- 他分野の兼務もある科目だからこそ、労働環境の検討が転職のカギに
- 胃ガンや大腸ガン・肝臓ガン・膵臓ガンなどはもちろん、鼠径ヘルニアや胆石まで、幅広い知識とスキルが求められる消化器外科。年間に行われる消化器系疾患の手術数は全国で40万件以上と他科に比べても極めて多いうえ、化学療法や緩和ケア・麻酔・救急医療など、専門医の少ない分野の業務を兼務することも少なくありません。
このように、症例数が極めて多い中で汎用性の高い技術を持つ消化器外科医は、どの病院においても需要が高く、常勤・非常勤を問わず、常に一定数の募集がなされています(日本消化器外科学会・2011年調査および厚生労働省『必要医師数実態調査』)。
近年では、ただでさえ多忙を極める消化器外科医の過剰労働が問題になってきていることから、消化器外科医をフォローする体制作りや労働環境の改善に努める病院も増えてきていますので、転職を考える際には、その病院がどのような取り組みを行っているのかを吟味することが重要なポイントといえます。
日本の消化器外科、とりわけ消化器がんの診断や治療成績は世界でも最先端レベルと高く評価されていますが、消化器外科医は近年の内視鏡下手術の進歩により消化器内科・消化器内視鏡医との連携性も高く、活躍のテリトリーが大きく広がっています。
ここ数年の統計をみても消化器外科医は増加傾向にありますが、需要増は平均水準以上。求人案件をみても総合病院・一般病院・内科系クリニック、老人保健施設などから幅広い募集が行われる傾向にあります。厚生労働省の「医師・歯科医師・薬剤師調査の概況」をみると、平成20年から平成24年の4年間で医療施設に従事する医師の総数は約271,900人から288,850人へと約6.2%増加しています。これに対して消化器外科医の数は約4,220人から4,760人ほどへと約12.7%増加しており、これは医師平均の2倍以上の伸び率ということになります。平均年齢は4年間で44.6歳から45.5歳と1歳未満の上昇でしかありませんから、若手医師が増加しているということもわかります。
一般に内視鏡外科手術は消化器外科医が手がけることが多いと思われますが、より多くの消化器外科医が必要とされているのは手術に消化器外科医(専門医)の立ち会いを必要としたり、胃がんや大腸がんの一部などに内視鏡外科手術だけでは対応できない病気がまだ多数あるためでもあります。また消化器外科医は内視鏡検査のエキスパートでもありますから、検査技術の技量を買われての求人案件も少なくありません。このため内科系の専門病院、あるいは日帰り手術を得意とする内科系クリニックなどからも多数の求人があります。
なお、消化器外科医から消化器内科医への転科に協力的な医療施設も少なくありません。
消化器外科の現員医師数は平成22年9月29日時点で3,046人、必要求人医師数は197人で、現員医師数と必要求人医師数の合計は現員医師数の1.06倍です。また、現在は求人を出してはいませんが、医療機関が必要とする必要非求人医師数を含めた必要医師数は277人で、現員医師数と必要医師数の合計は現員医師数の1.09倍です(厚生労働省 平成22年「病院等における必要医師数実態調査の概要」より)。
消化器外科は食べたものを消化・吸収・排泄する消化器の疾患を扱う診療科です。がんをはじめとした消化器のさまざまな診断や治療を行い、外科手術だけではなく、放射線療法や抗がん剤治療など患者の症状に応じて最適な治療法を検討します。
最近は腹くう鏡手術や内視鏡検査のニーズが増大しています。こうした診察・治療実績を持つ消化器外科医や専門医資格を持つ医師は、さまざまな医療機関に歓迎されています。消化器外科医は求人も増加の傾向にあるため、常勤・非常勤ともに転職しやすい診療科目であるといえます。
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