- 形成外科に併設する動きが活発化しており、病院選びは慎重に
- 本来、形成外科学の一分野である美容外科ですが、美容目的の診療・治療は健康保健適用外であるため、一般の総合病院で美容外科を掲げているところはあまりありません。厚生労働省『必要医師数実態調査』をみても、全医師数に対してわずか0.04%程度、外科医だけをとってみても約0.14%という結果であり、求人数もほとんど0に近い状況です。
その半面、プチ整形やアンチエイジング・脂肪吸引・豊胸手術などの流行により、専門病院やクリニックは増加の一途をたどっています。それに伴い、安易な施術による治療トラブルが増えており、美容整形の後遺症を治療するために形成外科を受診する患者さんも少なくありません。
このような背景から、近年、形成外科の中に美容外科を併設する動きが活発になってきており、今後、求人数が増加することが見込まれます。転職にあたっては、待遇や条件面だけではなく、その病院自体の資質や治療方針、将来性も慎重に見極めることが重要といえるでしょう。
美容外科は、「美容上の観点から外科的治療を行う」という、他の臨床医学とは異なった性格を持つ診療科です。あざや傷痕の修復など美容形成外科と重複する領域もありますが、形態異常の修復・再建とは異なり、「美しくなりたい」という患者さんの主観や価値観に沿った処置を行う必要があるため、メンタルヘルス方面への造詣も必要とされます。
美容外科の診療は原則として自由診療であるため、求人に対して高報酬が期待できる分野でもあります。美容外科は、医療施設に従事する全医師数288,850人のうちわずか440人ほど(0.2%)という少数派の診療科です(数値は厚生労働省『平成24年度 医師・歯科医師・薬剤師調査の概況』より)。
化粧品メーカー資生堂の推計では、2002年に日本国内の美容皮膚医療施術患者数は約170万人であったのに対し、2005年には約480万人と3年間でおよそ2.8倍に伸びました。これは美容医療全体が大きく伸長していることを示唆しています。これに伴い、美容外科医師の求人ニーズも大きく増えていますが、平成20年から平成24年にかけて美容外科医師の数は約410人から440人ほどへと約8%の増加にとどまっており、美容医療の現場では皮膚科医や形成外科医から美容外科への転科を推奨している医療施設も増えてきています。特に形成外科医は技術的な指導にそれほど時間がかからないことから高い求人ニーズがあります。
なお、美容外科は原則として自由診療ですから高収入・高待遇の求人案件が数多くみられます。また他の診療科と異なり救急救命や緊急性の高い治療を行わないため、出勤時間や勤務時間は一般的なオフィスとほぼ同じように設定されているクリニックが多く、QOL(クオリティ・オブ・ライフ)の高い転職が期待できます。
美容外科の現員医師数は平成22年9月29日時点で59人、必要求人医師数は2人となっており、現員医師数と必要求人医師数の合計は現員医師数の1.03倍です。また現在は求人募集を行っていませんが、医療機関が必要とする必要非求人医師数を含めた必要医師数は5人で、現員医師数と必要医師数の合計は現員医師数の1.08倍です(厚生労働省 平成22年「病院等における必要医師数実態調査の概要」より)。
美容外科医の活躍の場は、総合病院の中にある美容外科の診療科や、美容整形専門のクリニックなどです。常勤医としての募集は都市部に集中しますが、美容クリニックは全国で見つかります。
美容外科の経験がなくても、外科出身の医師であれば転科するときに有利に働き、急患がなく自由診療、かつ高収入が望めることから、転職するのにはおすすめの診療科目です。また、美容外科の仕事は整形手術や脂肪吸引、豊胸手術など「美」に関する仕事のため、女性医師の活躍が顕著な科目でもあります。
美容外科の常勤医師求人・転職募集情報を都道府県で絞り込む