太田祥一ブログ医の王道に向かって

〔第20回〕 漢方の可能性

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現在、私が用いている漢方に五苓散と抑肝散があります。

五苓散は、体内の水の偏在や水代謝異常(水毒)に用いられ、細胞膜の水チャンネルアクアポリンを濃度依存的に阻害することで水の移動が阻止されるそうです。五苓散の水分代謝改善作用と小柴胡湯の抗炎症作用とを併せ持った柴苓湯は、水中毒マウスにのみ有意な利尿作用を示したのに対し、利尿剤は絶水マウスでも有意に尿量を増加させた、という報告があります(大西憲明他:和漢医薬学雑誌.2000.17(3).p131-136.)。
利尿剤に比べて電解質異常をあまり気にしなくてよく、心機能が保たれている方の浮腫に適応があると考えられます。この他、頭痛(片頭痛)、めまい、透析不均衡症候群、悪性腫瘍に伴う脳浮腫、慢性硬膜下出血、三叉神経痛にも効果があるようです。

抑肝散は、術後、癌末期のせん妄を改善することから興味を持ち、集中治療室でのせん妄とともに、認知症の行動・心理症状(BPSD)改善のために用いています。認知症のBPSD(妄想、幻覚、興奮)と日常生活動作を改善したというメタ解析の論文があります(Yokukansan in the treatment of behavioral and psychological symptoms of dementia: a systematic review and meta-analysis of randomized controlled trials. Matsuda, Y. et al. Hum Psychopharmacol Clin Exp. 2013, 28, p.80-86.)。
その他、睡眠障害や精神症状を改善するともいわれています。精神病薬や抗不安薬にはない、グルタミン酸神経系の作用機序が指摘されています。

その他、誤嚥性肺炎のところでお話しした半夏厚朴湯、こむら返りや吃逆等への芍薬甘草湯等もよく用いていますが、救急外来で使いやすい以下についてもEBMによる救急・集中治療領域の漢方の使い方で紹介されています。

EBMによる救急・集中治療領域の漢方の使い方
救命救急では、後で振り返ってみんなと十分に議論しても、どうしてもこれ以上早く察知できなかった、どうしたら助けられたのか、と途方に暮れることも経験します。我々がこの施設でこのメンバーだから助けられた、ということもありますが、救命率をさらに向上させるためには、救命のために最優先して重要なことをシャープに振り返ることが重要だと思います。
あれもこれもしたほうが良いという振りかえりは重要ではありますが、すべてが実際的とはいえない場合もあると思います。具体的には、出血性ショックでも2000mlの急速輸液に反応しない場合には、通常の手順の根本治療とは異なる対応を選択しないと助けられないといった、非常に重篤な局面があると思います。
そのような経験や振り返り、勉強の成果を蓄積をしつつ、ヒポクラテスのいう、生体の自然治癒力、クロード・ベルナールの内部環境を維持すること、ウォルター・キャノンのホメオスタシス等を高めるために、ダメージコントロールはもちろんのこと、漢方等の可能性を考えてきました。今後も続けたいと思っています。

しかし、飲みにくい、という声を聴くことが少なくありません。飲みやすさ、の観点から調べていると以下のようなものを見つけました。こちらも参考にお話ししています。

漢方の飲み合わせ表