まつもとクリニックの医院開業事例


外観


内装

開業タイプ 新規開業
所在地 東京都板橋区
科目 内科、消化器内科、内視鏡内科、肝臓内科
病床数 なし
まつもとクリニック
〒174-0056 東京都板橋区志村2-10-1 PLAZA NIKI 1階
TEL:03-3558-7117
https://matsu-cl.jp/
臨床家としてのやりがいを日々実感しながら、
地域の健康維持・増進への貢献を展開。
「医学は科学」の信念を、原動力に。
2018年5月に東京都板橋区に開院したまつもとクリニックは、都営三田線志村坂上駅近くにあり、消化器内科、一般内科を軸に、生活習慣病も診療範囲とする。
予防、早期発見に力を入れた運営方針で地域の健康に寄与する活動を展開している。
長く消化器外科の最前線で修練を積んだ松本浩次氏は、丁寧な診察を心がけ、患者さんとのコミュニケーションを重視する。さりながら、根底に「医学は科学」の信念を堅持し、エビデンスに裏づけられた医療を提供する努力を続けている。

波長の合う東京都の下町で開業し、〝正解〞を得た感触


院長 松本 浩次氏

まつもとクリニックの所在するクリニックモールは、中山道から西に伸びる城山通り沿い。地下鉄の志村坂上駅を出て徒歩4分の距離にある。
城山通りは交通量の割に道幅はあまりなく、歩道を行き交う人も袖をすり合いながらといった感じだ。
「個人商店も多く残っていて、いわゆる下町の風情ですね。人情も深いです。個人的にとても気に入っている土地柄です」

自宅は文京区にあり、クリニックには毎日通勤するスタイルだが、2010年に板橋中央総合病院に入職して以来ずっと医療活動のフィールドとしてきた同地区の風土にも、住民にも深い愛着を感じるという。
「気さくでオープンな人柄と率直なもの言いが、ここの人の特徴ですね。大分県出身の私が東京都の下町になじんだ理由はよくわかりませんが、とにかく肌に合っているように感じます。
板橋中央総合病院の前の勤務地は墨田区で、こちらも下町。当時からのお付き合いで、わざわざここに受診に来てくださる患者さんもいらっしゃいます。下町と波長が合うことは確かなようですね」

オープンから約1年、運営は順調とのこと。
「どれほどの患者さんに支持されるかに関しては、当然ですが、それなりの不安をかかえての開業でした。しかし、前職で担当した患者さんの来院が、期待を上回る数となったのがうれしいことでした。順調な滑り出しができ、最近は、口コミで新しい患者さんが増えている実感もあります」

家業のクリニックは継がなかった 前進のステップの一つとして開業

松本氏は、順天堂大学医学部第2外科で消化器外科の修練を積んだ外科医。消化器がん全般、肝臓疾患を専門分野として歩んだ。
「1990年代に医学部を卒業。時代は肝臓移植の黎明期で、消化器外科に憧憬をいだいて道を選びました。当然ですがその道は、明けても暮れても手術、当直の毎日を求められる世界。望むところと、休むのも忘れて邁進しました。ですから、将来的に、自身が開業するイメージなど、まったくもてなかったですね。
消化器内科の開業医だった父が他界した際も、クリニックの継承は考えなかったです。身内には残念がる声もありましたが、当時の私にとっては迷いのない判断でした」

情を優先するなら、メスを置き、家業継承に舵を切ることもあるだろう。しかし、若き外科医はそれを選ばなかった。今も後悔はないという。

父親が築いた基盤、地盤を受け継がず、勤務医を続けた松本氏が結局開業したわけだが、それは変節なのか?

「変節ではありません。時を経て、外科の最前線を離れる理由と、開業してチャレンジしてみたいテーマができました。それまで毎年刻んだ前進のステップが、2018年は開業だったということ。私の中では、そんなふうに整理されています」

予防と早期発見で貢献するイメージが、臨床家としてのブレイクスルーに

外科の最前線を離れる理由とは――
「手術の現場に身を置きつづけると、後進指導は避けて通れない課題です。一方、消化器外科分野では、この十数年で、開腹手術から腹腔鏡下手術へと技術のパラダイムシフトが起きています。私は、まず開腹手術で鍛えられ、キャリアの途上で腹腔鏡技術を身につけた世代です。
40代に入り、自身の50代を想像し、指導者としていかに貢献できるかを考えるようになりました。すると、これからの主流である腹腔鏡を次の世代に伝えるのは自分の世代の役割ではないし、私の仕事ではないなと思えたのです。
腹腔鏡の指導ができないわけではない。しかし、準備の膨大さが非効率だ。この道はないと判断しました」

開業してチャレンジしてみたいテーマとは――
「予防と早期発見です。
私は、消化器外科医として数多くのがん患者さんを担当しました。がんの外科治療というものは、医師の技量も肝要ですが、それ以上に発見時のステージが命を左右します。ステージの進行した患者さんを何人も担当するうち、『ああ、こうなる以前になんとかできなかったのか』という思いが少しずつ蓄積されたように思います。
現在では一般認知もかなり深まっていますが、がんは、本当に『早期に発見できれば、かなりの高確率で助かる』時代なのです。治療の最後の手段であることの多い外科治療に取り組んできた者が、最上流ともいうべき早期発見に目を向けるのは、私としては『さもありなん』なことです。
がんは早期発見が最強の武器といえますし、視野を生活習慣病にまで広げれば予防も同等の価値がある医療です。予防と早期発見を軸にして、地域の皆さんの健康に貢献できれば医師冥利だとの考えが膨らんでいきました」

納得できるまで、患者さんとゆっくり話す医療をしてみたい

“バリバリ”の勤務医、外科医であった松本氏が心にためていた思いはほかにもあった。
「納得できるまで、患者さんとゆっくりと話す医療をしてみたい。
手術を担当すれば、術後の病床に赴き、それなりにお話しする時間も作れますが、総合病院の外科所属の身では、外来で思う存分の診療は叶いません。周知のとおり、どうしても、数をさばくことが懸案になってしまいますから。また、内科で診断のついた患者さんを受け入れるケースが多いため、臨床家として求められる問診スキルに偏りが出るという点も、暗に不満だったのかもしれません。
そういった諸々が、ブレイクスルーを求めることにつながっていたように思います」

そのような考えが明確になったのは、2018年の開業から遡って数年前だったとのこと。以来、外科診療部長だった松本氏は、心がけるようになったことがあった。
「現代では、総合病院の診療科部長には地域医療連携の連携先獲得、維持が大きなミッションになっています。板橋中央総合病院の外科診療部長も例にもれず、連携先となってくださるクリニックの先生と密なコミュニケーションを取るのが大事な業務の一つでした。そういった機会を通じて、クリニックとは? クリニックの医師とは? また、クリニックの運営といった事柄を、観察するよう心がけました。
2017年に入ると、理想像に近いクリニックの先生には、率直に教えを請うようにもなりました」

ここに、実質的な開業準備が始まったということになるだろう。教えを請うた先生方は、どの方も懇切丁寧に疑問にこたえてくれたとのこと。
「ご縁があった先生のお一人が、開業にあたって総合メディカルさんのコンサルテーションを受けていたことが、私と同社が手を携えるきっかけになりました。信頼のおける先輩が推奨してくださるコンサルタント会社ですから、安心してお付き合いを始められました」

開業計画をサポートしてもらうなかで、専門家の有益さを実感する局面がいくつもあったとのこと。
「なんといっても、各分野に専門家、プロが待ち受けていてくれるのは心強かった。疑問を投げると、心地よいスピードで的確なこたえを示してくれました。特に記憶に残っているのは、開業までの行程のシミュレーション。理解しやすく、すばらしいものでした。施設設計チームの仕事にも、たいへん満足しています。決して広くない床面積をとても上手に使って、私の要望を見事にかたちにしてくれました」

手術だけの人という外科医への誤解 地域医療で発揮される本当の実力

内視鏡検査室

一般認知として、外科医は手術しかしていないと思われがちだ。いたしかたなしの表情を見せながら、松本氏は語る。

「疾患の基礎知識なしで外科治療などできないわけですから、メスを振るうだけが外科医というのは誤ったイメージですね。私の場合も、たとえば、専門としていた肝疾患は広く、深く学んでいます。肝炎ウイルスや自己免疫性肝炎などは、かなりの数の診断を経験しています。
加えて、治療に欠かせない技術として胃カメラや大腸内視鏡、さらには超音波検査などの検査技術も習得しています。特に内視鏡に関しては、個人的な志として、若い頃から力を入れて学びました」

肝疾患の専門性と検査技術の高さは、クリニックの武器になる――おぼろげに描いていたイメージは、開業後に当を得た視点だったと証明された。
「肝臓を専門とする先生も、下部消化管内視鏡(大腸内視鏡)を得意とする先生も、あまり多くないのだとよくわかりました」

冒頭で「口コミへの実感」に触れたが、地域コミュニティに、まつもとクリニックのどんな特徴が口伝えされたのかがわかってきた気がする。

開業してわかった、自分のペースでおこなう医療の充実感

陽光が入り明るい受付

開業に際しての幸運は二つ。一つは、板橋中央総合病院のすぐ近くにクリニックを開設し、同院と良好な連携関係が築けている点。もう一つは、内視鏡の運用に長けたスタッフを当初から確保できた点。
「内視鏡検査および治療(ポリープ切除など)には、専門知識と技術をもったスタッフのサポートが欠かせません。技量のあるスタッフをいかに確保しようかと悩み始めた時、在職中に私を助けてくれていた看護師さんが、私のクリニック予定地の近くに住んでいるとわかり意気投合。私のもとで働くことをすぐに決めてくれました。
開院当初から理想の体制を築けた幸運は、とても大きいと考えています」

ところで、「納得できるまで、患者さんとゆっくりと話す医療」は実現できているのだろうか?
「はい、十分にできています。充実した気持ちで日々の診察にあたっています。約1年、実践してみて気づいたのは、『自分のペースでおこなう医療の充実感』がいかに大きいかということでしょうか。いずれにしろ、開業してよかったと心から思っています」

処置室

患者さんに寄り添い、臨床家としての充実感に満ちた風情を賞賛すると、さえぎりのポーズで言葉が発せられた。
「ただ、誤解してほしくないのはヒューマニズムだけの医療を進めるつもりはないことです。
私は、『医学は科学』であるのが大事と信じています。エビデンスを裏づけにせずに医療を施すようなことは、あってはなりません。市井で、単身でできることには限りがありますが、私自身、科学者の一人として、科学する姿勢は失わないよう心がけています。
たとえば切除したポリープの見立てと病理診断が合致しているかどうかを注意深く分析したり、ピロリ菌治療の統計をまとめたり、可能な範囲で取り組んでいます。この信念は、終生変わらないと思います」

まつもとクリニックがどんな骨格で、どんなフォルムを成し、どこへ発展していくか。明快にイメージできる言葉だ。隆盛の時は、遠くないと思えた。

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