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同じ遺伝子でも性格は変わる?一卵性双生児と遺伝子の神秘

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分子生物学の発展がその謎に挑戦

一卵性双生児は、基本的にまったく同じ遺伝子を持っています。そのため、顔かたちはほとんどそっくりで、他人が見るとなかなか区別がつきません。
顔かたちがまったく同じほど遺伝子が同じなら、性格もまたまったく同じになっても不思議ではありませんし、日々の行動なども同じになるはずです。けれども、一卵性双生児であっても、必ずしも性格が同じであったり、同じ行動をするわけではありません。学校の得意科目も違いますし、スポーツの得意、不得意があることがわかっています。
いったいなぜそんなことが起きるのでしょうか。生命科学、分子生物学の発展によって、その理由の一端が科学的に解明されてきています。

同じ遺伝子だって働き方や活動の仕方に違いが出る

1953年に米国のワトソンとクリックが、DNAが二重らせん構造をしていることを発見して以来、ヒトを含めて生物の遺伝子配列の研究が進み、DNAに記録されている遺伝情報によって個人が決定されるという考え方が主流になりました。しかし、さらに研究が進み、「遺伝子の配列」は変わらないけれど、環境などによって「遺伝子が修飾され」、その働きに違いが生じることがわかってきました。それが「エピジェネティクス」と呼ばれるものです。
たとえば、同じ身体つきの遺伝子であっても、和服を着せるか洋服にするか、長靴をはかせるか、スポーツシューズをはかせるかによって、つまり「修飾する」ことによって、その働き方、活動の仕方にも違いが生じるということです。同じ遺伝子を持っていても、一卵性双生児の性格や行動などに違いが生じるのは、後天的に遺伝子が修飾を受け、働き方に違いが生まれるからと考えられています。

DNAのメチル化ってなに?

エピジェネティクス、つまり遺伝子が修飾を受ける理由はいくつかありますが、その一つが「DNAのメチル化」と呼ばれるものです。DNAは4つの塩基という物質の配列によって成り立っていますが、そのうちの一つ「シトシン」に付いている水素がメチル基(CH3)に変わることを言います。メチル化されるとその修飾を受けた遺伝子は不活発になります。ここで重要なポイントとなるのは、「塩基配列のある部分がメチル化すると、遺伝子の働きが制御される」ということです。

エピジェネティクスは細胞の発生からがんの発症にまで関係する

エピジェネティクスは、一卵性双生児が育つ環境などによって性格や行動に違いが出ることを説明するだけでなく、生命科学の謎を解く重要な研究課題としてクローズアップされています。たとえば、数十兆個といわれる私たちの細胞は、すべて同じ遺伝子情報を持っているのに、なぜ、皮膚、血液、骨、神経など、人体を構成する別々の細胞になることができるのか、これについてもエピジェネティクスによって、細胞の中の遺伝子の働きが変わるからであることも明らかにされてきています。
さらに、がん細胞を抑制する遺伝子がメチル化されて不活性になり、がんの発症に結びつくのではないかという研究まで進んでいるのです。

これだけ研究がされていても、遺伝子にはまだまだ謎が多く、遺伝子治療の研究も日々進化しています。今後の遺伝子研究に注目です

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