- 医師不足を背景に労働環境の改善が進んでおり、条件面の検討を
- 女性特有の疾患の治療をはじめ、妊娠から出産前後の周産期管理、さらには不妊治療や更年期障害まで、産科と婦人科の領域を兼ね備えた産婦人科。その対象年齢層は幅広く、精神的なケアやサポートも必要とされる上、いつ何が起こるかわからない出産をおもな対象としていることから、肉体的・精神的な負担も多く、産婦人科から他科へ転科する医師も少なくありません。
少子高齢化の半面、産婦人科医は全国的に慢性的な不足状態にあり、厚生労働省『必要医師数実態調査』をみても、内科・整形外科に次いで求人数が多いという現状です。「出産難民」という言葉が取りざたされるほど、産婦人科医不足は深刻な状況にあり、産科を閉鎖したり、分娩の受け入れ制限を行う病院まで出てきています。
そのような現状を打破すべく、近年、労働環境の改善や他科との連携強化による負担軽減などに取り組む病院も増えつつあり、さらには、日本産科婦人科学会が「産婦人科勤務医の勤務条件改善のための提言」を発表するなど、産婦人科医を取り巻く環境は改善傾向にあります。転職の際には、その病院の労働環境に対する取り組みもチェックしましょう。
産婦人科医は産科と婦人科の双方のスキルを持つ方、産科または婦人科を専門としながらもう一方の診療科についても経験を積んだ方などが数多くいらっしゃいます。
小児科と並んで一時期は産婦人科(特に産科)医の不足が社会問題になりましたが、最近は医師総数の増加、医療機関の支援体制の充実などで絶対数の不足に対して改善の兆しがみられます。ただし医師不足で産婦人科を閉鎖したままの病院も多く、全国的にみても、依然として求人案件数に対して十分な人員の供給が行われていない状態です。全国で医療施設に従事している産婦人科医・産科医・婦人科医の数を見ると、それぞれ約10,400人、約450人、約1,840人となっています(数値は厚生労働省「平成24年(2012年)医師・歯科医師・薬剤師調査の概況」による)。
平成6年から平成16年に行われた「医師総数と産婦人科医師数の推移」によると、医療施設に従事する医師数は全体的に増加がみられたものの、産婦人科医療施設の従事者には大幅な減少がみられます。また「日本産婦人科学会理事会内委員会・学会のあり方検討委員会」が全国大学産婦人科へ行った平成16年6月のアンケート調査によれば、調査対象となった1,000を超える病院数のうち実勤務医の充足率は88.6%、さらに定員3人以下の病院の充足率は83.6%となっています。
このように深刻な産婦人科医数不足により診療科を閉鎖した病院は少なくありません。また産婦人科の専門病院でも分娩の取り扱いを休止しているところも少なからず見受けられます。
このような状況に対応するため産婦人科医への労働条件の改善(報酬・ワークライフバランスの両面)が進められ、産婦人科医にとっては働きやすい求人案件が増えてきたという明るい材料もみられます。また女性医師の現場復帰などを積極的に支援している医療施設も少なくありません。
産婦人科の現員医師数は平成22年9月29日時点で7,450人、必要求人医師数は946人で、現員医師数と必要求人医師数の合計は現員医師数の1.13倍です。また現在求人を出してはいませんが、医療機関が潜在的に必要とする必要非求人医師数を含めた必要医師数は1,339人であり、現員医師数と必要医師数の合計は現員医師数の1.18倍です(厚生労働省 平成22年「病院等における必要医師数実態調査の概要」より)。現員医師数に対する必要医師数の倍率(全診療科平均)が1.14倍であることをふまえれば、やはり人材不足であるといえます。
主な対象疾患によって、分娩管理やハイリスク妊娠といった出産にまつわる「産科関連」と、子宮筋腫や卵巣のう腫など、女性特有の病気を手術・治療する「婦人科関連」とがあり、命に深く関わる診療科です。しかし、各都道府県の医療計画でも取り上げられているように、現在、全国規模で産婦人科医師の人材不足が問題となっています。常勤・非常勤ともに求人募集が盛んで、時期を問わず転職活動できるのが魅力です。
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