福岡バースクリニック(福岡県)の医院開業事例


外観


内装

開業タイプ 新規開業
所在地 福岡市西区
科目 産科、婦人科、麻酔科
病床数 19床
福岡バースクリニック
〒819-0006 福岡県福岡市西区姪浜駅南9-18-21
TEL:092-883-0530
http://www.f-bc.jp/

インタビュー

開業のきっかけを教えてください。

院長 北篠 哲史氏 大学病院の産科に長く勤務する中で、特に問題のなさそうな妊婦さんが来院されたり、診療所から紹介されるケースが多くありました。先進医療を担う大学病院は、危険が伴うような妊婦さんを担当すべきなのに、それに専念できない上に慌しいのは、地域の診療所が少ないためだと気づきました。2008年ころから、地域の産科機能を整える一翼を担いたいと、開業を意識し始めました。クリニックでも対応可能な妊婦さんはできるだけ自分が診て、地域の各機関が機能に合った医療を提供できるようになればと考えるようになりました。

とは言っても開業は、父の存在が非常に大きかったことは否めません。父は沖縄で産婦人科を開業しており、私自身、医師になる際、疑問に感じることもなく産婦人科を選択しました。その当時も産婦人科を選択する人は少なかったのですが、父の医院を継ぐのであれば当然だと思っていました。父は、開業医として全うすべき、かつ、対応しうる医療は最大限自分が行うべきだという姿勢で取り組んでいます。私は福岡で開業しましたが、診察の姿勢は父を手本にしていると感じています。
開業にあたって苦労したことはありますか?

中庭。建物には大きなガラス窓を配置し、採光や換気を工夫している。 経営は全くわからない状態でのスタートでした。経営の本を読んでも、実際イメージできませんし、診療しながらの準備はとても大変でした。金融機関からの紹介で総合メディカルの方と知り合ったことで、かなりスムーズに進むようになりました。

総合メディカルさんには、開業場所を選定するための診療圏調査から依頼しました。開業したこの場所は、福岡市外からの人口流入が増えていますし、若い人が多いという特徴があるにもかかわらず、分娩施設が存在していませんでした。また、看護師や助産師、事務スタッフ募集についても、協力してもらいました。当院は現在、事務長を置いていませんが、総合メディカルさんが運営のパートナーとして機能してくれているので、とても助かっています。
地域になじむのに苦労はありませんでしたか?
当院は住宅街の一角での開院ですから、地域に溶け込むことを第一に考えました。高層の建物は地域から浮き上がってしまうので、3階建てに抑え、大きなガラス窓を多く使用し、院内の様子が見えるようにしました。敷居が高いと思われないように、地域を遮断しない雰囲気作りを工夫しました。いずれは地域の中でのコミュニティ施設の役割も担えるようになればと願っています。

1階部分は受付や多目的ホールを置いています。妊婦さんだけでなく、地域の女性の「体がだるい」などの症状でも入りやすい雰囲気を心がけています。診療部分は2階に集中し、3階は病室のほか、カフェやアロマルームなどを配置しています。妊婦さんは病気ではありませんから、アロママッサージのサービスなどを通じて、できるだけ入院を意識させないような工夫をしています。

  • 1階の多目的ホール。ヨガや離乳食教室等を開催する。

  • 3階のカフェコーナー。入院生活を意識させない癒しの空間になっている。

  • ゲストルームは全室にインターネット回線、シャワー、クローゼット、冷蔵庫を完備。
福岡バースクリニックの特色は何でしょうか?

助産師外来。妊婦さんの体や心の不安を受け止めている。 妊婦さんが納得できる分娩法を選択できるよう心がけています。医療者が、一方的に押し付けることは禁止。できるだけ自然な形で分娩できるように支えていきます。妊婦さんの体に少しでも問題がある場合、医療者にとって一番楽な方法は帝王切開です。しかし、当院では、帝王切開せずに分娩するチャンスを出来るだけ探ることを大切にしています。そのためには、妊婦さんと何度も何度も話し合います。時間と手間はかかりますが、妊婦さんの納得を得られていると感じています。

助産師・看護師の年齢が全体として若く、それゆえ自分たちで良いものをつくりあげていこうという姿勢で日々診療にあたっていることも特色です。開業に当たって、大学病院から一緒についてきてくれた助産師たちが特に心強い。私の言いたいこと、やりたいことをよく知っているので、全てを言わなくても感じとり、妊婦さんに伝えてくれる存在です。また、妊婦さんにとっても、男の私には言いにくくても、助産師・看護師たちには多くのことを相談しているようです。

この6月から、助産師外来をスタートさせました。開業時から取り組みたいと思っていたことを、やっと手がけられるようになりました。助産師外来では、出産の心配ごとや家族との関わり方など、妊婦さんの悩みを丸ごと受け止めています。妊婦さんの助産師への信頼がとても厚いと実感させられています。
妊婦さんだけでなく、出産後の方へのケアも手厚いようですね。

マタニティヨガ。妊娠に伴う腰痛などの不快な症状も緩和する。 妊婦さんと話をしていると、妊婦さん同士のつながりを求めていることが感じられます。ですから、マタニティヨガだけでなく、産後ヨガの時間を設け、母親同士のつながりの場も提供するようにしています。
また、母親教室や母乳外来、離乳食教室などを通じて、当院との信頼関係を出産後も継続するように工夫しています。
現在の課題と今後の取り組みを教えてください。
現在、外来は1日約90人、分娩件数は月50件程度です。医師は2人体制ですので、比較的余裕を持って妊婦のニーズを受け入れることが可能になっています。診療方針に迷った時に相談できる医師が近くにいるということも、妊婦さんの状況に合わせて支援ができる基盤だと思います。医師が私一人だったら、このような体制は難しいと思います。

開業から2年、まだまだ奮闘中というところです。助産師・看護師は現在22人ですが、スタッフの増員が必要です。産科のやりがいをぜひ若い方にも感じてほしいと、看護学校の実習も受け入れ始めました。新卒の方は、大病院で経験を積むことを望みますが、当院も医療行為に関しては引けをとらないと自負しています。当院で働くことが、産科医療のスキルアップにつながることを示していきたいと思います。

産科の医師は減少していますが、私自身はとてもやりがいを感じています。地域で頼りにされるクリニックとなれるよう、取り組みを充実させていきたいと思います。
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