1. 【第7回】 介護職(ホームヘルパー)

在宅医療を始めたいドクター必読 多職種連携図鑑

【第7回】 介護職(ホームヘルパー)

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要介護者の日常生活をサポート 迅速な情報共有で在宅ケアの質向上

連携成功のために知っておきたいポイント
(1) 患者(利用者)さんの容態変化時に介護職から迅速に連絡をもらうには…
(2) 介護職が連絡・コミュニケーションをとりやすい環境とは…

在宅医療を受けている高齢者のほとんどは介護保険で、要介護・要支援と認定されています。認定を受けた後、ケアマネジャーが作成したケアプランに基づき、介護職は身体介護や生活援助などのサービスを提供。制度創設から15年を経て、複雑だった介護職のキャリアパスも見直され、2013年度には介護職員初任者研修、介護職員実務者研修が新たに誕生。介護福祉士までのキャリアパスの確立が図られました。

これらの介護職は、医療職以上に頻繁に要介護者の自宅を訪れているため、彼らとうまく連携できれば、医師は患者の様子を迅速かつ詳細に把握することができます。

訪問介護事業を手がける株式会社さくらケアのサービス提供責任者であり、介護福祉士の資格を持つ岡﨑美穂氏は「毎日、利用者さんの自宅に伺うこともあるため、介護職はいつもと違う様子にすぐに気づくことができます」と話します。
たとえば夏場であれば、室内温度や食事状況、利用者本人の話し方などから脱水症状を疑い、ケアマネジャーを通じて医師や看護師に連絡し、事なきを得たこともあります。医師や訪問看護ステーション、地域の医師会が用意している「脱水症の見分け方」などのプリントが参考になったといいます。
高齢患者の場合、ちょっとした変化にすぐに気づき対応しなければ、病状が悪化してしまう可能性があります。医師は事前に「気をつけてほしいチェックポイント」を文書などにまとめ、介護職に渡すことで、そうした事態を防ぐことができるでしょう。

また、同社では近隣の在宅医に、現場の介護職に向けた研修会の講師を依頼しています。
「これまで糖尿病患者さんの食事の留意点やサプリメントの飲み合わせ、血圧などの数値の見方などについて具体例を挙げて教えてもらいました。介護職は利用者さんの食事をつくることが多いので、役立っています」と、岡﨑氏はメリットを語ります。

病気の状態は一人ひとり異なるため、基礎的な知識を得たとしても、介護職が利用者の自宅を訪れた際に不安や疑問を持つことも多くあります。しかし、医師に対して高い壁を感じ、実際に相談できる介護職はほとんどいません。こうした状況に鑑み、「ケアマネタイム」として、医師側がケアマネジャーからの相談を受け付ける時間を公表しているところもあります。
国訪問介護協議会会長も務める同社の荒井信雄代表取締役社長は、こう期待を寄せます。「相談対象をケアマネジャーだけではなく介護職全体に広げることで、さまざまな介護職も不安や疑問が解決でき、安心して利用者にサービスを提供できるようになるでしょう」
在宅医療・介護を担う多職種のなかでも、医師と介護職は直接的な接点がほとんどなく、ケアマネジャーを通じて連絡を取り合うことが多くあります。そのため、よく医療職と介護職の間には共通言語がないと言われますが、岡﨑氏は「医師からの連絡事項はケアマネジャーを介して介護職に伝えられるので、特に問題は生じていません」と語ります。
荒井社長も「そもそも医師と利用者(患者)さんの間にも共通言語はありません。ですから、仮に医師が介護職と話すことがあっても、利用者さんに説明するときと同じように話してくれれば伝わるでしょう」と応じます。

医療用語を介護者側が理解していないのと同様に、医師のなかには介護保険制度の仕組みなどをよく知らない人もいます。
「患者さんの服薬管理をしてほしいと言われることがあります。介護職は服用をしたか、していないかの確認はできますが、薬をセットはできません。一包化などの準備は看護師や薬剤師などにしてもらう必要があります」(岡﨑氏)
研修会などを通じて医療的な知識を教えるだけではなく、介護面でわからないことがあれば率直に質問するといった医師のオープンな態度が良好な関係づくりには欠かせないといいます。

「医師も介護職も、患者さん・利用者さんの生活を支えるという目的は一緒です。医師からも積極的に介護職とコミュニケーションをとってほしいですね」(荒井代表取締役社長)
そのツールの一つとして荒井代表取締役社長は、利用者の家に複写式のノートを置き、連絡事項を書き込み、それを医療職・介護職が共有することを提案します。
「介護職は医療的な知識がそれほどあるわけではないので、医師や看護師に伝える情報のなかには、無駄なものや必要がないものもあるかもしれません。それでも医師や看護師が読んだ印にサインをしてくれるだけで、介護職のモチベーションが上がり、活発に情報を伝えるようになるでしょう」

高齢化の進行により、要介護・要支援の認定を受ける人はさらに増えていく。要介護者はやがて在宅医療・介護を受ける可能性があります。そうした将来を見据え、医師は積極的に介護職と連携すべきと、荒井社長は強調します。
「利用者さんから、いい在宅医を知らないかと聞かれることもあります。介護職とつながりを持っていれば、そうした声に応えることができ、経営面でもプラスになることは間違いありません」

介護職とは

要介護者の身体介護(食事や排せつの介助、入浴介助など)や生活援助(掃除や洗濯、調理など)を行う。介護人材のキャリアパスの見直しにより、2013年度からホームヘルパー2級に代わる資格として「介護職員初任者研修」、介護職員基礎研修とホームヘルパー1級を一本化した資格として「介護職員実務者研修」が誕生。2015年度からは受験要件として介護職員実務者研修を修了することが加わります。

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株式会社日本医療企画

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