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エナジードリンク、飲み過ぎると危険なの!?

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若い男性を中心に、愛飲者が急増しているエナジードリンク。ハードワークの多い現代人にとっては手軽にエネルギー補給できる飲料として、愛用しているユーザーも少なくないのではないでしょうか。
しかし医薬部外品などの表示がされる主要な栄養ドリンクに比べて、清涼飲料水として販売されているエナジードリンクには、思わぬ危険性も潜んでいます。その最も大きな理由とされているのが、カフェインの過剰摂取による影響です。

2012年にはアメリカで「モンスターエナジー」を飲んだ14歳の少女が死亡する事例も発生しており、遺族が製造会社のモンスタービバレッジ社に対して訴訟を起こしています。
原告の代理人によると、死亡した少女が摂取した700ml入りのモンスターエナジー2本中に含まれるカフェインの量は、350ml缶のコカコーラ14缶分に相当する480mg。
検視結果でも死因はカフェインの毒性による不整脈とされており、カフェインの過剰摂取がいかに危険かを示す一例となっています。

【参照記事】 AFP BB News「カフェイン過剰摂取で少女死亡、遺族が栄養飲料製造会社を提訴」

この少女の例のように、エナジードリンクを原因とする死亡例やER(緊急外来)に運び込まれた事例の多くが、カフェインの過度な摂取によるものです。

子どもたちに重篤な危険をもたらすエナジードリンク

アメリカ心臓協会(AHA)では医師によるミーティング要旨報告として、2010年からの3年間にエナジードリンクの副作用による5,000人を超える搬送例があることを伝えています。そのうちの40%以上が、心臓や神経学的な症状を持つ、6才未満の子どもたちでした。

このレポートでは、12才未満の子供の場合、体重1kg当たり2.5mgのカフェイン接種で中毒症状が現れるとしており、カフェインによる副作用は幼いほど現れやすいことが示唆されています。

【参照記事】 American Heart Association Meeting Report Abstract 14841

主なエナジードリンクのカフェイン含有量は「レッドブル」43.2mg、「モンスターエナジー」40mg、「ロックスター」48mgなどとなっています(いずれも100ml当たり)。日本人の6歳の男児の平均体重が21kgですから、単純計算で52.5mgのカフェインを摂取すれば、カフェイン中毒の症状が現れる可能性が高まることになります。

日本と海外の内容量の違い

エナジードリンクの特徴として見逃してはならないのは、缶のサイズが大きい点です。
これはエナジードリンクが「清涼飲料水」として売られていることの大きなメリットとなっています。しかも海外では、470mlサイズのボトルが平均的な内容量。さらに大容量のものとして710mlサイズで売られている商品も存在しており、必然的に過剰摂取の危険性も高まるというわけです。

一方、200mlから350mlの缶を中心に商品展開が行われているのが、日本のエナジードリンクです。値段も海外のものと比べると割高で、なかなかガブ飲みするというわけにはいきません。
とはいえ、一般的なドリンク剤が100mlから120mlの容器で売られていることを考えると、過剰摂取の危険性は残されていると考えるべきです。

アルコールとエナジードリンクの同時摂取の危険性

欧米ではエナジードリンクとアルコール飲料のカクテルなど数多くのレシピが存在しており、日本でもアルコールとエナジードリンクの併用が広がりつつあります。しかしアルコールをカフェインと同時摂取する危険性は、かねてより指摘されています。
事実、アメリカ食品医薬品局(FDA)は未成年を含む10数人の集団アルコール中毒などの報告を受け、2010年には当時アルコールを含有していたエナジードリンク「フォー・ロコ」などの販売を禁止しています。

また、イギリスの薬物治療センターの創立者Don Serratt氏は、カフェインとアルコールの同時摂取は「非常に危険なカクテル」であると述べています。
覚醒効果を持つカフェインのマスキング効果により、知らず知らずのうちに許容量以上のアルコールを摂取する傾向が現れる危険性が疑われているのです。

とはいえ、個人が自由にアルコールと混ぜ合わせて飲用することまで規制することはできません。エナジードリンクとアルコールを同時飲用する傾向は、特に欧米の学生を中心に広がっており、エナジードリンクを愛飲するユーザーの約半数が、パーティなどでアルコールとエナジードリンクをカクテルした経験があると答えています。

【参照記事】
Energy drinks and alcohol a dangerous combo for college kids: study
FDA Bans Mixing Caffeine, Alcohol
Mixing vodka and Red Bull can be deadly, warn experts

カフェインだけじゃない!アルコールとの同時摂取時の危険性が疑われる成分

エナジードリンクにはアルコールとの同時摂取の危険性が疑われる成分が、カフェイン以外にも含まれています。それがタウリンとグルクロノラクトンです。
米国立生物工学情報センター(NCBI)はカフェインとタウリンを含有する飲料の研究において、10人の大学院生を対象に二重盲検法による調査を行っており、レッドブルの主要成分であるカフェインとタウリン、グルクロノラクトンの同時摂取が「明らかに精神的な高揚感にプラスの効果を発揮する」という結果を発表しています。

高揚感を拡張する効果自体に特別な危険性はありませんが、既述のようにそれがカフェインのマスキング効果と結びつくことで相乗効果となり、より多量のアルコール消費を助長する危険性も指摘されます。
また、ANSES(フランス食品環境労働衛生安全庁)は、この3種の成分の同時摂取を長期間続けることにより、甲状腺や心臓への悪影響が起こる可能性があることを伝えています。

【参照記事】
A taurine and caffeine-containing drink stimulates cognitive performance and well-being.
Boissons energisantes : quels sont les risques ?

タウリンを「医薬部外品」としてしか発売できない日本

しかし日本では、タウリンを含むエナジードリンクについては、海外と同じ内容成分のものを清涼飲料水として販売することはできません。薬事法により、タウリンが医薬品成分として扱われるためです。
このため日本のエナジードリンクには、タウリンの代わりに「アルギニン」というアミノ酸が配合されています。

タウリンの代替成分であるアルギニンには二日酔いの原因となるアセトアルデヒドの解毒システムを促す効果があると考えられており、アルコール代謝を促進する働きがあります。また、グルクロノラクトンについても第3類医薬品に分類されており、日本で販売されているエナジードリンクには含まれていません。

したがって日本で流通するエナジードリンクには、カフェインとタウリンなどの成分を同時に摂取するリスクがないため、アルコールとの飲用による危険性は海外のエナジードリンクと比べて緩和されていると考えられるのです。

アルコール以外にもある!? エナジードリンクと併用しては危険な成分

エナジードリンクの接種後にERを訪れる数は年々増加傾向にあり、米国薬物乱用・精神衛生管理庁(SAMHSA)も警告を発しています。
SAMHSAによるとERを訪れる患者の数は、2007年から2011年の間に約10,000人から21,000人へと倍増しており、エナジードリンク単独の飲用でERを訪れた患者は、その内の58%を占めていました。残りの42%はアルコールを含む薬物の同時摂取によるものであり、いずれも症状には不眠、神経過敏、頭痛、動機や痙攣などが見られました。

ところが、この報告に対し米国飲料協会(ABA)は、「エナジードリンクを飲んだ人の全体的な健康状態や、そもそもどのような症状でERを受診したのかという情報が共有されていない」として反論しています。
確かにエナジードリンク単体ではなく、アルコールや他の薬剤との併用によって、ERへ駆け込んだ患者の例が少なくありません。

レポートによるとエナジードリンクとの併用で最も多かったのが、錠剤の27%。その中でもアデラルやリタリンなどのアンフェタミン製剤が9%、約10%が違法な薬物であり、5%にマリファナとの併用が見られました。

【参照記事】 ER Visits Linked to Energy Drinks Double: Report

エナジードリンクに含まれる成分の多くは、適度な量を摂取する限りにおいては人体に無害なものです。ただしアルコールや他の薬剤と同時に摂取することは予想外の相乗効果をもたらす可能性も否定できず、好ましいことではありません。
なにごとも適量が望ましいということですね。

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