それを見つけたら治療はかなりのところまでできています。薬は補助であり、心理的な原因を患者さんと共有し、克服する手助けをすることに主眼を置こうと思いました。これは私自身の医師や人としての経験、介護者・保育者などさまざまな立場で人を見てきた集大成であり、大学病院という科学至上主義のようなところで医師をやってきた割には、最後はここに至りました。
こうした診療方針での「こだわり」を支える環境がすなわち、この内装です。患者さんができるだけ落ち着いて癒され、なおかつ明るい気持ちになれるような空間を演出しています。
デザイン事務所の方には、私のイメージを写真や音楽で伝え、それを形にしてもらいました。留学していた米国サンディエゴの海と芝生の風景写真を見せ、マイルス・デイヴィスの「Blue In Green」という曲を聞いてもらいました。そのうえで内装を設計してもらったのです。