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 > 〔3時限〕妊娠期から幼年期の栄養アドバイス

【第15回】食は生命なり!栄養学を知る

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研修医のみなさんは、栄養学についてどのくらいご存知でしょうか?医学部では疾患について学ぶ際に食事療法などの観点から栄養についても学びますが、栄養学をじっくりと学ぶ機会はないのが現状です。研修医となり食事の指示を出す段になって、栄養学を学ぶ必要性をひしひしと感じているドクターも多いことでしょう。
今回は、自治医科大学で41年間、医学生のために栄養学指導を行っている私が、医師のみなさんにこれだけは知っておいていただきたい栄養学についてアドバイスいたします。

香川 靖雄

香川 靖雄(かがわ・やすお)
自治医科大学名誉教授。女子栄養大学副学長。
1932年東京都生まれ。東京大学医学部医学科卒業。聖路加国際病院、東京大学医学部助手、信州大学医学部教授、米国コーネル大学客員教授、自治医科大学教授、女子栄養大学大学院教授を歴任。専門は生化学・分子生物学・人体栄養学。1985年に日本医師会医学賞を、1996年に生化学研究に対し紫綬褒章、2006年には生化学研究・教育に対し瑞宝中綬章を受賞している。
著書に『ゲノムビタミン学』(建帛社)、『生活習慣病を防ぐ』(岩波書店)、『時間栄養学』『香川靖雄教授のやさしい栄養学』(女子栄養大学出版部)などがある。

〔3時限〕 妊娠期から幼年期の栄養アドバイス

■ ライフステージに合わせた栄養が大切

ライフステージに合わせた栄養が大切
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人の一生は、母体に生命として宿った受精卵、胎生期、出生、乳児期から始まり、幼年期(0~5歳)、少年期(6~15歳)、青年期(16~24歳)へと成長します。そして壮年期(25~44歳)、中年期(45~64歳)、高年期(65歳~)へと老化の過程をたどります。女性の場合、胎生期と乳児期を母体から支える妊娠期、授乳期があります。
このような人生のステップを「ライフステージ」といいます。
人のからだはライフステージに応じて、代謝量、体重、活動量などが異なるため、各ステージにふさわしい栄養の摂り方があります。

3時限目は、健康な人生を送る上でそれぞれのライフステージにおける問題点や必要となる栄養のポイントについて説明します。
詳細な栄養摂取量などについては、5年ごとに厚生労働省から発表される『日本人の食事摂取基準』(2010年版)で確認してください。

■ 妊娠・授乳期の栄養アドバイス
新たな命は、母体から栄養を得て成長します。妊娠期の栄養は、母体の健康を維持し、胎児を健やかに育てるためにも大切です。
妊娠期は母体の変化と胎児の発育のために多くの栄養素が必要で、たとえば、妊婦のエネルギー所要量は、妊娠前の標準摂取量よりも、妊娠初期で50kcal、中期は250kcal、末期は500kcal、授乳期には450kcal増やす必要があります。

  • 日常からバランスの良い食事をしている場合、妊娠・授乳時は付加量を加える。
    エネルギーは体重を見ながら調節する。
  • エネルギー以外の妊産婦付加量は、以下の通り
  • ・ たんぱく質:妊婦10g、授乳婦20g
    ・ 脂質エネルギー比:妊婦・授乳婦20~30%
    ・ N-6系脂肪酸:妊婦・授乳婦:10%エネルギー
    ・ N-3系脂肪酸:妊婦・授乳婦:2.1%エネルギー
  • ビタミン類の妊産婦付加量は、以下の通り
  • ・ ビタミンB1、ビタミンB2、ナイアシン、ビオチン、パントテン酸、ビタミンC
    ・ ビタミンA、ビタミンE、ビタミンD
    ・ 葉酸:
    成人女子推奨量⇒240μg
    妊婦 推奨付加量⇒200μg
    授乳婦推奨付加量⇒100μg
    ・ 食品中の葉酸の利用率は約60%
    ・ 日本人の15%は利用効率が悪く、倍量必要
    ・ 日本人の葉酸摂取状況:平均290μg

(1) 母体の栄養不足は、子どもの生活習慣病を招く!
近年、注目されているのが、「DOHaD(=Developmental Origins of Health and Disease)」という概念です。これは「胎生期から乳幼児期に至る栄養環境が、成人期あるいは老年期における生活習慣病発症リスクに影響する」という考え方です。 1975年以降の約30年間で、日本人の出生児平均体重は200g近く減少しており、その原因は「美容のためのダイエット」などで女性が痩せ過ぎの傾向にあり、妊婦の栄養摂取不足によるものという説が有力です。

妊婦が栄養不足の場合、胎児は、自らが母胎から摂取する栄養素を節約することで栄養不足を補い生き延びるという変化を起こすため、将来、糖尿病に罹りやすく、また、出生児の体重が減ると奇形児となる可能性があるということも知っておく必要があります。

(2) 妊婦は積極的に葉酸の摂取を!

妊婦の葉酸摂取量は日本の低い推奨量さえ下回り、危険な妊娠前期で半分以下
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妊婦の栄養においてとくに大切なのが、葉酸摂取の推奨です。各国の二分脊椎症発生数の推移を調べたところ、欧米諸国では葉酸の積極的な摂取により減少しているのに対し、日本では2003年には1万人中約6人に増加しています。

■ 乳児期から幼年期の栄養アドバイス
子どもの栄養状態を判断する重要な目安の一つとなるのが、体重です。子どもの体重は、満1歳で出生児の約3倍に成長します。乳児期から幼年期にかけては生涯のうちで最も発育が盛んな時期といえます。
乳児期の栄養は、母乳または人工粉乳による栄養摂取がおもになりますが、栄養的にも免疫力の面でも、人工粉乳より優れているのが母乳です。母乳は母親の食事によって作られるため、授乳時期の母親は多くのエネルギーやビタミン、ミネラルが必要となります。また、生後6ヵ月ごろからは、母乳に加え徐々に固形食も与えていきます。

子どもの脳は生後6ヵ月で出生児の約2倍の重さに成長します。生後4ヵ月までには昼夜の区別ができるようになり、この時期に活発に発達する神経系はおもに大脳辺縁系を発達させ、母子関係・環境順応・記憶機能・大脳左右機能分化を促します。
生後4ヵ月から幼年期初期までに活性を増す神経系は、認知機能統合に関わる連合野の発達に関係します。幼年期中後期に活性を増す神経系は、非運動系大脳基定核を介し、社会性・動機づけの発達に必要です。

このように急速に脳が発達する乳児期から幼年期に栄養が極端に不足すると、脳の損傷や障害、発達に影響をおよぼすことがありますので、ビタミンB群やタンパク質の摂取が大切です。