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温め過ぎはNG?不妊治療の新見解

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不妊治療についてどのようなイメージを持っていますか?
妊娠に関するメカニズムは、まだ明らかにされていないことも多く、様々な情報が溢れています。
何が正しいのか、医師の中でも見解が別れることもあるでしょう。
今回は、そんな不妊治療に関する“新見解”を調べてみました。

温め過ぎはNG?

不妊症は、その名の通り症候群であり「病気」ではありません。"症候群"というのは、原因や理由は分からなくても、ある症状の人をいう言葉です。
従って、妊娠とは検査で確実に原因を突き止め、治療によって完治できる(妊娠する)ものではありません。妊娠のメカニズムが100%わかっていないため、現在では「検査による原因特定とその治療」、「妊娠しにくい行為を避け妊娠の可能性を高めること」という二軸で行われています。

妊娠の可能性の高め方については、医師によって見解が分かれることもあります。
一例でいうと、妊娠のためには体を温めるほうがいいと提唱される医師もいらっしゃいますが、最近では実は温め過ぎは良くないという実験結果が出ています。
“冷えは万病のもと”という言葉もあるように、「温めることは体にいいこと」だと考えられていることから、これは意外と思われる方も多いのではないでしょうか。

暑熱ストレスの影響

先ず、乳牛による実験では(※1) 、暑熱ストレス(熱さに対するストレス)が卵巣機能によくないという結果が、農水産業温暖化研究センターにより発表されています。暑熱ストレスはTHI(Temperature-humidity-index。温湿度指数)という数値で表されます。求める計算式はこちらです。
THI=0.8×温度(気温)+(湿度÷100)×(湿度-14.4)+46.4
受胎率はTHIが71を超えると低下し始め、76を超えたら極度に下がるという結果が出ています。THIが上がり過ぎないよう、夏場やまた人工授精を行う前日などはエアコンを使い、室温をコントロールすることが必要といえます。

※1 不妊治療と言うのは家畜の生産技術から生まれたものです。
胎盤の形状といった相違点も生じますが、ヒトの妊娠とウシの妊娠メカニズムには高い類似性があります。
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入浴も同じです。農業技術センター(乳牛の直腸温測定による夏季の繁殖性低下牛の発見)によると、乳牛の直腸温度が1.5度上がると受胎率が下がるという実験結果がでています。
40度程度のお風呂にはいると、膣温がお湯の温度と同じまで上がります。そして入浴前の膣温に戻すためには入浴後1.5時間ほどかかるのです(※2)。従って、熱すぎるお湯で体を温めてしまうことは妊娠のためにはよくありません。ただし、不感温度と呼ばれる体温近い温度のお風呂だと風邪などリスクもある為、38度程度のお湯に5分以内で入ることを推奨しています。実際に入浴温度と時間のコントロールをした人は、していない人より受精率が高くなっています(※3)。

※2 東京身体療法研究所の検証データに基づきます。
※3 東京身体療法研究所にて、半身浴など行ったグループと1日5分以内のお湯につかるグループにおける比較を行っています。
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心理面について

次に心理面についても考えてみましょう。不妊治療の際、精神状態についてはあまり指導しない医師もいます。しかし実はとても重要なようです。願えば叶うとも言いますが、実は「妊娠したい」と強く思い過ぎることはよくありません。

脳にはもともと汎用性が備わっており、同時に多種の物事に対応できます。ですが、一つのことに思いを募らせてしまうと汎用性が失われてしまうのです。強い不安で、排卵が止まってしまうこともあります。妊活に集中するために仕事を辞めようとする方もいますが、これはあまりおすすめできません。社会と関わりがなくなると、外部からの刺激が少なくなり、妊娠について思いつめる要因にもなってしまうからです。不妊治療を受ける際には「妊娠したい、妊娠しなければならない」ではなく、「夫の子どもが欲しい」、「必ず妊娠できる」いうように現状を肯定的に捉えていくことが重要です。

今回調査したように、不妊治療には現状完璧な正解がありません。
しかし、不妊治療は検査や治療に加え、心身ともに健康な状態を保つことが非常に重要なようです。今回は、体温と心理面について新しい見解があることがわかりました。参考にしてみてはいかがでしょうか?

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