2位になっています。ちなみにこの年の「医師・歯科医師・薬剤師調査の概況(厚生労働省)」によれば、医療機関に従事する救急科の医師数は約2,270人となっており、2年後の平成24年の調査では14.7%増の2,600人ほどとなっています。この2年間の医師数全体の増加率は約3%ですから、救命救急科医師数の増加率には目を見張るものがあります。それでも必要求人数を十分賄えているとはいえません。
求人案件をみると若手医師への求人ニーズが高くなっています。特にER型救急では診療科にかかわらず全ての科の救急初期診療を行うとともに、軽症・重症を問わず緊急度の判断が最重要になる場合があるため、優れたジェネラリスト医師が求められています。
もちろん地域の中核病院や心臓外科・脳神経外科などの専門病院も救命救急医を必要としていますから、転職先は選択肢に富んでいるといえるでしょう。また「将来は何か別の専門科を持って救命救急科から他の科に転科したい」という希望をお持ちの方に対しても協力的な病院が数多く見受けられます。
救命救急科(救急科)の現員医師数は平成22年9月29日時点で2,610人、必要求人医師数は543人で、現員医師数と必要求人医師数の合計は現員医師数の1.21倍にあたります。また現在、求人募集はしていないものの、医療機関が潜在的に必要としている必要非求人医師数を含めた必要医師数は725人で、現員医師数と必要医師数の合計は現員医師数の1.28倍です(厚生労働省 平成22年「病院等における必要医師数実態調査の概要」より)。これは、現員医師数に対する必要医師数の倍率(全診療科平均)の1.14倍を大きく上回る数字であり、全医療科目で第2位の倍率です。深刻な医師不足といえるでしょう。
救命救急科が担当する主な疾患は、心肺停止、広範囲熱傷、脳血管障害、急性腹痛、急性中毒といった重篤なものから、通常のけがや発熱など軽傷のものまで幅広く存在します。各疾患に対して専門医並みの知識が必要であり、総合診療医(ジェネラリスト)であることが求められます。生命に関わる事故や病気にいち早く対応するため、地域偏在の解消が目下の課題となっています。高度な医療が求められる大病院だけではなく、診療所でも常勤・非常勤の求人募集が行われています。転職に強い診療科目といえます。
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