- 専門医がまだまだ少ない分野だけに、転職の目的を明確に
- ストレスや過労を原因とした胃潰瘍・十二指腸潰瘍・過敏性腸症候群・気管支喘息、また、糖尿病や心筋梗塞などの疾患における患者の不安やうつ症状などの内科領域の心身症を、心身の両面から治療する心療内科。近年では、精神科医がメンタルクリニックや診療所に心療内科という看板を掲げるケースが増えていることから、一般に精神科と混同されることも多く、医療従事者ですら心療内科と精神科の区別を曖昧にとらえているところもあるようです。
心療内科は、本来、内科の一分野であるため、二次医療圏に属する病院においては現員医師数・求人数ともに全国的に少なく、現員医師数は全医師数中の約0.2%というのが現状です(厚生労働省『必要医師数実態調査』)。また、青森県・石川県・和歌山県・徳島県のように心療内科医が県内にほとんどいないという県も少なくありません。
専門病院やクリニック、診療所など求人がまったくないわけではありませんが、転職にあたっては、その施設が内科領域の心療内科なのか、それとも精神科領域のものなのかを事前に確認しておくべきでしょう。
心療内科は内科系の心身症を主として診察する科です。本来はうつ病などの精神障害に対応する診療科ではありませんが、一般的には精神科と心療内科の区別はあいまいであり、患者さんの中でも精神科に対して抵抗がある方は、心の悩みについて心療内科の門を叩く方が少なくありません。
このためメンタルクリニックなどからの求人案件も長らく増加傾向がみられます。また老年期精神病や高齢期うつ病の増加などから老人医療の現場でも心療内科医に対するニーズが高まっています。日本心身医学会の「心身症の定義」によれば、「心身症とは身体疾患のなかで、その発症や経過に心理社会的因子が密接に関与し、器質的ないし機能的障害が認められる病態を指す。ただし神経症やうつ病など、ほかの精神障害に伴う身体症状は除外する」ということになっています。しかし心療内科の中には心身症だけでなく心身医学(患者さんの身体面だけではなく心理・社会面を含めて、人間を統合的に診ていこうとする全人的医療を目指す分野)を実践しているところも多く、心身医学を専門とする心療内科では精神科との境界線があいまいな部分もみられます。
「心療内科はあくまでも内科の範ちゅうである」ことに間違いはありませんが、患者さん側からすると「精神科に診てもらうのは抵抗があるが、心療内科の診察なら受けてもいい」という方も多く、少なくとも多くの患者さんにとって心の悩みを医師に相談できる場を設けるきっかけとなっていることは事実です。厚生労働省が従来の4大疾病に精神疾患を加え5大疾病とした現状から考えても心療内科への社会的期待は大きなものがあるでしょう。
心療内科医には精神科を持つ総合病院・地域中核病院、精神科病院、内科病院、訪問診療クリニック、メンタルクリニック、産業医、療養病院、老人保健施設など幅広い医療機関からの求人案件が寄せられています。
心療内科の平成22年9月29日時点における現員医師数は341人です。また、必要求人医師数は43人であり、現員医師数と必要求人医師数の合計は現員医師数の1.13倍です。また、現在は求人を募集していませんが、医療機関が必要としている必要非求人医師数を含めた必要医師数は67人であり、現員医師数と必要医師数の合計は、現員医師数の1.20倍です(厚生労働省 平成22年「病院等における必要医師数実態調査の概要」より)。医師数・求人医師数は多くないものの、現員医師数に対する必要医師数の倍率(全診療科平均)が1.14倍であることをふまえれば、求人ニーズの高い診療科目といえます。
心療内科はうつ病、統合失調症、不安障害、適応障害など、患者の精神的現象に対して、心と体の両面から治療する診療科です。現在では典型的な心身症の診療にとどまらず、プライマリケアや緩和ケアの分野、他分野の診療科や理学療法士などとの連携が重要です。
「ストレス社会」といわれる現在、心の不調を訴えて心療内科や精神科を受診する人はあとを絶ちません。今後も常勤・非常勤ともに求人募集が盛んになることが予想されます。
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