- 二次医療圏の病院では現員数、求人数ともに少ないが、専門科を新設する動きも
- 国内の関節リウマチ患者数は約70万~80万人。直接、命に関わる疾患ではないものの、根治的な治療法が確立されておらず、医学の進歩が叫ばれる現代においても炎症の沈静化や痛みを軽減させる治療が中心という現状にあります。
二次医療圏に属する病院においては現員医師数・求人数ともに少なく、現員医師数は全医師数の約0.4%にすぎません(厚生労働省『必要医師数実態調査』)。これは、リウマチの専門医や診療科をおかず、整形外科やアレルギー・免疫内科などで診療を行っていることが要因と考えられますが、近年では、関節リウマチ患者数はもちろん、それに関係する膠原病の患者数が増加傾向にあることから、膠原病・リウマチ科を新設する病院も増えてきており、今後、需要が高まることが予想されます。
関節リウマチは、その症状によって内科系と整形外科系に大きく分かれるため、それらを診療する医師にはより幅広い知識とスキルが求められます。転職にあたっては、自己の経験やスキルに合わせ、その病院が内科系に力を入れているのか、それとも整形外科系なのかをチェックすることが必要です。
リウマチ内科はリウマチや膠原病の専門診療科として各種検査治療を行います。一般的にリウマチといえば関節リウマチを指し、リウマチの中でも特に患者さんの数が多い関節リウマチは、一説には全国に100万人/毎年約15,000人が発病するといわれています。特に30~40代の女性に多くみられ、ちょうど子育て世代にあたるところから育児・家事・仕事などに深刻な影響を受ける患者さんも少なくありません。
リウマチ内科を標榜している病院は比較的少数ですが、リウマチ内科医はリウマチの専門科として総合病院や検査クリニック、リハビリテーション病院・病棟などから多くの求人があります。厚生労働省の資料「医師・歯科医師・薬剤師調査の概況」で平成20年と平成24年を比較すると、リウマチ科(リウマチ内科・リウマチ外科の区分なし)の医師数は全国で約910人から1,230人ほどへと約34.5%も大幅に増加しています。また平均年齢も44.3歳から43.8歳に若返り、これはリウマチ科を専門とする若手の医師が増加してきていることを意味します。
リウマチが自己免疫疾患であることは広く知られていますが、その原因はまだ十分に特定されておらず、治療目標も完治ではなく症状が落ち着く「寛解」を目指しています。とはいえ、今日のように生物学的製剤の進歩などリウマチ治療法が多様化してきたことにより、早期発見・早期治療によって外科的手術に至る前に症状を改善できる可能性が大幅に増えました。このため、いかにはやくリウマチ患者に対して早期発見・早期治療を行えるかという医療体制の拡充が急がれています。
またリハビリ期の患者さんに対して「罹患関節の機能を取り戻し、維持していく」ための専門的指導も必要不可欠であることから、リウマチ内科医の役割は従来とは異なる重要性を帯びてきました。求人案件をみても検診クリニック、ホスピス、緩和医療施設など、従来よりもさらに多彩な医療機関に活躍の場が広がってきています。
リウマチ内科の平成22年9月29日時点における現員医師数は608人、必要求人医師数は55人で、現員医師数と必要求人医師数の合計は現員医師数の1.09倍です。また、現在は求人を募集していませんが、医療機関が必要とする必要非求人医師数を含めた必要医師数は95人であり、現員医師数と必要医師数の合計は、現員医師数の1.16倍です。(厚生労働省 平成22年「病院等における必要医師数実態調査の概要」より)。
リウマチは根本的な治療法が確立していなかったこともあり、長期の治療が避けられない難病でしたが、近年、リウマチの病因や病態の解明が進められたことで、リウマチ治療は飛躍的に進歩を遂げました。現在は人工関節を中心とした手術、薬物治療、リハビリテーション治療、基礎療法を4つの柱として治療が進められています。
関節リウマチなど、膠原病の患者は150万~200万人いるとされ、近年、増加の一途をたどっています。リウマチ内科を標ぼうする病院も増え、転職市場においても、常勤・非常勤ともに求人募集が増えることが予想されます。
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