1. 【第3回】 セラピスト(リハビリ職)

在宅医療を始めたいドクター必読 多職種連携図鑑

【第3回】 セラピスト(リハビリ職)

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情報共有化で専門用語の壁を越える 患者さんの社会参加にも大きく寄与

連携成功のために知っておきたいポイント
(1) セラピストが担っている役割とは…
(2) 職種ごとの「専門用語の壁」を乗り越えるには…

患者さんの身体機能低下の防止に欠かせないリハビリテーション。一口にリハビリといっても、通院リハのほか、訪問リハ、通所リハ、短期入所療養介護(個別リハ)があり、通院リハは医療保険、通所リハと短期入所療養介護(個別リハ)は介護保険、訪問リハは医療保険と介護保険の給付となっています。リハビリを担う職種も、患者さんが抱える問題によって、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士のいずれか、もしくは共同とケースバイケースです。そのため、医師が連携するセラピストの所属先も医療機関や介護施設などさまざまです。

セラピストの主な役割は患者さんの身体機能の維持・回復です。東京都大田区にある山王リハビリ・クリニックはリハビリに特化した診療所で、通院リハのほか訪問リハや通所リハ、メディカル・フィットネスなどを提供。同院で理学療法士として働く友清直樹係長は、来院患者さんだけではなく、病院からの退院直後の患者さんのリハビリニーズの高まりを指摘します。
「病院で集中的に機能回復訓練を受けていた患者さんが、平均在院日数の短縮化でこれまでよりも早い時期に在宅に移行しています。そうした患者さんの場合、訪問リハなどを継続すれば、身体機能の改善や入院中に獲得した機能を維持できる場合があります」

加えて現在では、セラピストに機能回復訓練以上の役割も求められています。たとえば、身体機能に障害を持つ患者さんがリハビリによって食後に食器を台所まで運べるようになれば、患者さんは家庭における自分の役目をそこに見いだせ生活に張り合いが出ます。機能回復訓練と生活を一体的に考えてリハビリの目標を設け、社会参加につながるような支援をするのもセラピストの大きな役割でしょう。医師は、こうした役割を踏まえて連携すれば、より患者さんのプラスとなる診療や助言ができます。

多職種連携にあたっては、医療職以外にも介護職などさまざまな専門職がかかわるため共通言語を持ち、専門用語を理解することが大切です。理学療法士22人、作業療法士5人、言語聴覚士3人と数多くのセラピストが勤務している同院では次の3つの方法で解決しているそうです。
1つ目はカンファレンスや勉強会を多職種でおこない、その場でわからない言葉があれば、遠慮しないでお互いに質問することです。
2つ目は医師の診察に相談員という専門職が同席し、医師とセラピストのかけ橋となること。それにより医師の意図と合ったリハビリの目標設定ができます。
「リハビリの途中で疑問点が出てきた場合は後で医師に質問することになるので、入職間もないセラピストでも質問できる雰囲気づくりをしてくれる先生はありがたいですね」(友清係長)
最後は、必要に応じて患者さんの様子を動画で撮影し、それを院内のパソコンで共有することです。文章よりも動画のほうが患者さんの状態が正確に伝わるうえ、経験が浅いセラピストは自分の受け持ち以外の患者さんの様子を見て勉強できます。

同院では、院外の介護職との連携でも工夫をしています。
高齢者の場合はケアマネジャー、学生の場合は学校の先生など、患者さんにかかわる人には積極的に来院して、リハビリの様子を見てもらっています。常に門戸を開いておくことで情報共有化だけではなく、顔の見える関係も構築できます。
現在は業務時間の都合上、なかなかサービス担当者会議に参加できませんが、今後はテレビ電話を活用して積極的に参加して介護職との距離をさらに縮め、情報共有を図る考えです。友清係長はこう語ります。「セラピストと介護職の仕事は機能回復訓練など重なり合う面もあります。フラットな関係を構築し、お互いに提案し合ったり補い合えたりできれば、より効果的な訓練が提供できると思います」

医師がセラピストと連携するには、自院で雇う、主治医として訪問看護指示書を作成し訪問看護ステーションのセラピストに訪問リハをおこなってもらうといった方法があります。自院で雇用するとコストがかかるものの、診療所における脳梗塞や脳出血など脳血管疾患患者のリハビリニーズは今後さらに高まると友清係長は見ています。
「脳血管疾患に関するリハビリを提供できる診療所は多くないので、もしリハビリを提供できれば回復期からかかわれますし、他院との差別化にもつながります」
患者さんの機能回復訓練や社会参加に大きな役割を果たすセラピスト。その力をうまく活用したいところです。

セラピスト(リハビリ職)とは

理学療法士・作業療法士・言語聴覚士など、リハビリテーションの専門家の総称。理学療法士は座る・立つ・歩くなどの基本動作に障害がある人、作業療法士は身体または精神に障害がある人、言語聴覚士は言葉によるコミュニケーションや摂食・嚥下に問題がある人、またそうした障害の発生が予測される人を対象としています。いずれも国家資格で、主な就職先は医療機関ですが、福祉施設や教育現場などで働くセラピストもいます。

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株式会社日本医療企画

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