ある調査によれば、医師の50%以上がスマホやタブレット端末を所有しており、3人に1人はタブレット端末を所有しているそうです(平成23年時点)。ただ使い方としては、論文や雑誌、医学ニュースの閲覧など、情報収集目的が多くを占めているとのこと。それはもったいない話です。なぜなら、タブレット端末やスマートフォンには、実際の診療や患者とのコミュニケーションの向上、理解促進にもつながるアプリがたくさんあり、実際にそれらを便利に使っている医療関係者も続々と増えつつあるからです。今回はそんなアプリの中から、5つを厳選してご紹介しましょう。
【参考】 株式会社QLife 『第三回 医師の「スマートフォン&タブレット型端末」利用意向調査』(平成23年10月26日)
【特徴】
献体とは異なる、生きた人間の間接の動きを3Dで再現した、世界で初めての3D人体解剖学アプリです。開発にあたったのは、先端テクノロジーを駆使したクリエイティブに定評のある制作会社・チームラボと、大阪大学の整形外科医である菅本教授。忠実に再現された全身の筋肉やじん帯など825部位について、その動きや形態を3Dで閲覧し、詳細説明を読むことができます。一般の方にも非常に理解しやすいので、診療の際の説明に役立ちます。
【価格・対応端末】
〔価格〕3,600円
〔対応プラットフォーム〕iPhone、iPad、Android
【特徴】
心房細動の患者やその家族、さらに治療者に向けて症状や危険性を解説し、さらに病気の兆候(疲労感、不整脈など)などの情報を提供できるアプリです。正常時と心房細動発症時の心拍の違いが、リアルなアニメーションやX線画像、心電図などの動画で一目瞭然。誰が見ても病状を理解しやすいつくりとなっています。また、心房細動に関する丁寧な解説もついていて、患者にとっても非常に有益なアプリです。
【価格・対応端末】
〔価格〕無料
〔対応プラットフォーム〕iPhone、iPad、Android
【特徴】
中枢神経、脳、せき髄、消化器系など、いろいろな部位についての医療用画像が閲覧できるアプリ。その数は5000枚以上におよび、種類もレントゲン写真、イラスト、MRI、PET、CTとさまざま。まさに、医療用画像の集大成です。たとえばレントゲン画像を使って患者に症状を説明するときに、アプリ内の正常な画像と比較することで、病状に関してより患者の理解を深め、治療をスムーズに進めるといった使い方ができます。それぞれの画像は指先での拡大・縮小、回転に対応しているので、必要な個所をより詳しく見ることができます。また、キーワードによるスピーディーな画像検索も可能です。
【価格・対応端末】
〔価格〕無料(ただし、すべての機能を利用するためには有料のオプション加入が必要)
〔対応プラットフォーム〕iPhone、iPad、Android
【特徴】
レントゲン写真やPET、CT、MRI、超音波などの検査用機器から画像データを取り込み、閲覧や登録などに利用できるアプリです。画像の拡大や色合い、画像レベルの調整などが簡単に行えるうえ、複数の検査用機器から取り込んだ画像を比較検討することも可能です。さらに、画像に注釈を加えられるなどの便利な機能も備えています。たとえば、タブレット端末を患者に見せながら、病状についてCT、MRI、超音波などさまざまな画像を比較したり、あるいはポイントとなる部分を拡大してわかりやすく説明することができます。
【価格・対応端末】
〔価格〕無料
〔対応プラットフォーム〕iPhone、iPad
【特徴】
iPadやiPhoneなどのモバイルデバイスを使用し、超音波、CTスキャナ、MRI、PETなどで撮影した検査画像を機器から直接ダウンロードしたり、加工ができるアプリです。もちろん、指先の操作で画像の拡大・縮小なども思いのまま。放射線技師、医師、看護師などの医療従事者間での検査画像の共有が簡単かつスピーディーに実現でき、情報の行き違いなどがもしあった場合も防ぐことができます。また患者に対しては、検査画像を使った説明も容易にできます。
【価格・対応端末】
〔価格〕6,000円
〔対応プラットフォーム〕iPhone、iPad
まとめ
今回ご紹介した5つのアプリのように、医療用アプリは日に日に充実しています。
これらのアプリは、医学部生の学習のみならず、医療の現場での速やかな情報共有や知識の平準化など、さまざまな場面で役立つものばかりです。
せっかくのスマートフォンやタブレット端末を、情報の閲覧用のみに使っているのは宝の持ち腐れ。ぜひ積極的にアプリを活用して、医療現場の向上にお役立てください。