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 > 〔2時限〕英語で医学論文を書くために知っておきたいこと

【第5回】目指せ!国境なきドクター!

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インターネット、論文、国際学会…、英語が一般共通語となっている今、最先端の情報を得るためには英語の能力が求められています。
スマートDr.たるもの、問診に来た外国人ともペラペラとしゃべりたい!
今回は医療英語のプロであり、医療通訳の普及にも努めている日本大学医学部の押味貴之先生に医療英語学習のワザとコツを伝授していただきます。

押味 貴之

押味 貴之(おしみ・たかゆき)
1972年生まれ。
日本大学医学部 医学教育企画・推進室 助教(医学英語担当)、日本医学英語教育学会評議員、日本英語医療通訳協会(J.E.)理事、米国Cross Cultural Health Care Program 公認医療通訳トレーナー。
「医療英語」、「医療通訳」、「外国人医療」をキーワードに執筆・教育・啓蒙活動に携わる医師。
日本医学英語教育学会評議員として、医師や医学生などの医学英語教育に幅広く携わる一方、海外の医療通訳を中心に調査・研究活動を進め、全国各地で英語医療通訳者の養成に携わる。

〔2時限〕 英語で医学論文を書くために知っておきたいこと

■ 書くことはハードルが高い!
英語を聞く、話す、読む、書く、というスキルのなかで、最もハードルが高いのが「書く」スキルです。
文章を書く際の英語は、話し言葉に比べて求められる正確度が極めて高く、また医学論文には細かいルールも存在します。したがって独力で完璧な英語論文が書ける日本人医師は極めて稀です。多くの医師が英語論文執筆の際にプロの校閲者や翻訳者の力を借りているのが現状です。
このように良い論文を投稿するためには、他人のスキルを借りることも大切なことだと心得てください。

■ 「著者の資格」に注意
意外に思われるかも知れませんが、医学論文の著者となるには、以下の3つの条件を全て満たす必要があります。

  • 1. conception & analysis (研究全体を構想し、データの分析を行う)
  • 2. manuscript drafting (実際に文章を執筆する)
  • 3. manuscript approval (校正原稿を承認する)

著者としての資格を得るためには、これら3つを「全て」満たす必要があるのです。したがって患者さんのデータを提供しただけで、実際の執筆を行っていない場合、実際に執筆はしたが、研究のデザインには参加していない場合、また研究全体を構想し、執筆もしたけれど、翻訳者に依頼した最終原稿の確認を行っていない場合などは、いずれも著者となる資格がありません。これら3つの条件を満たさないで名前だけ著者として掲載されると、それは guest author となり、出版倫理的に大きな問題となるのです。
日本では患者さんのデータを提供しただけでも、また最終原稿の確認をしただけでも著者として氏名を記載することが、慣例として多くありますが、国際基準ではそういった人物は著者としてではなく、協力者として acknowledgements (謝辞)に載せられるべきであると認識されています。

■ punctuation (句読法)に注意しよう
ハリウッドでは映画監督のもとに毎日たくさんの脚本が届きます。
もちろん映画監督はそれら全ての脚本を読むことが出来るわけではありません。実は届いた脚本が読まれるのは「最初に文法の誤りが現れる部分まで」というのが現状です。それくらい英語では「表現に間違いがあれば、内容も悪いだろう」というのが一般的な認識なのです。日本人医師の中には「医学論文で大切なものは内容であって、文章そのものではない」という認識が根強くあります。もちろん良い論文は良い内容を持つことが大切です。しかしどんなに良い内容の論文であっても、その表現(文法)が誤っているものは読まれることがないのが現実なのです。
そんな日本人医師の英語論文に最も多いミスは、実はスペースやコロンの使い方といったpunctuation(句読法)なのです。このようなミスはWordなどワープロソフトの「文章校正」機能で簡単に修正できます。つまりこのような簡単に修正できるミスすら修正しない文章は、「研究の内容も二流に違いない」という先入観を持って読まれることになるのです。「内容が良ければ読んでもらえるはずだ」という認識では、読まれるはずの論文も読まれません。たかがpunctuationではなく、されど punctuation であるということを認識しておいてください。

■ plagiarism(剽窃「ひょうせつ」)に注意
英語圏の学生が大学に入って最初に教わること、それは「plagiarism(剽窃)の禁止」です。適切な引用を用いずに他人の考えや表現を使うplagiarismは、海外では日本人が考えている以上に厳しい姿勢で臨まれます。日本では英語論文を指導する立場の先生の中にも「日本人が完璧な英文を書くことは不可能だから、他人が書いた正しい英文を拝借することは問題ない」という考えの人も多いのですが、これは大きな誤りです。たとえ自分が過去に書いた文章でも、一定の長さを超えて「コピペ」をすることは plagiarism になるのです。
ではどのようにすればplagiarismを回避できるのでしょう?ここで必要となるのがparaphrasing (書きかえ)の技術です。主語と動詞を入れ換える、より簡潔な表現を探すなど、オリジナルの表現とは異なる英文にする技術が求められるのです。英語圏ではこのparaphrasingの技術が「書くスキル」そのものと捉えられているといっても過言ではありません。
一朝一夕につく力ではありませんが、英語を学ぶ上で大切なトレーニングなのだという認識で取り組んでください。

■ Googleを使ってプロ並みの校正を受ける方法
日本人医師の方が論文構成でよく使う表現に「ネイティブチェック」というものがあります。
しかしこの表現は我々のような英文校正のプロの間ではまず使われません。というのも「母国語が英語というだけでは、医学英語論文の校正者の資格としては不十分」だからです。
では「十分な教育を受けた質の高い医学英語論文校正者」の校正を受けるには高い料金を払うしかないのでしょうか?
短い英文であれば、Google を使ってそれに近い質の高い校正を受けることが可能です。特に学術論文のみを検索対象とするGoogle Scholarを使えば、より質の高い校正をすることができます。
まずはGoogle Scholarの「Scholar 検索オプション」を選択します。そこで自分がこれから投稿しようとしている雑誌名を「出版物」に設定します。その設定をした上で自分が書いた表現をdouble quotation markで挟んで検索すれば、その雑誌で実際に使われているかどうかがわかります。
たとえばNew England Journal of Medicine で「糖尿病の罹患率が高い」という表現はどのようなものが使われているかを調べるとしましょう。「Scholar 検索オプション」で New England Journal of Medicine (NEJM) を入力した後、自分が考えた "more prone to diabetes." という表現を " " で挟んで検索してみます。するとこれはヒットがなく、NEJMでは全く使われていないことがわかります。そこで不特定の単語を意味する * (asterisk) という記号を使って "higher * of diabetes" で検索してみます。すると "higher prevalence of diabetes" という表現が見つかります。次にこれを検索するとそのヒット数もわかります。このようにGoogle Scholarで double quotation mark と asterisk を使いこなせば、「プチ医学論文校正者チェック」を受けることが可能になるのです。

■ まとめ

  • ・ 論文執筆は独力で行うのではなく、プロの助けを借りましょう。
  • ・ 「著者の資格」の基準を満たせるように、論文のデザイン、執筆、校正確認の全てに関わりましょう。
  • ・ たかが punctuation、されどpunctuation。「句読法」は甘く見ると痛い目に合います。
  • ・ 短い英文でも「コピペ」は禁物。paraphrasingを心がけましょう。
  • ・ Google Scholar を使えばプチ医学論文校正者チェックが可能です。