太田祥一ブログ医の王道に向かって

〔第14回〕 高齢者と失神

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高齢者は血圧調節機構が低下しているために失神発作を起こしやすくなっています。例えば、休みの日の午後家族と食事に出かけ、軽くビールを飲みながら食事をしていたら、帰宅前に倒れて意識を失った、慌てて救急搬送したら病院では何もないと言われた、というのが典型的なシナリオです。これは食事後性低血圧ですが、食後2時間程度は消化器に血液が集中するために低血圧になることによって起こります。

失神は初期診療時には意識が回復していることが多いので、追って精査をとする場合も多いかと思います。失神の原因疾患には生命に危機を及ぼすものもありますので、意識が回復しているからといって緊急度・重症度判断を間違えないようにしたいものです。循環器学会からガイドラインが出ていますし、UpToDateやJournal of the American College of Cardiologyからもまとまったものが出ていますので参考にしてください。

【参考】
失神の診断・治療ガイドライン 2012年改訂版
Approach to the adult patient with syncope in the emergency department
New Concepts in the Assessment of Syncope; Michele Brignole, MD, Mohamed H. Hamdan, MD. J Am Coll Cardiol. 2012;59(18):1583-1591.

この4月から一部の地域で低血糖患者に対して救急救命士がブドウ糖を投与できるようになりました。そののち来院された患者は意識も含めて正常なことが多いので、現場の状況に思いを馳せることが重要になったのかもしれません。失神も同じで、現場でしかわからないことに対してどの程度のリアリティーを持つことができるのか、ということも重要な臨床能力のように思います。