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今さら聞けない…?デング熱の現状と対策

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デング出血熱で11年ぶりの死亡例

この夏、日本選手勢の史上最多のメダル獲得で、大きな盛り上がりを見せたリオ・オリンピック。開幕前、ジカウイルス感染で不安視されていたのが遠い昔のようです。

このジカ熱と同じ蚊媒介感染症、デング熱の国内感染が報告されたのは一昨年の2014年夏のこと。早くも忘れ去られた感がありますが、国外に目を移すと流行する地域は拡大しており、決して楽観できる状況とはいえません。

デング熱は、熱帯や亜熱帯地方で主にみられるウイルス感染症です。デングウイルスを持つ、ネッタイシマカやヒトスジシマカなどに刺されることで感染します。3~7日(最大で2~14日)の潜伏期を経たのち、およそ2~5割の人が発熱や発疹などの症状を発症しますが、通常は1週間程度で回復します。

しかし、一部の症例では、重症化すると血小板減少や血漿漏出を伴うデング出血熱などを発症し、まれにですが死に至ることがあります。
日本では2005年の1例以降、死亡例は確認されていませんでしたが、今年7月、フィリピンから帰国した30代の女性がデング出血熱により死亡しました。

2014年感染者の約半数は国内感染

世界的にみると、地球温暖化や国際化による人の往来の増加を背景に、アジア、中東、アフリカ、中南米、オセアニア地域で流行しており、特に近年では東南アジアや中南米で患者数が急増しています。
このように渡航先での感染リスクが高まっているのに加え、日本でも2014年8月、約70年ぶりに都内で国内感染例が報告されました。感染の中心地となった代々木公園周辺で蚊の駆除作業が大々的に行われた光景を記憶されている方も多いでしょう。

ここ数年、日本でのデング熱感染は300前後ですが、この年に報告されたデング熱症例は341例、うち国内感染例は162例にのぼります。
ただ、この程度にとどまったという見方も可能でしょう。翌2015年の292例はいずれも国外での感染ですが、他国の例を言及するまでもなく、いったん国内で流行すると感染者が爆発的に膨れ上がる場合もありえるのです。

専門医療機関との連携も重要に

こうした国内感染を防ぐため、厚生労働省は国内感染発生直後の2014年9月、自治体向けに「デング熱国内感染事例発生時の対応・対策の手引き(第1版)」(国立感染症研究所)を作成・配布しました。
また、国内発症の流行地となった東京都でも、2020年の東京オリンピック・パラリンピックを見据え、2015年以降の感染対策として、蚊が発生しやすい水たまりの除去などを実施しています。

さらに、医療機関への啓発も進められています。2016年7月には、国立感染症研究所が「蚊媒介感染症の診療ガイドライン(第3版)」を作成。新たな科学的知見を加えるとともに、国内感染時の対応を含め、診療対応の考え方や手順を示しています。
重症型デング熱に罹患しても、専門医療機関で適切な治療を受ければ、致命率は1%未満に抑えられるといわれています。
国内外の感染リスクが高まる今、他人事とは言っていられません。あらためてデング熱に対する治療法や連携体制など、適切な対応について確認しておく必要があるといえるでしょう。

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