- 今後、医師不足に陥る可能性が高い科のひとつで、新設する病院も増加中
- 日本における部位別でのガン死因の第1位である肺ガンをはじめ、呼吸器疾患の外科的治療を担当する呼吸器外科。外科の中でも専門性が高く需要が高い半面、呼吸器外科医の現員医師数は全国平均で1道府県あたり約26人しかいないという現状にあります(厚生労働省『必要医師数実態調査』/※東京都を除く)。
その要因のひとつに挙げられているのが、呼吸器外科を設けている病院数の少なさですが、近年、患者数の増加に伴い、呼吸器外科を新設する病院も増えてきていることから、今後は求人数も増え、医師不足になる可能性が高い科目のひとつといえるでしょう。
病院によっては、キャリアアップや人材育成のための呼吸器外科医養成プログラムを実施しているところもあるため、それらを加味した転職プランも選択肢のひとつになっています。
近年、肺がんの罹患率は増加傾向にあります。また、がん死亡率も胃がんを抜いて第1位となっています。悪性の肺がんに対する治療法の研究が進む一方で検査機器の進歩により早期発見される肺がんも多くなりました。がんの悪性度によって低侵襲手術、拡大手術、化学療法、放射線療法、分子標的治療など治療法の選択肢も広がり、呼吸器外科医の専門分科が進んでいます。
一方で検査技術に特化した呼吸器外科医の先生もいらっしゃいます。求人の内容も非常に多彩となり、得意分野や働き方の希望に応じた職場を選びやすくなっています。呼吸器外科は呼吸器(肺・気管支)と縦隔、胸壁を対象とした外科です。肺がん、肺腫瘍、縦隔腫瘍、胸膜中皮腫、気胸などの診断と治療を主としています。
国立がん研究センターの「地域がん登録全国推計値」によれば、平成23年のがんの罹患数は約85万人となっており、がん発生の多い部位としては1.肺 2.胃 3.大腸となっています。また厚生労働省大臣官房統計情報部「平成25年 人口動態統計」によればがんによる死亡数は36万人以上。これは全死因に対して28.8%を占め「日本人の3人に1人ががんで死亡している」という結果になっています。また、同じく厚生労働省の「がんに関する統計」によれば、がんは加齢によって発症リスクが増加するため、高齢化の影響により、がん患者数・がんによる死亡数は共に増加傾向にあります。
このため呼吸器外科医に対するニーズは高まり続け、特に高齢者や要介護者を対象とした老人保健施設や訪問診療所からの求人案件が増加しています。こうした医療機関ではどちらかというと治療よりも検診に力が入れられていますが、3D-CTやPETなどの画像機器システムや気管支鏡検査システムなどのスキルが身につけられる医療機関もあります。また内視鏡手術やステント治療などの最先端治療技術をじっくり身につけられる専門病院からの求人案件も少なくありません。
呼吸器外科の現員医師数は、平成22年9月29日時点で1,408人、必要求人医師数は131人で、現員医師数と必要求人医師数の合計数は現員医師数の1.09倍です。また現在は求人を出してはいませんが、医療機関が必要とする必要非求人医師数を含めた必要医師数は191人で、現員医師数と必要医師数の合計は現員医師数の1.14倍です(厚生労働省 平成22年「病院等における必要医師数実態調査の概要」より)。現員医師数に対する必要医師数の倍率(全診療科平均)とちょうど同じ倍率(1.14倍)ですが、それでも求人需要は高いといえます。
呼吸器外科が扱う疾患として「肺がん」があります。男性の肺がんはすべてのがんの中で、死亡者数・死亡率ともに第1位です。近年は女性の肺がんも増えてきました。肺がん対策は医療現場のみならず社会的にも大きな課題となっています。
呼吸器外科医は需要に対して専門医の人数が少ないため、転職市場では人気の診療科目です。常勤医師を中心に好条件の求人が多く出されています。
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