- 人材の流動性が高く、労働条件の見直しや負担軽減に取り組む病院も
- 虫垂炎・胆石・ヘルニア・一般外傷など、対象とする患者数が多い一般外科は、一般内科に次いで現員医師数が多く、常勤・非常勤ともに常に一定の求人数がある科目です(厚生労働省『必要医師数実態調査』)。しかし、その半面、労働時間の長さや時間外勤務の多さなどを理由にした離職率も高く、一般内科と同様、人材の流動性が高い科目のひとつといえます。
離職者の中には、他科への転科や、別の職業への転職も少なくないため、近年では、学会などでも一般外科医の減少や離職率の高さが問題として取り上げられており、労働条件の見直しや負担軽減などに取り組む病院も増えてきているようです。
先に述べたように、全国的にも常に一定の求人数が見込めるため、転職や転科を考えている方は、エリア選定はもちろん、さまざまな条件なども吟味した上で、自分に合った病院を選ぶことをおすすめします。
一般外科は頸部・乳房・胸壁・腹部・鼠蹊部・直腸・肛門部…と外科系の疾患全般を幅広く診療する診療科で、急患に対する重症度の把握と外科的初期治療を行った後に、適切な診療科の専門医にバトンタッチするというジェネラリスト的な役割を果たしています。
近年は各診療科の専門化が進み過ぎ、複合的な疾患や各専門の狭間にあたる疾患を持つ患者さんは大病院でも適切な医療サービスを受けられないリスクがでてきました。一般外科医はそのような不都合を防ぐための総合医としての役目も担っており、このためジェネラリストを必要とする求人案件も増えてきています。一般外科医は一次医療の現場で特に近年不足が叫ばれています。プライマリ・ケア、かかりつけ医、地域密着型医療の充実は今日の地域医療の状況において特に重要なことであり、一般病院・総合病院のような医療現場では守備範囲の広いジェネラリスト医が切実に必要とされています。
厚生労働省の「医師・歯科医師・薬剤師調査の概況」で平成20年と平成24年のデータを比較しても、一般外科医は約16,870人から16,080人ほどへと微減しており、また平均年齢も50.8歳から51.6歳へとわずかながら上昇傾向がみられます。一方、診療科目の詳細をみると乳腺外科(約910人から1,470人ほどへ)や脳神経外科(約6,400人から6,980人ほどへ)など医師数の大幅増がみられる科もあり、外科医という診療科目の細分化が進んでいることがデータからも読み取れます。
医療が高度化すればするほど医師が専門的に細分化されることはやむを得ませんが、スペシャリストばかりでは医療は成り立ちません。患者さんの側に立ち、適切な治療を受けられるよう導く「医療のコンシェルジュ」や水先案内人の役割を果たしてくれる総合医の必要性は、今後さらに増してゆくでしょう。一般外科=総合医というわけではありませんが、総合診療科を持たない医療機関では一般外科医がその役割を担うケースも少なくありませんし、求人案件の内容をみてもそれを期待している医療機関が多いようです。
一般外科の現員医師数は平成22年9月29日時点で15,202人、必要求人医師数は1,002人で、現員医師数と必要求人医師数の合計は現員医師数の1.07倍です。また現在は求人を出してはいませんが、医療機関が必要とする必要非求人医師数を含めた必要医師数は1,314人で、現員医師数と必要医師数の合計は現員医師数の1.09倍です(厚生労働省 平成22年「病院等における必要医師数実態調査の概要」より)。現員医師数に対する必要医師数の倍率(全診療科平均)が1.14倍なので、その数値は下回りますが、依然として需要があります。
現在、診療科目全般で医師不足が叫ばれ、特に小児科や産婦人科の地域偏在が大きく問題視されています。しかし、一般外科において「若手の外科離れ」が問題視されていることは、あまり知られていません。いわゆるへき地の病院だけでなく、都市部の一部の病院などでも外科医師の不足に悩まされています。常勤・非常勤を問わず求人募集が活発なため、転職のチャンスが多い分野だといえます。
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