- 2017年から認定制度がスタート、興味があるなら今から準備を
- 総合病院やその地域の中核病院において、診療科目が専門的に細分化されつつある現在、どの科を受診してよいかわからないような症状を訴える患者さんの要望に応えるべく生まれた総合診療科。
日常的な発熱、腹痛、咳・痰、頭痛などの症状はもちろん、他科では診断がつかない疾患や複数の病気が疑われる疾患などの患者を対象とする総合診療科では、さまざまな疾患に対して幅広い知識を持つ、ジェネラリストと呼ばれる医師がその任にあたっています。しかし、現状では、総合診療の専門医制度が存在していないため、経験豊富でオールマイティな知識とスキルを持つ医師や、家庭医療専門医・プライマリ・ケア認定医の資格を持つ医師が診療にあたっています。
2017年から導入される中立的な第三者機関が認定する新専門医制度において、総合診療専門医が創設されることが決まっているため、総合診療専門医に興味がある方は、今のうちからそれについての準備を進めておくことをおすすめします。
総合診療科医は初診外来で患者さんに対して速やかに正確な診断を行い、専門医への紹介や連携を円滑に進めるという役割を持っています。さらに自分の専門分野を持つ方の場合、「患者さんを総合的な見地から診療する」ことによって、むしろ専門医よりも客観的で的確な診療が行える場合も少なくありません。
総合医として幅広い知識や経験が要求されるだけにさまざまな医療機関からの需要も多く、総合病院から訪問クリニックまで幅広い求人案件が集まっています。近代医療は高度化が進み、また化学療法、遺伝子療法、放射線療法、内視鏡下手術などさまざまな方面で発達したため、あまりにも専門化・細分化しすぎたという問題が発生しています。
「具合が悪いので病院に来たが、どの診療科で診察を受けたらいいのかわからない。診察してもらったら、医師から『専門外なのでよくわからない』といわれた…」という患者さんの声も時折耳にします。
このような切実な問題を解消するため、「診断のプロ」として横断的な広い知識を持つ総合診療科医は多くの医療機関で必要とされ、求人数にも増加傾向がみられます。
総合診療科医は「診断のついていない主訴を問診・身体所見から推理し診断に至る」という過程を経ることから患者さんとのコミュニケーション力が必要とされ、「よく話を聞く」「分かりやすく説明する」という能力が磨かれています。このため総合病院、地域の中核病院はもちろん、外来・検査クリニック、療養型・回復期リハビリ病院、老人保健施設、介護施設、訪問クリニックなどさまざまな医療機関に活躍の場があります。また広範な知識とスキルを活用して、状態の安定した入院患者さんや慢性疾患の通院患者さんの主治医を任せられるケースも少なくないようです。
診療科目が細分化されている今、診療科が多いために患者がどこで受診すればよいのかわからないという問題や、複数の合併症を持つ患者に専門医が一人で対応できない問題など、さまざまな弊害が生じています。これらを解決するため、新設されたのが総合診療科です。総合診療科では、どのような疾患にも対処することが求められます。症状が不明の場合は広い医学的見地から原因を特定して、速やかに治療を行います。場合によっては患者と専門医の橋渡しを行うこともあります。総合という言葉から「広く浅い」とイメージをされがちですが、総合診療科に求められるのは「広く深い」医療知識です。正確かつ速やかに診断を行うためには専門医と同等かそれ以上の知識・経験・技術が必要といえるでしょう。診療科目の細分化が行われている大病院をはじめとして、医師不足が深刻なへき地でも求人募集が活発に行われています。常勤・非常勤を問わず、転職に有利な分野といえます。