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 > 〔4時限〕【非言語的表現】アサーションは言葉だけではない

【第12回】アサーションで人間関係を円滑に

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みなさんの周りには、患者さんをはじめ、看護師や技師、指導医や同僚など多くの人との人間関係が存在します。それらすべての人間関係が良好であることが理想ですが、うまくいかないこともあるのではないでしょうか?言いたいことが言えなかったり、攻撃的になってしまったり…。そんなときに大切なのは、しっかりと自分の気持ちを把握しながら相手と関わること、そして、その場にふさわしい自己表現をすること。こうした人との関わり方を「アサーション」と言います。今回は、アサーション・トレーニングの講師として講演やセミナーを行なっている私が、この「アサーション」についてお話しさせていただきます。

石井 隆之

石井 隆之(いしい・たかゆき)
臨床心理士 アサーション〈自己表現〉トレーニング認定トレーナー
東京都生まれ。東洋大学大学院文学研究科教育学専攻修士課程修了。都内私立高校非常勤講師を経て、日本・精神技術研究所に入社し、心理測定事業部判定員として活躍。グループアプローチを専門とし、病院・企業をはじめ、さまざまな場面でアサーション・トレーニングのセミナーを担当している。川村学園女子大学心理学科非常勤講師、社会保険中央看護専門学校「人間関係論」非常勤講師も務める。

スマートDr.養成講座 第12回 アサーションで人間関係を円滑に

〔4時限〕 【非言語的表現】アサーションは言葉だけではない

■ 非言語的アサーションとは
コミュニケーションには言語的なものと非言語的なものがあるように、アサーションにも非言語的なものがあります。
1時限、2時限でお話しした「考え方」、3時限でお話しした「言語的表現」について、ある程度できるようになっても、非言語レベルのアサーションが伴わないと、真のアサーションとは言えません。「目は口ほどにものを言う」ということわざにもあるように、非言語的表現が、ときによっては言葉での表現よりも強力な場合もあるものです。
講座の最後となる、この4時限では言葉以外の部分、態度や動作、そして言語を超えた表現をいかにアサーティブにできるかを考えていきましょう。

■ 非言語的アサーションの要素

視覚的なもの

どこを見ながらコミュニケートするか
ずっと下を向いていたり、目をそらし続けるのはよくありませんが、ずっと相手の目を見続けるのも攻撃的な態度だと誤解されがちです。相手の目を見て相手の様子を確認しながらも、話しているときには、口元に視線を移したりすることも必要です。
どんな表情でコミュニケートするか
笑顔や微笑みなどの明るい表情は大切ですが、「微笑みを絶やさないことが大切だ」と思い込んで、同意できないときにも笑顔の人がいます。そのために伝えたいことが伝わらなかったり、よけいに相手を混乱させることがあります。
カラダの姿勢や動作はどうするか
猫背でうつむいた姿勢は、いかにも非主張的な印象を与えてしまいます。手を胸や口に当てているのも非主張的です。
手を自由に動かして話すと、自信がある印象を与えます。
服装も自己表現のひとつ
着ている服の形や色、スタイルによって、相手に与える印象が変わってきますし、自分の気持ちも左右します。
気持ちが晴れないときには、服装に無頓着になりがちですが、あえてシャキっとしたものを着れば、気分を変えることができるでしょう。

聴覚的なもの

自分の声を聴いてみましょう
聴覚的な要素を確認するには、自分の話し声を録音して聴いてみるのも一つの方法です。
声の大きさ、話す早さはもちろん、簡潔で率直な表現になっているか確認してみましょう。
「あの~」「えっと」が多すぎたり、「たいしたことではないのですが・・・」など、無用な前置きが多いとアサーティブに聞こえにくくなります。

さらに、非言語的表現は、国や文化によって異なる場合もあります。
あいさつの仕方ひとつでも、お辞儀の仕方、手の握り方など、それぞれの国や文化によって違っています。
たとえば、アメリカではギュッと強く手を握るのが親しみの表現ですが、日本人の握手はあまり力を込めません。こうした違いを知らないと、アメリカ人と握手した日本人は「この人は攻撃的だ」と思ってしまい、握手に力を込めない日本人をアメリカ人は「自分に関心がない」と受け止めてしまうこともあります。
このような文化的な違いをきちんと認識し、間違った思い込みや考え方で相手に先入観を持たないようにすることも大切です。

■ アサーティブな感情表現について
アサーティブな感情表現をするうえで、まず前提として覚えていただきたいことは次のことです。

人間はさまざまな感情をもっている動物である。
それらのさまざまな感情を表現してよいし、表現してはいけない感情はない。

「いつも、にこやかでいなくてはならない」「怒ってはいけない」というのでは、自分の率直な感情が伝わりません。
大切なのは、「感情に善し悪しはない」ということです。

次に、「自分の感情は自分自身のものとして認識する」ということも大切になります。ただし、そのときに必要なのが、「感情に流されないようにする」ということです。

感情は誰のものでもなく自分のもの。
誰かのせいで起こるものではないので、自分の責任で表現してよい。
自分で起こしているものなので、自分でコントロールできる。

たとえば、大きな音で流れる音楽を聴いて「うるさい!」と思う人もいれば「いいな!」と聴き入る人もいる。あることに対する感情は自分が引き起こしているのであって、音楽そのものが引き起こしているわけではありません。自分が起こしている感情なのですから、必要に応じて必ず自分でコントロールできるはずです。
さらに、相手に自分の感情を伝えるときに大切なのが、「言行を一致させる」ことです。
何かを頼まれたとき、ふくれっ面をしながら「いいですよ」と答えても相手は、あなたの態度が発するNOと、言葉としてのYESの2つの矛盾したメッセージをどう捉えていいか戸惑ってしまいます。
あたりまえのことですが、こうした言葉と行動を一致させることも大切です。

ここまで、アサーションの考え方、言語的表現、非言語的表現についてお話ししてきました。最後に、私たちの持つ喜怒哀楽の中でも、誰もが最も取り扱いに苦しむ、「怒り」について少しお話しさせていただきたいと思います。

■ 怒りをコントロールするために
ストレス社会といわれる今日では、感情の中でも「怒り」を持て余してしまう人が決して少なくありません。みなさんの中にもおいでではないでしょうか? ここでは「怒り」をアサーティブに表現するための7原則をご紹介します。

1 怒りは人間にとって、あって当たり前の健康的な感情です。
怒ることを恐れる必要はありません。
まずは、「今、自分が怒っているんだ」ということを認めてあげましょう。
2 「怒り」には程度があることを知っておいてください。
あなたの「怒り」はどれに当てはまりますか?
怒りの程度
3 相手に自分の「怒り」を表現するか否か、あなたには、それを選択する自由があります。
4 怒りを表現するときには、穏やかに表現することを心がけましょう。
なるべく、怒りが小さいうちに表現するとよいでしょう。
5 一つひとつは小さな怒りでも、それを溜めこむと、ちょっとしたきっかけでドカンと大きく爆発します。小さな怒りであっても溜めこまないようにしましょう。
6 自分が相手に期待しすぎていないかを考えましょう。
過度な期待をしていたことに気が付けば、怒りをキャンセルすることもできます。
7 自分の怒りの原因を探してみましょう。
「○○すべきだ」という非合理的な考えがないか、本来「お願い」であったことを「命令」に変換してしまっていないかなど、原因を突き止めてみましょう。

■ 怒りをコントロールするために
ここまで、アサーションの理論についてお話ししてきました。
人の生命を守る医療現場では、迅速な判断を迫られる場面が多く、周囲の人々と衝突したり、意見が食い違う場面も多いのではないでしょうか。そんなときこそアサーションを思い出してみてください。
ここでお伝えしたことはアサーションの基本的な理論です。もっとアサーションについて知りたい方は参考文献の『改訂版アサーション・トレーニング』を読んでみてください。具体的に自分の問題を練習して解決したい人はアサーション<自己表現>・トレーニングを受けることをお勧めします。

自分の考えをしっかりと伝え、相手の意見もしっかりと受け止める人間関係は、質の高い医療提供の土台となると私は考えています。みなさんがアサーティブな医師として活躍されることを願っています。

改訂版アサーション・トレーニング さわやかな〈自己表現〉のためにアサーション・トレーニング 自分らしい感情表現~ラクに気持ちを伝えるために

参考文献
平木典子著(2009)
『改訂版アサーション・トレーニング さわやかな〈自己表現〉のために』(日本・精神技術研究所)
土沼雅子著(2012)
『アサーション・トレーニング 自分らしい感情表現~ラクに気持ちを伝えるために』(日本・精神技術研究所)