【第14回】人生を豊かにする!研修医のための休日習慣アドバイス
研修医のみなさんは、休日をどのように過ごしていますか?
日頃の忙しさから、一日中ダラダラとしてしまう人が多いのではないでしょうか。脳外科医の私の父を見ていると、そもそも休みはほとんどなく、あっても半日程度。そんな貴重な休日をどう過ごすか、悩んでいる研修医の方も少なくないと思います。
今回は医師にもコンサルティングを行う「習慣の専門家」である私が、「習慣」の視点から休日活用術をレクチャーします。
- 佐藤 伝(さとう・でん)
- 習慣の専門家 行動習慣ナビゲーター。
明治大学文学部卒。創造学習研究所を30年にわたって主宰。チベットのダライ・ラマ13世から現地で直接、密教の奥義を伝授され最高位の称号を授かった祖父から、その秘伝を受け継ぐ。また、脳外科医だった父の影響で科学的アプローチ法を学び、幸せに成功するための習慣を研究・指導している。企業や教育機関での「行動習慣」についての講演は、具体的ですぐに実践できると評判が高い。『「感謝の習慣」で人生はすべてうまくいく!』(PHP研究所)、『幸運を引き寄せる 朝の習慣』『いい明日がくる 夜の習慣』(中経出版)など著書多数。習慣に関する著書は国内外で累計100万部を突破している。
スマートDr.養成講座 第14回 人生を豊かにする!研修医のための休日習慣アドバイス
- 〔1時限〕 【休日の意義】人生における休日とは?
- 〔2時限〕 【朝の習慣】目覚めの気分でその日が決まる!
- 〔3時限〕 【昼の習慣】なんとなく過ごす休日はNO!
- 〔4時限〕 【夜の習慣】質のいい睡眠で明日が変わる!
〔2時限〕 【朝の習慣】目覚めの気分でその日が決まる!
■ 1日の計は「朝」にあり!
有意義な休日を過ごすために大切なのが、1日のスタートとなる朝の過ごし方です。では、朝の習慣でいちばん大事なことは何だと思いますか?
それは、「気持ちよく目覚める」ことです。
目覚めた瞬間の気分が、その日の気分を左右するといっても過言ではありません。「もう朝かぁ…」なんて不快な気分で目覚めた人は、1日中イライラしてよくないことが起こったり、やる気が起きなかったり…。ボタンの掛け違いは、目覚めの気分から始まるのです。
2時限目では、気持ちよく目覚めるために、誰でも簡単に実践できる休日の朝の習慣を提案します。普段あたりまえのようにやっていることでも、少し視点を変えてみることで新たな気づきがあることでしょう。
■ 人生を豊かにする休日の朝習慣10ヵ条
- (1) 早起きをする
休日だからと二度寝、三度寝…なんていう方も多いのではないでしょうか?
電気が発明される以前、人間は太陽の光とともに暮らしてきました。そのリズムは今でもしっかりと私たちのDNAに刻まれています。本来、日の出とともに起きるのが私たちの体には合っているのです。よく「早寝早起きをしよう」と言われますが、まずは朝早く起きる、「早起き早寝」が大切です。 - (2) カーテンを開けて朝日を浴びる
朝日を浴びると、心のバランスを整え脳に幸福を感じさせるハッピーホルモン「セロトニン」が分泌されて、安定した心で1日を過ごすことができます。
また、目に太陽光を取り込むと、睡眠に関わるホルモン「メラトニン」が抑制され、本来25時間である体内時計(サーカディアンリズム)のズレが、24時間にリセットされます。
起床時間が自由な休日だからこそ、朝日で目覚めてみましょう。雨戸や遮光カーテンは避け、カーテンを少し開けて寝るとベストです。起きたらカーテンを開けて全身に朝の光のシャワーを浴びることをおすすめします。 - (3) 起きるタイミングを意識する
睡眠は何時間眠るかよりも、「いつ起きるか」がポイントです。
人は眠っている間に、体は休息していても脳は覚醒時に近い活動をしている「レム睡眠」と、脳が完全に休んでいる状態の「ノンレム睡眠」を周期的にくり返しています。個人差はありますが、1回の周期は平均で約90分と言われています。
レム睡眠に入っているタイミングで目覚めるようにすると、気分よくスムーズに起きられます。
近頃では、寝返りなどを感知してその人のベストなタイミングで、快適に起こしてくれるアイテムも販売されていますので、起きるタイミングにこだわって心地よく目覚めましょう。 - (4) 目が覚めたことに感謝する
朝、目が覚めることをあたりまえのことと思っていませんか? 朝起きたら失明していたという症例もあるそうです。普段はなかなか気付けませんが、朝起きて目が開くのは、奇跡のようなことなのです。朝起きて目が覚めたら、今日も目が開いたことに感謝することから始めましょう。 - (5) 体温を測る
人間の平熱は36.5度前後です。36度以下では、消化酵素や代謝酵素といった生命活動を維持するために体内で働く約5,000種類もの「酵素」がフル稼働しません。
たとえば、あなたの体を株式会社「自分」として「酵素」を社員として考えてみてください。あなたの会社は、約5,000人の社員を抱えていることになります。ところが、低体温や冷え性の場合、半数の社員が居眠りをしてさぼっているようなもの。これでは会社の業績、つまり体調がすぐれないのもムリはありません。
まずは、時間に余裕がある休日に朝の体温チェックを。あなたの会社の社員はきちんと働いていますか?
ぜひ、習慣化して、社員である全ての酵素の働きをしっかり管理してみてください。 - (6) 窓を開けて空気を入れ替える
どんな天気でも、朝起きたら窓を開けましょう。特に一人暮らしの女性は防犯上の理由から、一日中、窓を開けない人が多いようですが、窓を閉めきったままでは、就寝中に吐き出した二酸化炭素が部屋にこもり、空気がよどんでいます。
朝の清々しい空気を部屋に取り込むことで、体内に新鮮な酸素を送り、心も体も空間もリフレッシュしましょう。 - (7) 熱めのシャワーを浴びる
朝は熱めのお湯でシャワーを浴びて、シャキッと目覚めましょう。心身ともにリラックスすることで、脳内にアルファ波が出ます。これは無意識の領域である潜在意識に思いを浸透させる絶好のタイミング。シャワーを浴びながら、自分の夢を声に出して言ってみましょう。声に出すことは自己暗示をかけるのにも効果的ですから、夢の実現に向かって体も進み出すのです。 - (8) 朝ごはんを食べる
朝は空腹の状態で目覚め、朝ごはんをしっかり食べることが理想的です。「慌ただしい平日にはそんな時間がない…」という方も、休日なら、時間に余裕があるはずです。朝ごはんは和食でも洋食も構いませんが、ビタミンやミネラルたっぷりのバランスのよい食事をとりましょう。
朝ごはんを食べない人の多くが、夜寝るのが遅い傾向にあります。なかには夜中の暴飲暴食でお腹が空かず食べられないという人もいるでしょう。
朝ごはんを食べる習慣に切り替えるのが難しいという人は、バナナを1本食べる習慣を付けることをおすすめします。バナナはハッピーホルモン「セロトニン」の原料となる、トリプトファン・ビタミンB6・ブドウ糖のすべてを含んだ、優れた食材です。 - (9) コップ1杯の水を飲む
人間の体の約7割は水でできています。
水分は栄養素を全身に運んだり、老廃物を回収・排出したり、体温を調節したりといった、大切な働きをします。ところが私たちは夜、寝ている間にも発汗や呼気などから、約300ミリリットルもの水分を失っているのです。朝、目覚めのコップ1杯の水は、イキイキとした1日を過ごすための「命の水」と言えます。
飲む水は自分が「ほっ」とするものを選びましょう。体によいと評判のミネラルウォーターでも、自分には合わないこともあります。 - (10) 休日でも時間割をつくる
小学生の頃はなぜ規則正しく生活できていたのでしょうか?
それは時間割があったからです。大人には決められた時間割がないために、休日になるとお昼まで寝てしまうのです。
「オン」も「オフ」も含めた時間割を作ることが、研修医としての充実した時間を過ごすことにつながります。
作った時間割はデスクに貼ったり、パソコンやスマートフォンにデータで保存して、常に目に触れるところにおいておきましょう。