在宅医療を始めたいドクター必読 多職種連携図鑑

【第1回】 管理栄養士

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在宅患者さんの栄養状態改善には無理なく取り組める指導が鍵

連携成功のために知っておきたいポイント
(1) 管理栄養士の仕事内容とその必要性とは…
(2) 栄養指導をおこないやすい環境をつくるには…
(3) 管理栄養士を雇えない診療所がとるべき方法

特定健診・特定保健指導(メタボ健診)の開始で、特定保健指導をおこなう管理栄養士が注目されるようになりました。
しかしその仕事内容について、周辺の専門職の理解は進んでいません。
公益社団法人日本栄養士会の理事で、社会福祉法人緑風会緑風荘病院の西村一弘主任は、「栄養士の主な仕事として栄養指導が挙げられますが、塩分や糖分などの摂取制限をするだけというイメージを持っている人も多くいます」と指摘します。

単に制限をするだけなら管理栄養士でなくてもできると考え、自分たちでおこなう医師や看護師もいます。けれども管理栄養士は制限するだけではなく、それをふまえたうえでおいしく食べられるメニューを提案するなど、自宅でも無理なく実行できるように指導します。糖尿病の患者さんでも食べられるおやつを提案することもあり、メニュー提案時には、患者さんの生活習慣や経済状況も考慮するので、栄養指導が画に描いた餅にはなりません。

医療法人日米会鷺沼診療所の管理栄養士の出口史子氏も、「患者さんのできる範囲内で行動変容を促すという考えで栄養指導をおこなっています。患者さんの生活をサポートするという意識を持つ管理栄養士は増えていると思います」と語ります。
在宅移行が進むなか、管理栄養士の役割はさらに拡大。西村氏は入院患者さんだけではなく、在宅患者さんの栄養指導も実施し、介護者のことも考えてメニューを作成し、負担軽減につなげています。加えて配食サービスの見直しなども、管理栄養士の重要な役割の一つです。
「在宅患者さんの場合、ケアマネジャーが配食サービスを選ぶケースが多くありますが、栄養面で問題がある状態も見られます」と、西村氏は警鐘を鳴らします。

管理栄養士と医師がうまく連携するには、どうしたらよいのでしょうか。出口氏は、「まず院長先生が管理栄養士を必要だと思ってくれること」を第一条件に挙げます。鷺沼診療所では、行形毅(ゆきなりつよし)院長が「医食同源」をコンセプトに掲げ、「食生活を改善して病気を予防することが大切」と考えています。そのため管理栄養士の必要性を感じ、率先して出口氏に栄養指導を依頼することで、働きやすい環境が生まれています。行形院長の診察に出口氏が同席することもあり、それによって情報共有もできているそうです。
同院では、来院した患者さんの中から対象者を見つけ、栄養指導を受けるように促しています。その際に使用しているのが、「栄養指導にかかる費用、時間、対象となる主な疾患の一覧」を記した用紙や、身長ごとに肥満と見なされる体重を書いた一覧表。出口氏が作成し、医師や看護師、医事スタッフに渡しています。こうした工夫で、各スタッフは通常の業務フローのなかで負担なく栄養指導の対象者を見つけて出口氏に伝えられますし、患者さんからの質問にもスムーズにこたえることができます。

同院の場合、出口氏が医療職の思い・要望を推し量ってこうしたツールを作成していますが、医師の側から必要なツール作成を管理栄養士に依頼すれば、スムーズな連携の実現につながるでしょう。
とはいえ、診療所の中には管理栄養士を雇用する経営的な体力がないところも少なくありません。そんな診療所には、栄養ケア・ステーションを活用してほしいと、西村氏は提言します。栄養ケア・ステーションは栄養支援をおこなうために2008年4月に設置され、都道府県栄養士会が運営。一般向けの栄養相談や食育活動、企業や団体などに向けたセミナー・研修会の開催、社員の健康管理などを担っています。
「現在は各都道府県に1カ所ずつしかありませんが、今後はさらに同じような機能を持つセンターを増やす予定なので、こうした機関と連携してもらえればと思います」
また、自院に栄養指導が必要な疾患を持つ患者さんが少ししかいないなら、ほかの診療所と連携して患者さんを1カ所に集め、同ステーションから栄養指導の講師を派遣してもらうといった方法も考えられるでしょう。

管理栄養士とは

栄養士は都道府県知事の免許を、管理栄養士は厚生労働大臣の免許を受けて、栄養指導をおこなう者のこと。栄養士になるには、管理栄養士養成施設や栄養士養成施設で学ぶ必要があります。前者の施設を修了した者は即、後者の施設の修了者は一定の実務経験を積んで管理栄養士国家試験を受け、合格すると管理栄養士免許が得られます。毎年約1万8000人が栄養士免許を取得し、そのうち約半数が医療機関や福祉施設、学校、研究・教育機関などで働いています。

記事提供

株式会社日本医療企画

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