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【第31回】中島 清一

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中島 清一

大阪大学大学院医学系研究科 次世代内視鏡治療学共同研究講座特任教授

コロナ禍にフルフェイスシールドを医療現場へ無償提供する活動を展開

新型コロナウイルスの感染拡大が続く2020年4月初め、医療現場での個人防護具の圧倒的な不足が露呈してきたのを受けて、大阪大学は現場で実用できるフルフェイスシールドを、要請のあった病院などに無償で提供する緊急プロジェクトを立ち上げ、6月末までに目標にしていた20万個を配り終えた。目を見張るのは、資金や材料の調達、配布にあたり、二段構えで臨んだことだ。まず、フェイスシールドのフレーム部分の3Dデータをウェブ上で無料公開。データをダウンロードした全国の3Dプリンタ愛好者や技術者らが各人でフレームを印刷し、シールド用にしてもらうクリアファイルを添えるなどして、ボランティアで近隣のクリニックなどに届ける地域密着型の運動を展開した。そこから間髪入れず、今度はクラウドファンディングで資金を集め、フレームとシールドをそれぞれ大量生産して、各地の病院へ順次、梱包・発送していった。このプロジェクトの発起人は、同大学大学院医学系研究科次世代内視鏡治療学共同研究講座特任教授で、消化器外科医の中島清一(なかじま・きよかず)医師。これまでの経験を存分に生かし取り組んだ、3か月の活動を振り返ってもらった。

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中島氏の研究室がある大阪大学最先端医療イノベーションセンター

プロフィール

1965年生まれ。大阪大学医学部医学科卒業。同附属病院第一外科、小児外科などを経て、2001年から2年間、米国に留学(Cornell大学外科研究員、New York-Presbyterian病院低侵襲手術センターインストラクター)。帰国後、大阪労災病院外科医長、大阪大学大学院医学系研究科外科学講座消化器外科学講師などを務め、12年から現職。専門は消化器外科学、低侵襲外科学、医療機器開発。日本消化器外科学会評議員、日本内視鏡外科学会評議員、欧州内視鏡外科学会正会員・Technology Committee Memberなど。18年日本内視鏡外科学会大上賞受賞。医学博士。

中島清一氏の直近の論文

  • Ushimaru Y, Ohigawa A, Nakajima K. Real-time Ureteral Identification With Novel, Versatile, and Inexpensive Catheter. Surg Endosc 2020
  • Ushimaru Y, Takahashi T, Nakajima K. Innovation in surgery/operating room driven by Internet of Things on medical devices. Surg Endosc 2019
  • Katsuyama S, Miyazaki Y, Nakajima K. Novel, infection-free, advanced hemostatic material: physical properties and preclinical efficacy. Minim Invasive Ther Allied Technol 2019

記事執筆の参考にした中島清一氏の著書など

  • 医学研究者・企業のための特許出願Q&A 中島清一(著) 澤芳樹(監修)南江堂
  • 共同研究講座における医療機器の研究開発 中島清一 生産と技術 第72巻 第1号(2020)

草の根運動と大量生産の2本立てでプロジェクトを遂行

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