医療機関と患者さんとのトラブルは、近年増加傾向にあります。健康保険の負担金(割合)増加や医療はサービス業という意識が広く行き渡ったことによる、患者さんの顧客意識増大などがその大きな理由でしょう。
一方でいわゆるクレイマーやモンスターペイシェントと呼ばれる、悪意に似た意図や感情を抱く人達によるトラブルも増加傾向にあります。またITの普及で一般市民が高度な医学知識を容易に入手できるようになった結果、自身の判断基準で医療を評価し、苦情を申し立てるようなケースも増えているようです。
このような状況下では、明確な過失が存在せずとも、患者さんからの一方的な申し立てによりトラブルへと進展しますし、それは避けようがありません。つまり防止策よりも起きた事態への対処能力を身に付けておくことの方が、肝要であるといえるのです。
ではその対応の方法を段階的に紹介していきましょう。
この2つからわかるように、医療者に明確な過失がなくとも誤解や思い込み、また第三者の口添え等によって苦情を申し立てられることは充分に考えられます。
最初にこの3つを念頭に置けば、トラブルと正対することができます。悪質なケースを除けば、真摯にトラブルを解決したいという医療者の意思を伝えることで、患者さんも争いを最小限に留めようという気持ちで臨めるようになる可能性が高まるでしょう。
不可欠な要点を時系列に列記します。
そういう患者さんには毅然とした態度で臨む。また普段から警察とのラインを確保しておく。
診療拒否は医師法違反!と叫ぶ人はどこにも相手をして貰えない不逞の輩と思ってよい。
間に人を入れると要らぬ誤解を生む。代理人になれるのは弁護士だけです、と断る。
いくら過失が明らかであっても、安易に金で解決しようとしていると受け取られかねない上、際限ない要求の原因ともなり得る。
大切な職員を守ることは退職の防止につながり、組織の永続性を高める。また組織力の誇示は、不当な要求を抑止する効果へとつながる。