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 > 〔3時限〕【言語的表現】アサーティブな表現での問題解決

【第12回】アサーションで人間関係を円滑に

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みなさんの周りには、患者さんをはじめ、看護師や技師、指導医や同僚など多くの人との人間関係が存在します。それらすべての人間関係が良好であることが理想ですが、うまくいかないこともあるのではないでしょうか?言いたいことが言えなかったり、攻撃的になってしまったり…。そんなときに大切なのは、しっかりと自分の気持ちを把握しながら相手と関わること、そして、その場にふさわしい自己表現をすること。こうした人との関わり方を「アサーション」と言います。今回は、アサーション・トレーニングの講師として講演やセミナーを行なっている私が、この「アサーション」についてお話しさせていただきます。

石井 隆之

石井 隆之(いしい・たかゆき)
臨床心理士 アサーション〈自己表現〉トレーニング認定トレーナー
東京都生まれ。東洋大学大学院文学研究科教育学専攻修士課程修了。都内私立高校非常勤講師を経て、日本・精神技術研究所に入社し、心理測定事業部判定員として活躍。グループアプローチを専門とし、病院・企業をはじめ、さまざまな場面でアサーション・トレーニングのセミナーを担当している。川村学園女子大学心理学科非常勤講師、社会保険中央看護専門学校「人間関係論」非常勤講師も務める。

スマートDr.養成講座 第12回 アサーションで人間関係を円滑に

〔3時限〕 【言語的表現】アサーティブな表現での問題解決

■ 言葉によるアサーションとは
私たちの暮らしの中の情報伝達の代表的な手段として「言葉」があります。
1時限、2時限では、アサーティブな「考え方」についてお話ししてきましたが、この3時限では、「言葉でのアサーティブな表現」についてお話しします。
アサーションの言語的表現については、大きく分けると2つの機能があります。

メンテナンス機能
人間関係を作る、維持する、回復するための言動
パフォーマンス機能
課題を達成する、発生した問題を解決するための言動

この「メンテナンス機能」と「パフォーマンス機能」について、ひとつひとつ見ていきましょう。

■ 人間関係を円滑にするメンテナンス機能
良好な人間関係を築き、それを維持していくために、そして問題が生じた場合には、その関係を修復するために、アサーションのメンテナンス機能を十分に活用しましょう。
ここではその際に心がけたい「4つのポイント」をご紹介します。

メンテナンスの4つの心構え (1) 自分を相手に知らせる

コミュニケーションは、「自分を誰かにわかってもらいたい」という思いから生まれるものです。
私たちが発言するとき、それは自分の考えや感じ方を他者に伝えたいと思っているときです。しかし時として、その気持ちを上手に表現できず、思いとは裏腹に黙りこんだり、思ってもないことを言ってしまったり…。極端になると、伝えたいことと真逆のことを言ったりすることもあります。
それらは、心の扉を十分にオープンにしていないためであることが多いのです。心の扉を固く閉ざしていては、円滑なコミュニケーションは生まれません。自分の心の扉を開けて自己開示することは、相手にオープンマインドを促すことにもつながっていきます。

メンテナンスの4つの心構え (2) 「おまけの情報」の提供

「おまけの情報」とは、買い物をしたときに、おまけを付けてもらうと嬉しくなって、そのお店に好感を持つように、会話のなかで何かの質問を受けたとき、その答えだけで会話を終わらせるのではなく、さらに会話が深まる。そんな「おまけ」の一言のことです。

「おまけ」の一言
「おまけ」の一言

質問に回答することで、相手の要求は満たしたという考え方もありますが、会話はキャッチボールのようなものですから、質問の回答とあわせ、関連した質問や話を相手に投げることで、相手は「この会話」に対し、あなたが興味を持っていることを感じ取り、よい関係、よいコミュニケーションが育まれるのです。

メンテナンスの4つの心構え (3) 質問の使い分け

質問には「開かれた質問」と「閉じられた質問」があります。イエスとノーだけで答えられる質問は、閉じられた質問です。たとえばみなさんの場合、問診のときに患者さんに「風邪ですか?」とは尋ねず「どうされましたか?」と聞くことで、相手から言葉を引き出しますよね? これが開かれた質問です。

開かれた質問
相手は自分の意見を自由に話すことができる
閉じられた質問
相手は、「はい」「いいえ」などの単純な
選択回答しかできない
向いているのは
話を広げたいとき、
さまざまな情報を得たいとき
向いているのは
はっきりとした結論を聞きたいとき
メンテナンスの4つの心構え (4) 積極的に相手の話に耳を傾ける

私たちは相手の話を聞きながらでも、自分の思考をめぐらすことができますが、ともすると自分の興味・関心だけで相手の話を聞き流してしまうこともしばしばあります。
アサーションで強調しておきたいのは、相手が何を伝えようとしているかに、関心を持って耳を傾けるということです。「聴く」ということは、相手を大切にするアサーションといえます。

■ 問題解決を遂行するためのパフォーマンス機能
与えられた課題や、発生した問題を解決していくときには、アサーションの持つパフォーマンス機能を活用しましょう。このパフォーマンス機能を使いこなすには、自分の考えを十分に整理し、自ら把握しておくことが重要です。その考えを整理するための方法をご紹介します。

課題や問題を解決していくために大切なことは、全員で納得の行く、結論や方針を導き出すことです。そのために必要なのは、「今ここで議題とすべきことは何か?」を明確にすること。そして、それに対して自分はどう考えているかを正しく関係者に伝えることです。
そのために、次の3つのステップで考えてみましょう。

STEP1

問題にすべきは何?
この場では何を取り上げるかを明確にします。

STEP2

自分は何を言いたい?
この場では何を取り上げるかを明確にします。

STEP3

どのように言う?
言いたいことをどのように表現するかを考えます。

次に「では、どう言うか」のセリフ作りに役立つのが、DESC法です。
「自分の気持ちをうまく整理して表現できないかも…」というときや、どのように話せばよいか迷うときには、このDESC法が役立ちます。またこの思考法は、順序立ててものを考えたり、手順を決めて指示をする場合にも有効です。
このDESC法という名前ですが、それぞれのステップの頭文字からなる名前です。

D:Describe(客観的に描写する)
E:Express,Explain,Empathize(表現する、説明する、共感する)
S:Specify(具体的な提案をする)
C:Choose(選択する)

D describe : 客観的に描写する
これから対応しようとする現在の状況や相手の行動を客観的に描写します。ここでは、自分の感情反応を述べません。事実と自分の感情が混ざらないように注意しましょう。
E express,explain,empathize : 表現する、説明する、共感する
描写したことに対して自分の気持ちを表現したり、説明したり、相手の気持ちに共感したことを表します。自分の気持ちを表現しますから、ここでの主語は「私」です。
S specify:具体的な提案をする
相手にどうして欲しいかわかるように、具体的・現実的な解決策、妥協案を提案します。
C choose:選択する
相手がイエスの時、ノーの時にどうするか選択肢を用意します。

このDESC法をある状況に置き換えて考えてみましょう。
あなたの担当する患者さんのご家族から、看護師の説明に対してクレームが入ったときを想定して、DESC法を使って看護師と話をすると、たとえば次のようになります。

D 「あなたの説明が不足していると、患者のAさんの家族からクレームが入っています」
E 「今回選択した治療法についての説明が複雑で、一般の方に理解してもらえるように説明するのが難しいことは私もわかります」
S 「製薬メーカーさんや、医療サポートの会社などが、この治療法について一般の方にもわかりやすく説明したパンフレットを出しているので、今後この治療法を説明する際は、それを使って説明してもらえませんか?」
C describe : 回答がYESのとき
「じゃあ、パンフレットはナースセンターに回しますのでよろしくお願いしますね」

回答がNOのとき
「説明が難しそうなときは、私か○○先生に声をかけるようにしてもらえませんか」

慣れるまでは、会話の中で即座に実践するのは難しいかもしれません。
複雑なことを決めたり、重要な話し合いのときには、事前に、その課題や問題をDESC法に置き換えて考えておくと役立つでしょう。
4時限目では、アサーティブな非言語的表現についてお話します。