DtoDレジデントは、総合メディカルが運営する、医学生・研修医向けの総合キャリア情報サイトです

DtoDレジデントロゴ

医療機関の方へ

無料登録 会員登録

会員登録の4のメリット

会員登録の4つのメリット

詳しくはこちら

  • 医師のための転職・開業支援サイト
  • 日系メディカル×DtoD総合メディカル
  • 島根県の医学生・研修医向け情報
  • 都道府県別 研修医・医学生向け支援情報
  • 総合メディカル株式会社では、最も安全性の高い256ビット版SSLを使用しております
  • 総合メディカル株式会社はプライバシーマークを取得しております

 > 

 > 

 > 〔2時限〕【権利と考え方】アサーションをもっと理解しよう!

【第12回】アサーションで人間関係を円滑に

スマートDr.養成講座一覧はこちら

みなさんの周りには、患者さんをはじめ、看護師や技師、指導医や同僚など多くの人との人間関係が存在します。それらすべての人間関係が良好であることが理想ですが、うまくいかないこともあるのではないでしょうか?言いたいことが言えなかったり、攻撃的になってしまったり…。そんなときに大切なのは、しっかりと自分の気持ちを把握しながら相手と関わること、そして、その場にふさわしい自己表現をすること。こうした人との関わり方を「アサーション」と言います。今回は、アサーション・トレーニングの講師として講演やセミナーを行なっている私が、この「アサーション」についてお話しさせていただきます。

石井 隆之

石井 隆之(いしい・たかゆき)
臨床心理士 アサーション〈自己表現〉トレーニング認定トレーナー
東京都生まれ。東洋大学大学院文学研究科教育学専攻修士課程修了。都内私立高校非常勤講師を経て、日本・精神技術研究所に入社し、心理測定事業部判定員として活躍。グループアプローチを専門とし、病院・企業をはじめ、さまざまな場面でアサーション・トレーニングのセミナーを担当している。川村学園女子大学心理学科非常勤講師、社会保険中央看護専門学校「人間関係論」非常勤講師も務める。

スマートDr.養成講座 第12回 アサーションで人間関係を円滑に

〔2時限〕 【権利と考え方】アサーションをもっと理解しよう!

自分も相手も大切にしながら、自分の意見や考え、気持ちを率直に、正直に、その場にふさわしい方法で表現すること=「アサーション」について、2時限では、1時限の最後でお話しした「アサーティブになれない理由」とも関連する自己表現の権利=アサーション権と、アサーティブなものの見方や、考え方についてお話しします。

■ 基本的アサーション権とは?
アサーティブになれない理由としては、1時限目にお話しした「周囲の影響」の他に、「この場で自分の意見を発言してよいかどうかの自信がない」こともあげられます。
私たちは自分が言いたいことがあれば、「言っていい権利」を持っているというのがアサーションを支える考え方です。これは、基本的人権として、人間なら誰もが持っている権利です。誰にでもアサーション権は認められているということを覚えておいてください。
アサーションにまつわる権利は具体的に上げると100以上ありますが、ここでは、基本的な5つの権利をご紹介します。

アサーション権1 私たちは誰からも尊敬され、大切にしてもらう権利がある。

誰もが、自分の気持ちや考え、意見や価値観を持つ権利があり、それを表現する権利と、それを大切にしてもらう権利があります。

アサーション権2 私たちは誰もが、他人の期待に応えるかどうかなど、自分の行動を決め、
それを表現し、その結果について責任を持つ権利がある。

私たちは自分のとる行動について決定権を持っているということです。こういう生き方をしたいと思ったら、自分で決めていい。みなさんも医師を志す時点でそうされたと思います。ここで大切なのは、決めたのは自分自身であって、その結果を他人のせいにはできないということです。

アサーション権3 私たちは誰でも過ちをし、それに責任を持つ権利がある。

これは「人間である権利」ともいわれます。人間は誰しも完璧ではありませんし、人生そのものが試行錯誤の連続ともいえます。つまり人には失敗する権利があり、その結果は、自分のやり方で引き受けていけるということです。人の成長はこのくり返しと言えるのではないでしょうか?

アサーション権4 私たちには、支払いに見合ったものを得る権利がある。

「何か」を手に入れるために対価を支払ったなら、その支払いに応じた「何か」を手にする権利があるということです。つまり「欲しいもの」に掲げられた対価を支払ったのに、受け取ったのが「欲しいもの」でなかったのなら、「取り替えてほしい」と申し出る権利があるということです。

アサーション権5 私たちには、自己主張をしない権利もある。

自分の言動は自分で決めていいということです。つまり「この場では、自分の意見を表明しない」と決めることもできるのです。ただし、自分で「表明しない」という選択をしたのだから、その結果に対して後から文句を言わないこと。
アサーティブということは、主張したり、表明したりすることだけではなく、主張しなかったり、引っ込んだりすることもあるということを覚えておきましょう。

以上が、代表的な5つのアサーション権です。
アサーション権は、自分にあると同じように、相手にも同様にあることを知っておきましょう。まず自分の権利を大切にする。それと同時に同じような権利を持った相手がいるわけですから、相手の権利も大切にするという考えです。
今では一般的になってきましたが、インフォームド・コンセントなどは、患者さんのアサーション権4の典型といえるでしょう。
アサーション権を持つということは、お互いの権利と権利が葛藤することもあります。たとえ葛藤が起きたとしても、お互いに理解し合い、話し合っていくことがアサーションであり、円滑な人間関係を築く方法といえます。

■ ものの見方と考え方とアサーション
アサーションには、自分自身のものの見方や考え方が影響します。では私たちは日ごろどのようなものの見方や考え方をしているのでしょうか。
人の言動のもとになるものの見方や考え方の問題点を指摘し、自己成長と人間関係のあり方に大きな影響を与えたのが「論理療法」の創唱者A・エリスです。

A-B-C理論は、それぞれのステップの頭文字からなる名前です。
A:Activating Event(きっかけとなる出来事)
B:Belief(ものの見方、考え方、信念、思い込み)
C:Consequence(結果、問題、悩み、症状)

A-B-C理論 私たちは「問題や悩み(C)」が、「きっかけとなる出来事(A)」によって引き起こされたと考えがちです。
しかし、実は「きっかけとなる出来事(A)」を「どんな考え方(B)」で受け止めたかによって、「問題や悩み(C)」のありようは変わってくるはずという考え方がエリスの「A-B-C理論」なのです。

Yさんの場合
Zさんの場合
YさんとZさんの違いを見てもわかるように、(B)のものの見方や考え方が、合理的でない場合、その結果として問題や悩みが作られやすくなります。つまり逆に考えれば、ネガティブな結果(非合理的な結果)を作る原因は、非合理的なものの見方や考え方にある、というわけです。

■ 非合理的な思い込みをしていませんか?
腹が立つときや、落ち込むときは、自分でも気づかないうちに非合理的な思い込みをしていることが多いのではないでしょうか。
たとえば「目上の人の言うことは聞くべきだ」という思い込みを持っていたら、年長者から間違った指示を受けたときに、「年長者に自分の意見を言うことは悪いことだ」という非合理的な思い込みから、自分の考えを言い出せず、結果として理不尽な状況に立たされてしまうこともあるかもしれません。 しかし、そんな時、「目上の人であっても、人間だから間違えることもある」という考え方を持っていれば、自分の考えを伝えることができ、理不尽な状況に追い込まれることもないかもしれません。
これがアサーティブな考え方です。

アサーティブな考え方
願わくば、○○であるけど、違うこともある
アサーティブ
常に、○○すべきである
常に、○○せねばならない

非合理的な思い込みの具体例としては、次のようなことがあります。

  • ・ 人は誰からも愛され、常に受け入れられなければならない
  • ・ 人は完全を期すべきで、失敗をしてはならない
  • ・ 思い通りに事が運ばないのは致命的なことだ
  • ・ 人を傷つけるのはよくない。だから人を傷つけるような人は責められるべきである

合理的、否定的、破壊的な思い込みは捨てて、なるべく合理的、肯定的、建設的なものの見方や、考え方を身に付けることで、アサーティブな自己表現につなげていきましょう。
3時限目では、アサーティブな言語的表現についてお話します。