1. 〔第18回〕 1月17日の「防災とボランティアの日」

太田祥一ブログ医の王道に向かって

〔第18回〕 1月17日の「防災とボランティアの日」

>>一覧はこちら


画像をクリックすると拡大します
今年は阪神・淡路大震災から20年の節目の日にあたります。一方で、2011年の東日本大震災から時間も経ってきていますので、ここで再度災害医療について振り返りたいと思います。地域でより多くの方に関心を持っていただき、いざという時には多くの方々で対応できるような社会になればと思います。

これは私の研究(災害医療救護訓練の科学的解析に基づく都市減災コミュニティの創造に関する研究開発)のテーマでもありますが、この時期、キッザニアでのイベント(「災害医療クエスト」)や地域でのシンポジウム(右)などが予定されています。

災害医療の基本原則:CSCATTT
CSCATTTとは、災害急性期に体系的に対応する際に留意すべき重要事項の頭文字を並べたものです。これは、英国で行われてきた集団災害医療の国際的な標準であるMIMMS(Major Incident Medical Management and Support)の行動原則で、わが国の災害医療チーム(DMAT)の基本原則にもなっており、医療関係者だけでなく、災害時に関わるすべての組織の共通認識、共通語となることを目標としています。医療関係者の役割、優先すべき順であるとともに、指揮官の果たす役割でもあり、一度だけでなく、必要に応じて何度も繰り返されるものです。災害時に医療に関わる可能性があるすべての方に知っておいていただきたい概念ですのでここで紹介します。

C:command and control(指揮統制)
指揮は各組織の縦の連携を意味します。災害急性期に医療全体を秩序立てて進めるために縦の連携が必要だと考えられています。一方、統制は関係各組織間の横の連携を意味します。災害急性期には医療需要が増大するのに対し、それに対応する医療資源が不足し、さらに情報も錯綜するために医療機関は混乱しています。そこで混乱した状況を秩序化し、効果的に組織的に活動するためには、まず指揮命令系統の構築から始めます。

S:safety(安全)
自分自身、現場、生存被災者の順で安全を確認、確保します。そのために、防護具と周囲、特に警察や消防からの情報が有用です。災害時には安全な場所はない、救助者も被災者であり、今後、被災者になりうるという前提で行動したほうが間違いないでしょう。

C:communication(情報伝達)
一般に、災害急性期は混乱していることに加え、予測不可能な状況が生じるため、落ち着いて行動できなくなり、人とのコミュニケーションも取りにくくなります。災害急性期の情報は正確でない、という前提で、拙速にも巧遅にもならないよう、適切な時期に適切な情報を伝達することが大切です。明瞭・明確・簡潔に情報伝達することを心がけ、余震の緊急速報や笛が鳴ったらまず退避します。情報伝達の手段としては、口頭(拡声器または伝令)、文書、メール、FAX、インターネット、電話、衛星電話が考えられます。災害現場からどのような情報を伝達すべきかについては以下のMETHANEがよく用いられています。

M:Major incident (STANDBY or DECLARED) 災害発生、自身のコールサインの宣言
E:Exact location正確な場所
T:Type of incident災害の種類
H:Hazard 危険の有無、種類
A:Access to scene現場への経路
N:Number and severity of casualties被災者の数と重症度
E:Emergency services (present and required)必要な救急医療

救急隊が外傷傷病者を搬送するときに以下の内容を聴取します。
G:原 因(事故状況)
U:訴 え(主訴) 
M:め し(最終の食事時間)
B:病 歴(薬剤使用歴も)
A:アレルギー
A:assessment(評価)
負傷者数、傷病の種類と重症度を把握します。災害急性期の医療は医療資源とのバランスで対応が変わりますので、これを把握するために継続的に評価し対応を検討します。

これ以降が純粋な医療のTTTです。
T:triage(トリアージ)
これは以前お話ししましたので(〔第12回〕 災害医療訓練)をご覧ください。

T:treatment(治療)
最大多数の最大幸福を目指すために、救命可能な負傷者を治療することから始めます。現場救護所では本格的な治療を行うのではなく、安全に病院まで搬送するための治療、安定化がその目的ですので、搬送を視野に入れたパッケージングも含まれます。常に医療資源とのバランスを考えながら診療します。

T:transport(搬送)
搬送の目的は適切な負傷者を適切な時間内に、適切な場所へ運ぶことです。重症者数によっては被災地外へ航空機による搬送(広域搬送)も検討されます。この拠点をSCU(Staging Care Unit)といい、東京では羽田空港等に設置されることになっています。