- 少子高齢化社会でも需要は増加、慢性的な人手不足が続く
- おもに16歳未満の子供を対象とした小児外科。異物の誤嚥・誤飲をはじめ、鼠径ヘルニアや急性虫垂炎・胃潰瘍といった一般的な疾患から、食道静脈瘤・気管軟化症・心房中隔欠損症・小児ガンのような重症疾患まで、その範囲は非常に幅広く、また、対象が発育途中の子供であるため、小児外科医には知識だけではなく、繊細な手術テクニックも要求されます。
このように外科の中でも高い知識とスキルを求められる小児外科ですが、小児外科専門医の数は全国に約730名と非常に少なく、徳島県や福井県・鳥取県・長崎県のように専門医がほとんどいないという県もあり、小児外科を掲げていてもその多くは他外科の医師で賄っている状況です。
少子高齢化が進む半面、専門性が高い小児外科医のニーズは高まっており、また、これまで治療が困難とされてきた胎児・小児疾患への先進医療が進むなど、今後、ますます小児外科医の需要が増えることが予測できます。外科医としての知識や力量が問われる診療科のひとつである小児外科。やりがいやスキルアップを求める方には魅力的な科目といえるでしょう。
小児科は新生児~中学生くらいまでを対象とした臨床医学で、年齢区分による分類のためすべての臓器疾患や感染症を診療対象とします。
一時期、産婦人科と並んで深刻な医師不足が問題視された診療科でもありますが、労働環境の改善などにより若手医師・学生の小児科離れにもブレーキがかかり、昨今は絶対数の不足よりも地域偏差が重要なテーマとなっています。このため地方の医療施設からの求人案件がより好待遇になりやすい傾向がみられます。小児科全般で医師不足が叫ばれてきましたが、小児外科医もその例外ではありません。厚生労働省の「医師・歯科医師・薬剤師調査の概況」によれば、平成24年の調査では医療施設に従事する小児外科医の全国総数は約700人。これは4年前の同じ調査と比較して約660人から40人ほどしか増加していません。
医師全体の増加率が6%程度ですから、とりわけ小児外科医の伸び率が低いというわけでもありません。平均年齢に目を向けると44.6歳から44.3歳とわずかながら下降しており、若い医師が小児外科医への道を選ぶというケースも徐々に増えているようです。とはいえ地域偏差の問題もあり、特に地方での小児外科医の不足は深刻化しており、小児への対応が必要不可欠な総合病院・一般病院からの求人案件が多数みられます。
小児科全体でみると、その業務の特性上、時間外労働を完全に避けて通ることは難しいのですが、深刻な小児科医不足を契機に労働条件の改善に積極的な取り組みをみせる医療施設も増えました。労働条件をみても当直なし、あるいは少数回の求人案件もありますし、また労務に見合う高報酬を提示しているところも少なくありません。
さらに、外科全般に広範なスキルを持つ小児外科医の経験や技量を期待しての求人案件なども見受けられます。
小児外科の現員医師数は平成22年9月29日時点で726人、必要求人医師数は32人で、現員医師数と必要求人医師数の合計は現員医師数の1.04倍です。また現在は求人を募集していませんが、医療機関が必要とする必要非求人医師数を含めた必要医師数は55人で、現員医師数と必要医師数の合計は現員医師数の1.08倍となっています(厚生労働省 平成22年「病院等における必要医師数実態調査の概要」より)。
小児外科が対象としているのは、生まれてまもない赤ちゃんから15歳までの子どもの体幹部(胸部や腹部)疾患のほか、15歳を超えて持ち越されてきた外科的な病気も扱います。
子どもは大人に比べて体が小さく、たとえ同じ病気でも治療法が異なる場合があります。小児の成長や特性について、あるいは小児ならではの外科疾患などを十分に理解する小児外科医は、今後重要な人材となっていくと考えられます。現在の小児外科医の常勤・非常勤医師の求人ニーズは決して高いとはいえませんが、将来的に転職のチャンスやニーズは高まるでしょう。
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