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 > 〔1時限〕【自己表現の在り方】アサーションとは何か?

【第12回】アサーションで人間関係を円滑に

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みなさんの周りには、患者さんをはじめ、看護師や技師、指導医や同僚など多くの人との人間関係が存在します。それらすべての人間関係が良好であることが理想ですが、うまくいかないこともあるのではないでしょうか?言いたいことが言えなかったり、攻撃的になってしまったり…。そんなときに大切なのは、しっかりと自分の気持ちを把握しながら相手と関わること、そして、その場にふさわしい自己表現をすること。こうした人との関わり方を「アサーション」と言います。今回は、アサーション・トレーニングの講師として講演やセミナーを行なっている私が、この「アサーション」についてお話しさせていただきます。

石井 隆之

石井 隆之(いしい・たかゆき)
臨床心理士 アサーション〈自己表現〉トレーニング認定トレーナー
東京都生まれ。東洋大学大学院文学研究科教育学専攻修士課程修了。都内私立高校非常勤講師を経て、日本・精神技術研究所に入社し、心理測定事業部判定員として活躍。グループアプローチを専門とし、病院・企業をはじめ、さまざまな場面でアサーション・トレーニングのセミナーを担当している。川村学園女子大学心理学科非常勤講師、社会保険中央看護専門学校「人間関係論」非常勤講師も務める。

〔1時限〕 【自己表現の在り方】アサーションとは何か?

■ 行動療法の中で生まれたアサーション
アサーションの発祥地はアメリカです。他者と上手にコミュニケーションをとっていくための考え方として看護師たちの間でも注目を集めてきました。その理論と方法は、1950年代に行動療法と呼ばれる心理療法の中から生まれました。アメリカは「自己主張がとても重要な国」という印象がありますが、当然、自己主張が苦手な人たちもいます。自分の意見をズバズバ言える人たちがほとんどという社会の中で、自分の意見を表現できない人たちが受けるプレッシャーは、日本の比ではありません。
アサーションはアメリカで、そんな「自分の意見をうまく表現できない」人たちに対して、「考え方や言動を変えることで、自分の意見を言えるようにしていきましょう」というアプローチから生まれたのです。
みなさんの中に、「その人との関係が悪くなることを恐れてNoと言えない…」「カッとなると、相手を必要以上に責めすぎてしまう」「人と関わることに苦手意識がある」という悩みをお持ちの方はいませんか?
自分の気持ちや考えを過不足なくきちんと正しく他者に伝えることは、とても大切なことです。オーバーにいえば、みなさんのように医療に従事する立場であれば、看護師やスタッフとのコミュニケーションのミスが患者さんの生命にさえ影響する、ということもあるのではないでしょうか?
こうした他者との上手なコミュニケーションのために有効な方法の1つとして、アサーションがあるのです。

アサーションとは…
自分も相手も大切にしながら、自分の意見や考え、気持ちを率直に、正直に、
その場にふさわしい方法で表現すること。

■ 3つの自己表現
アサーションの意味を理解していただくために、まずは、自己表現の仕方を大きく3つのタイプに分けて見てみましょう。

攻撃的(アグレッシブ)
自分のことだけ考えて、他者を踏みにじるやり方

強がり、尊大、無頓着、他者否定的、操作的、自分本位、相手に指示、優越を誇る、支配的、一方的に主張する、責任転嫁「私はOK、あなたはOKでない」
非主張的(ノン・アサーティブ)
常に他者を優先して、自分のことを後回しにするやり方

引っ込み思案、卑屈、消極的、自己否定的、依存的、他人本位、相手任せ、承認を期待、服従的、黙る、弁解がましい、「私はOKでない、あなたはOK」
アサーティブ
自分のことをまず考えるが、他者をも配慮するやり方

正直、率直、積極的、自他尊重、自発的、自他調和、自他協力、自己選択で決める、歩み寄り、柔軟に対応する、自分の責任で行動「私もOK、あなたもOK」
  • 後味の悪さを感じる
    後悔する
    孤立する
    周囲が従属的態度になる
  • 欲求不満が溜まる
    被害妄想
    無気力になる
    ストレスからの八つ当たり
  • 話し合うことができる
    歩み寄ることができる
    納得した結論を得られる
    葛藤を恐れない

この3つのタイプをみなさんの職場である病院に置き換えると次のようになります。

CASE あなたと同僚の医師が入院患者の回診をしようとしています。
あなたは、入院患者のAさん、Bさん両方の病状を知ったうえでBさんの診察を優先するべきだと思っていますが、
同僚の医師は順路どおりAさんから診察しようと言っています。

そんなとき、あなたはどんなアクションをとりますか?

攻撃的(アグレッシブ)

Action
あなたは自分の意見を通すために、大きな声で怒鳴って「Bさんを優先させるべきだ」と訴えます。同僚の医師は、あなたの勢いに押されて本心から納得できたわけではないですが「じゃあ、Bさんの治療を優先させよう」とあなたの意見を通してくれました。
Effect
自分の意見が通ったので、あなたは満足しますが、怒鳴ったことでその場の雰囲気が悪くなり、周りにいた看護師にもバツが悪くなってしまいます。
同僚の医師は侮辱された感じがして、不愉快な気持ちになっています。

非主張的(ノン・アサーティブ)

Action
「Bさんを優先した方がいいのに…」と思いながらも相手には何も言わず、相手の意見に従います。
Effect
あなたは、内心では納得できず、意見を飲み込んでしまったこと、そしてBさんに十分なことをできなかったことを後悔して、自分への自信をますます失います。 また、同僚の医師は、あなたがそんな思いをしていること以前に、反対意見を持っていたことにも気づきません。

アサーティブ

Action
同僚の医師に、「Bさんを優先させるべきだと思っている」という自分の考えを、ていねいにはっきりと伝えます。
同僚の医師はあなたの考え方を理解した上で、自分がどうして順路通りに回診すべきと考えているか話してくれたので、双方納得する回答を導くことができました。
Effect
あなたは、同僚の医師と意見交換をしたうえで納得できる行動を決定できたことに満足し、自分への自信を高めます。
同僚の医師は、あなたのことを、共に意見を交換し合うことができる同僚として信頼を深めます。

アサーティブな表現方法をとることで、相手も自分も納得できる結論が導きだせるだけではなく、良好な人間関係が築けることをわかっていただけたでしょうか?

■ アサーティブになれない理由
ではなぜ、人にはアサーティブなれない人や、ふだんはアサーティブなアクションがとれているのに、状況によってアサーティブになれない場面があるのでしょうか。その大きな理由の一つには、「自分の気持ちを把握できていない」ことがあげられます。

人は、自分の言いたいことが自分ではっきりわからないときには、アサーティブになることはできません。自分の気持ちが不明瞭なのですから、表現できないのは当然です。
ならば、常に自分の考えをはっきりさせておけばよいかといえば、実はそれ以前の根深い問題があります。それは、「これまで、自分の気持ちに目を向けて、自分の気持ちときちんと向き合ってきたか」ということです。
対話の中で、「結局あなたは何が言いたいの?」となってしまうことが多い人は、もしかしたら、自分の気持ちにきちんと目を向けてこなかったのかもしれません。

アサーションのポイント
自分も相手も大切にしますが、自分を後回しにはしません。

「自分が今何を感じ、何を思っているのだろうか」ということをわからなければ、自分を表現することも、自分の気持ちを大切にすることもできません。

では、なぜ自分の気持ちにまっすぐに目を向けることができないのでしょうか? その原因のひとつに、これまで育ってきた周囲の影響があげられます。たとえば幼少期。玩具の取り合いになったとき、「貸してあげなきゃだめでしょう」とばかり言われていると、「自分がなぜ貸したくないのか」ということを表現する機会がなくなります。自分の気持ちを抑えるために、自分の気持ちに鈍感になるのです。
「うざい」という若者言葉がありますが、すべてを「うざい」で片付けてしまう若者たちは、「なんでうざいのか?」という気持ちに目を向けきれていないのかもしれません。
自分がどうしたいかわからなくなったときこそ、一歩立ち止まって自分の気持ちに目をむけてみましょう。
まずは自分の気持ちに目を向けることからアサーションは始まります。

2時限目では、自己表現する権利(=アサーション権)についてお話しします。