1. 【第8回】 福祉用具プランナー

在宅医療を始めたいドクター必読 多職種連携図鑑

【第8回】 福祉用具プランナー

>>一覧はこちら

福祉用具の専門家との連携で患者の自立支援を強化

連携成功のために知っておきたいポイント
(1) 患者さんに適した福祉用具を支援するために伝えるべきこととは…
(2) 患者さんの病状に変化があった場合は…
(3) 院内スタッフに福祉用具プランナーの資格を取得させるメリットとは…

障がい者やADLが低下した高齢者の自立支援・QOL向上を図るために開発・販売されている福祉用具は、年々その数が増えています。ベッド、ポータブルトイレ、日常生活動作を行いやすくする自助具(生活補助具)、車いすといった移動機器など種類が多岐にわたり、公益財団法人テクノエイド協会が運営している国内最大の福祉用具データベース「福祉用具情報システム」(TAIS:Technical Aids Information System)に登録されているだけでも約8000点に上ります。個々の身体状況に合わせたオーダーメードのものもあるため、福祉用具選びには豊富な知識と経験が求められます。

福祉用具の取り扱いに関連する職種は、福祉用具専門相談員と福祉用具プランナーがあります。前者は、要介護者が介護保険を使って福祉用具を利用する際に、その選定や利用計画の見直しなどをおこなう職種で、介護保険の指定福祉用具貸与・販売事業所には常勤で2人以上の配置が義務付けられています。後者は、福祉用具関連業務で2年以上の経験などが研修受講要件で、福祉用具専門相談員と同様、同指定福祉用具貸与・販売事業所に勤務しています。依頼があれば介護保険利用者以外の福祉用具の選定なども担います。

福祉用具プランナーの研修などをおこなうテクノエイド協会普及部の矢沢由多加次長は「福祉用具を選ぶには、用具自体の知識のほか、介護保険制度や障害者に関連する制度の知識、利用者の身体状況や生活動線などを踏まえて福祉用具とのマッチングができる能力が必要です」と指摘します。

福祉用具による事故は操作ミスなどヒューマンエラーに起因するものが多いため、使い方の説明や注意喚起なども福祉用具専門相談員や福祉用具プランナーの大事な役目。開業医にとって福祉用具の新商品や事故に関する情報を、診療の合間をぬって収集するのは大きな負担であり、信頼できる福祉用具の専門職との連携は必須と言えるでしょう。

開業医が福祉用具専門相談員や福祉用具プランナーとの連携を求められるのは、自院の患者さんが福祉用具を必要とする状態となり、指定福祉用具貸与・販売事業所に紹介する場合などが考えられます。
「福祉用具を選ぶ際は、利用者さんの身体状況や生活動線、主な介護者などの介護環境を把握しなければなりません。そのため主治医には、現在の病気だけではなく既往症や日常生活の様子など、さまざまな情報を提供していただければと思います」(矢沢次長)

選んだ福祉用具が合わなければ、患者さんの自立支援がかなわなくなるうえQOLが低下しますし、介護者の負担が増加する可能性があります。車いす一つとっても、主介護者の年齢・性差によって体力が異なるため、選ぶ基準が変わります。高齢者のなかには、選んだ福祉用具が多少合わなくても我慢してしまう人もいます。そうならないためにも、医師には積極的な情報提供が求められるでしょう。

基本的に介護保険内で福祉用具を使う場合はレンタルです。というのも、利用者の身体状況や病気の進行などに合わせて定期的に見直す必要があるためです。もし自院の患者さんの状態に変化が見られた場合は、レンタル期間終了まで待たずに、主治医は福祉用具専門相談員や福祉用具プランナーに相談し、福祉用具選びにつなげることも大切です。

また、こうした福祉用具専門職を院内スタッフとして抱える医療機関も増加しつつあります。矢沢次長は「最近では福祉用具プランナーの研修受講者の3割を、医療機関に勤める看護師やセラピスト、保健師や義肢装具士が占めています」と説明します。

自院に福祉用具選びのスペシャリストがいれば、患者さんの身体状況に変化があった場合、そのつど福祉用具を見直すなどの早急な対応ができます。医療職出身の福祉用具プランナーは医療的な視点から身体状況を詳細まで把握してアドバイスができるという利点もあります。そのため、自院のスタッフに福祉用具関連資格の取得を促すなどをしてみてもいいでしょう。たとえば、各地域にある介護実習・普及センターでは実際に福祉用具を見て触れることができます。そうした場所にスタッフを連れて行き、資格取得への意欲を喚起するのも一つの方法です。

今後、福祉用具の利用者がますます増加することが見込まれるだけに、開業医には院内外の福祉用具専門職と連携を図って、自院の患者のニーズに迅速・的確に応えていかなければならない場面が増えていくに違いありません。

福祉用具プランナーとは

公益財団法人テクノエイド協会が提唱している資格で、福祉用具を必要とする高齢者や障がい者に対し、必要な福祉用具の選択を援助したり、その使用計画を策定したりします。資格を取得するには、福祉用具関連業務に2年以上従事しているなどの研修受講条件を満たしたうえで、履修時間100.5時間のカリキュラムを受ける必要があります。そのうち、「座学」(48.0時間)についてはe-ラーニング、「実技・演習・修了試験」(52.5時間)は集合研修となっています。集合研修最終日に修了試験があり、2013年度現在で累計1万2,127人が資格を取得しています。

記事提供

株式会社日本医療企画

株式会社日本医療企画
〒101-0033 東京都千代田区神田岩本町4-14 神田平成ビル
【トピックス】
・開業医や開業志向勤務医をサポートする最新クリニック総合情報誌
CLINIC BAMBOOばんぶう
・Amazon.co.jp書籍介護部門ランキング1位(2014/11/14調べ)
2015年度まるわかり!『介護保険制度改正のすべて』