- 受け持つ範囲と患者数が急増中で、急速に需要が高まることも予想される
- 多指症や合指症、小耳症、埋没耳といった先天異常をはじめ、外傷や熱傷痕、術後欠損の修復・再建、さらには皮膚腫瘍まで、おもに身体の表面における異常や変形に対して治療や修復を行う形成外科は、患者さんのQOLの維持・向上に直接関係しているといっても過言ではありません。
近年では、高齢化社会に伴い増加している褥瘡(じょくそう)や糖尿病性潰瘍の治療、さらには美容整形の後遺症まで、形成外科の受け持つ範囲と患者数は増加の一途をたどり、それに伴い需要も高まりつつあります。
厚生労働省『必要医師数実態調査』をみると、他科に比べ求人数はそれほど多くないのですが、先に述べたように社会的ニーズが高まっていることは確かであり、今後、急速に需要が高まることが予想されます。
形成外科医は、内科や外科を問わず他科と連携する機会も多く、また患者さんとの距離も近いため、専門医としての知識やスキルだけではなく、コミュニケーション能力も求められます。
形成外科は表在性先天異常や腫瘍、腫瘍手術後変形、外傷、外傷後変形など体表の形態の治療や再建を行う診療科です。「容姿」という患者さんの人格に大きな影響を与える部分を担当する関係上、コンピュータで手術結果の予測を行うシミュレーション外科、コンピュータ支援外科などの先端医療の導入も進められています。
また、近年ではそうした先端医療のほか、マイクロサージャリーの手技や再建技術を評価されて美容外科、美容皮膚科、AGA治療や毛髪クリニックなどからの求人案件も増加してきました。形成外科医の仕事は患者さんの体表の形態に関する疾患を扱う性格上、美容医療とも深い関わりがあります。このため近年は美容整形外科などのクリニックからの求人案件が目立つようになっています。特に顕微鏡下血管吻合による遊離組織移植技術などは美容外科、美容皮膚科にとっても必要不可欠な技術となっています。
形成外科医師数(医療施設に従事する医師数)の推移を厚生労働省の「医師・歯科医師・薬剤師調査の概況」で調べてみると、平成20年と24年の統計資料では、約2,110人から2,260人ほどへと4年間で約7%の増加となっています。これは医師数全体の伸び(約6.2%)とほぼ足並みを揃えています。しかし都市部を中心に増えてきている美容外科や美容皮膚科のクリニックからの求人ニーズ増はそれを上回っており、人材市場では形成外科医における求人難の様相を呈しているようです。また平均年齢はこの4年間で40.6歳から42.3歳へと1.7歳も上昇しており、若手医師の増加が期待されます。
さて、医療全体における美容医療の分野は今後もニーズが拡大するものとみられています。美容系クリニックでは、形成外科医本来のスキル以外にもボトックス注入やヒアルロン酸注入、タイタンやアキュチップなどの光治療器のスキルを身につけるチャンスもあります。形成外科医としてのキャリアをお持ちの先生は、美容医療業界へ活躍の場を求められるのもひとつの選択肢ではないでしょうか。
形成外科の現員医師数は平成22年9月29日時点で1,780人、必要求人医師数は73人で、現員医師数と必要求人医師数の合計は現員医師数の1.04倍です。また現在は人員募集をしていませんが、医療機関が必要とする必要非求人医師数を含めた必要医師数は128人で、現員医師数と必要医師数の合計は現員医師数の1.07倍となっています(厚生労働省 平成22年「病院等における必要医師数実態調査の概要」より)。現員医師数に対する必要医師数の倍率(全診療科平均)が1.14倍であることを考えれば、基準を下回りますが、依然として形成外科医の不足は問題視されています。
形成外科は体表面のありとあらゆる変形や機能障害に対してアプローチを行い、手術・治療をして正常な状態に近づける診療科です。対象となる疾患は先天的なものから、ケガや腫瘍などの後天的なものまで多岐にわたり、高度な知識と技術が求められます。日本では形成外科を専門にしている医師や病院が少なく、全国的にも需要がある状況です。常勤・非常勤ともに求人募集が盛んなため、転職チャンスの多い分野といえます。
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