太田祥一ブログ医の王道に向かって

〔第21回〕 POCT(臨床現場即時検査)

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POCTとはPoint Of Care Testingの略で、臨床現場即時検査と訳されます。これによって迅速な診断、治療が可能になりますので、ERではもちろん、災害現場や在宅医療でもとても重宝します。ERでは中毒の原因検索のためのトライエージDOAが以前よりよく使われてきました。検体は尿で、フェンシクリジン類、コカイン系麻薬、覚せい剤、大麻、モルヒネ系麻薬、バルビツール酸類、ベンゾジアゼピン類、三環系抗うつ剤等が検査できます。その他以前から、動脈血液ガス分析、電解質や血糖測定、尿検査、心電図検査等は行われてきましたが、これに加えて最近では、感染症、心疾患マーカー、血液凝固等の検査がよく行われています(表1)。 日本臨床検査自動化学会からPOCTガイドラインが出ています(日本臨床検査自動化学会会誌29(suppl. 3),2004)。

表1.POCT対象の疾患・病態と検査項目(検体検査)
このPOCTについては、緊急検査の依頼原稿を執筆したときに勉強しましたが、今回は薬局でできる検査(検体測定室)〔糖代謝(HbA1c/ブドウ糖/ケトン体/グルコース)、脂質(T-Cho/HDL-Cho/トリグリセライド)〕について薬剤師さんにお話しする機会があり、そのために勉強しています。以前、緊急検査の総説を執筆したときに勉強しましたが、今回は薬剤師さんが薬局で測定される(糖代謝HbA1c/ブドウ糖/ケトン体/グルコース、脂質T-Cho/HDL-Cho/トリグリセライド等)ということで、その講義のために勉強しています。
心筋トロポニンT、CK-MB、NT-proBNP 、D-ダイマー等は急性症状の診断でとても役に立ちます。私は、DダイマーやFDPに注目しています。出血時にはフィブリノゲンがフィブリンとなり凝固します。止血された後はプラスミンがフィブリンを溶解(線溶)し、そのとき分解されて、FDP(フィブリン分解産物)やDダイマーできます。つまり、これらは線溶を表しています。つまり、身体に血栓ができている、という証です。

漢方の飲み合わせ表
深部静脈血栓症ではDダイマーの陰性的中率が高い(感度はとても高く、特異度は低い)ので、正常であれば深部静脈血栓症を否定できる、と報告されています(Evaluation of D-Dimer in the Diagnosis of Suspected Deep-Vein Thrombosis. Philip S. Wells, et al, N Engl J Med 2003; 349:1227-1235)。
また、発症24時間以内の血中Dダイマー値が500mg/mL未満であれば、急性大動脈解離と肺塞栓は除外可能である、とも報告されています(Suzuki T, et al. Diagnosis of acute aortic dissection by D-dimer. The international registry of acute aortic dissection substudy on Biomarkers (IRAD-bio) experience: Circulation. 2009; 119: 2702-7.)。この報告では、急性大動脈解離ではMIの4.9倍、狭心症の10.7倍、肺塞栓の1.2倍で、胸痛を特徴とする生命に関わるこれらの疾患の診断にDダイマーが有用で、早期であれば早期であるほど有用である可能性があるとされています。
高齢者では、必ずしも床上生活に関わらず、どちらも高いことが多いようですので、それが何を示しているかに興味を持っています。