ここから始める医院開業

【第5回】 開業資金

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医院開業準備のポイントをお伝えしてきた「ここからはじめる医院開業」も5回目を迎えます。1~4回目は経営理念、開業時期、開業スタイル、開業地の選定についてでした。開業意志にブレがないか、大きな疑問や未解決事項がないか、ご家族や周囲の理解と支援が得られていることを再度確認しましょう。 今回は、開業資金についてです。医院を開業するということは、医療者であるだけでなく、経営者(事業主)になるということです。そこで直面する「初期投資と運転資金」と「金融機関からの融資」という経済的課題について見ていきましょう。

1.初期投資と運転資金

■開業のための資金はどれだけ必要か?

「開業資金として想定しておくべき金額はどのくらいだろうか?」と、予算組みの際には多くの先生方が思案に暮れることと思います。一説には、戸建て開業で1億円以上、テナント開業ではその半分ほどと言われることもありますが、当然開業地の地価相場や標榜される診療科、見込まれる診療報酬などによってもその額は変動します。つまり“○千万円ぐらい用意しておけばOK”などと軽々と断言できるものではない、ということ。結局のところ、先生ご自身で各々のケースに応じた開業資金を算定していくしかありません。ですが「いったい何を手がかりに見当をつけていけばいいのか…」という先生もいらっしゃるでしょう。

そこで今回は、開業資金の考え方・捉え方についてお伝えします。未来のクリニック経営者として、お金の話は避けて通れないもの。資金周りの基本的な枠組みをしっかりと整理して、間違いのない事業計画を立ててください。


■初期投資と運転資金を別々に考える

開業資金を予算組みする場合、まずは「初期投資」と「運転資金」に分けて考えてみるのが原則です。初期投資とは“イニシャルコスト”とも呼ばれ、テナント入居(あるいは土地・建物購入)関連費や内装工事費、医療機器・備品関連費、広告宣伝費など、開業までにかかる費用が主となります。これに対し“ランニングコスト”の別名を持つ運転資金は、開業したクリニックを営んでいくのに必要な費用。テナント家賃や人件費、リース料や水道光熱費、福利厚生費や交際費などがこれに当たります。

初期投資については、それぞれの業者からの見積りを合算していくことで比較的正確な金額をはじき出せますが、問題は運転資金です。診療報酬が支払基金から入金されるには、請求後約2ヶ月かかるため「運転資金は予想される支出の2~3ヶ月分を用意すべき」との説があるのですが、果たしてそれで良いのでしょうか。


■時間のギャップと損益のギャップ

たしかに2~3ヶ月分の貯えさえあれば、診療日と報酬支払日の「時間的ギャップ」は埋めることができるでしょう。しかしこれには、開業直後は支出が収入を上回ることが多いという「創業時特有の損益ギャップ」が考慮されていません。開業初月から黒字計上するクリニックばかりではないのです。

経営が軌道に乗るまでは利益どころか持ち出しが発生するケースも多いため、運転資金を「黒字経営に至るまでに積み重なった赤字を補填する予算」と捉える必要があります。家賃や人件費、リース料などの固定費負担が大きくのしかかってくるクリニック経営ですから、開業後半年か遅くとも1年後には軌道に乗せたいもの。つまりそこから逆算し、月毎の収支計画表の予想赤字分を積算していかなければなりません(予測精度を高めるなら、入念なシミュレーションに基づいたより細かな損益計算が必要となります)。

このように、開業資金のなかでも運転資金は開業直後の経営状態を左右する大切なコストです。時間のギャップと損益のギャップをきちんと勘案した上で、ある程度余裕のある金額に設定しておいて下さい。たとえ低収入の時期があろうとも「お金がない!」という逼迫した状況だけは避けられるはずです。

2.金融機関を納得させる事業計画

■事業計画の原型は頭の中に

「融資を受けるための事業計画」と聞くと、なんだか小難しい専門的なもののように感じられる先生もいらっしゃるでしょう。あるいは「どう計画を立てればいいのかサッパリ分からない…」というご意見もちらほら。ですが必要以上に難しく考えることはありません。最終的には税理事務所やコンサルティング業者などの手を借りて立派な書類の形になるかもしれませんが、そもそもはクリニックにかける先生の想いや将来の展望を伝えるためのもの。

つまりその原型はすでに先生の頭の中にあるはずなのです。まずは箇条書きレベルで良いので、ご自身が開業することの意義やクリニックの将来像、収益目標などについて書き出し、整理してみましょう。文章化・数値化することで、漠然としていたプランがだんだんと姿を現していくことでしょう。もし計画書の作成を業者に依頼するつもりでも、このアイデア整理の行程だけはぜひご自身でなさって下さい。より精度の高い計画書が最初から期待できますし、融資の審査面談時にも慌てることなく受け答えが可能となります。


■計画は徐々に練り上げていく

頭の中の整理がついてきたら、事業計画の大枠を策定してみましょう。もちろん、いきなり完璧なプランを目指さなくても結構です。「どこから見ても隙のない構想にせねば」と肩肘張るのではなく、まずは「計画の足りない部分を発見するため」ぐらいに捉え、お知り合いの開業医やコンサルタントなどに相談しながら練り上げていくことをお薦めします。

大雑把に言うと事業計画は、経営基本計画・資金計画・収支計画から構成されます(もっと細分化する考え方もありますが、最初はこのぐらい大まかに捉えていた方が分かりやすいでしょう。)経営基本計画とは、経営理念や診療内容、開業場所など、クリニックの根幹に関わる部分。「なぜこの場所にクリニックを開設するのか」「どのような診療で地域に貢献しようと考えているか」が明確に伝わるようにしておく必要があります。同様に、資金計画・収支計画には、「開業にあたって、何にいくらのお金が必要か」「それらをどう調達するのか」「どれくらいの利益が見込めるか」「返済スケジュールはどうなるのか」などについて明らかにしておかなければなりません。


■貸し主の視点で計画を検証

これまでの実績がないため、開業時の事業計画は「未来予測」の側面が非常に強くなります。すなわち融資を受けようとする際は、担当者を説得できるほどの客観的な根拠が必要だということ。しかしだからといって「お金のプロを説き伏せるなんて…」と匙を投げることはありません。逆に先生が開業志望者へご自身の資産からお金を貸すとしたら…、と想像すると良いでしょう。

クリニックの優位性や将来性、利益率や返済能力について具体的な数字の裏付けが欲しいと思うはずです。この「貸し主サイドに立った時に自然と湧き上がる疑問」について妥当性のある解答を先回りして用意しておくことが“融資成功率の高い事業計画”の秘訣と言えます。確かな予測の数々で綿密に練られたプランほど、実現可能に思えるものです。ご自身の事業計画をチェックする際は、借り主だけでなく、貸し主の視点でも検証しておくことを強くお薦めします。

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