医師のなかでもとくに高収入なのは、開業医です。開業医とは、自分で病院やクリニックを開業して、経営者になる医師のことを指します。勤務医との処遇の違いもしばしば議論となりますが、なかでもよく引き合いに出されるのが給与格差。
厚生労働省の調査によると、病院勤務医の平均年収は1,479万円であるのに対し、開業医の平均年収は2,500万円です。約1.7倍、1,000万円の開きがあるのです。
ただ、開業医は経営者としての側面もあるので、額面通りに受け止めてはいけないものかもしれません。責任は勤務医よりはるかに重くなりますし、経営がうまくいかなければ借金を背負うことも考えられます。勤務時間も不規則で、残業代は支払われません。このことを考えると、勤務医と開業医の仕事を比較すること自体にあまり意味はないのかもしれません。
しかし、それでも都市部を除けば競争が少なく、経営者としてもメリットが高いという側面があることは無視できません。しかも地方ほど高齢者が多く、患者さんのニーズは増える一方です。そのため、勤務医でも「いつかは開業医」と転身を望んでいる医師は多いようです。
医療のなかで、現在の問題とされている一つに、「医師の高齢化」があります。現に、全国の医師の20%は60歳を超えていることが、平成20年厚生労働省統計の資料によってわかりました。20%は数値的にみて少ないかもしれません。しかしながら、これを地方に限定してみてみると状況は変わってきます。地方には、近くに病院がないために、適切な医療を受けられず命を落としてしまうというケースもあります。そうしたなかで、若い医師に開業を行ってもらいたいという切な願いもあるのです。
ここでは、開業形態や開業に必要なこと、メリットとデメリットなどを紹介していきます。
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