- 認知度こそまだ低いものの、高齢化に向けて需要が高まる
- 高血圧や心臓病・脳梗塞から嚥下性肺炎・骨粗鬆症・排尿障害といった老年症候群、さらには認知症・アルツハイマー病に至るまで、高齢者を対象に総合的な診療を行う老人内科。高齢化社会に伴い、そのニーズが高まる中、近年では、老人内科を新設する病院が急増しています。
日本老年医学会が認定する老年病の専門医は全国に約1,400名。病院だけではなく、全国に約10,000件といわれる介護老人保健施設や特別養護老人ホームなどからの需要もあることから、全国的に専門医不足といっても過言ではないでしょう。
現状では、専門医の数も含め、他科に比べて認知度が高いとはいえませんが、今後さらに高齢化が進むことからも、近い将来、小児科などと同じように、ポピュラーな診療科目に成長することが予想されます。将来有望な科目のひとつとして選択肢に加え、さまざまな面から他科と比較してみるのもよいかもしれません。
厚生労働省による「平成24年(2012年)医師・歯科医師・薬剤師調査の概況」によれば、老人内科を含む内科医師の数は約61,180人となっています。これは全医師数の21.2%となって、診療科では最多の数字です。
老人内科に進む医師の特徴のひとつとして、第一線を退いたベテラン医師が多いことが挙げられます。体力面でピークを越えた医師が無理なく働けることも魅力のひとつであり、平均年齢は高めになっています。高齢者医療に貢献したい若手医師にとっても、経験のある医師の下でスキルを学べることが魅力です。求人は、高齢化によってニーズが高まっており、今後も持続的に推移すると予想されます。「老人内科」といっても、看板を掲げるクリニックや診療所が増え始めたのは最近のことなので、まだ聞き慣れない医師の方もいるかもしれません。老人内科とは2008年の医療法改正によって標榜診療科名が多様化されたことにより認められるようになった新しい内科です。老年期の特徴を重視しながら、主に75歳以上の高齢者を中心に診療を行います。
厚生労働省によれば日本国内には約30万人の医師が活躍していますが、内科に勤める医師は6万人以上と最多になっています。老人内科と内科の求められるスキルは共通点が多いため、内科の医師は自分のキャリアとスキルを活かして老人内科に進みやすいといえます。もちろん、内科以外の医師でも、老人内科の求人は高齢化社会の到来によって、幅広い医療機関から求められています。
求人の中で多いのは療養型病院や老人保健施設などで、慢性疾患や認知症を抱える患者さんを中心に診療を行います。療養型病院のメリットとして、残業が少なく、当直業務がない職場が多いことが挙げられます。医師の3割が診療科を変更、または変更を検討しているという時代。今後も引き続き高い需要が見込まれ労働環境も良い老人内科は、狙い目の診療科といえるでしょう。
日本における65歳以上の高齢者人口は、平成28年4月1日現在で3,434万人です(総務省統計局「人口推計」より)。総人口に対する割合は27.0%であり、人口・割合ともに過去最高の数値となっています。昭和60年は10%、平成17年には20%であることを考えると、急激に高齢化が進んでいることがわかります。国立社会保障・人口問題研究所によると、高齢者の割合は今後も上昇が続き、平成47年には3人に1人が高齢者になるとしています。
老人内科(老年内科)は、このような高齢化社会に対応すべく比較的新しく設けられた診療科であり、現在最も注目されている分野の1つです。加齢に伴う生理的変化により、治療に対する反応が若年層などと異なることや、薬剤数増加による有害事象のリスクが大きいため、高度な知識・経験・技術が求められます。現在、ほとんどの地域で高齢者の受診率が高まっていることから、常勤・非常勤を問わず老人内科医師の求人募集が盛んに行われています。転職チャンスの多い分野といえるでしょう。
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