開業までの流れ

STEP11/職員の求人・採用・研修

このステップですべきこと

このステップですべきことのイメージ
  • スタッフ募集の際は、クリニックの地域性や専門性などを考慮して採用計画を立てる
  • 法的な制約がなくても、就業ルールや就業規則を文章化しておく
  • 開業前には、診療シミュレーションや医療機器の使い方、マナーなどの研修を行う

求人募集は地域性に合った方法で行う

クリニックの運営は、医師の腕だけでは成立しません。
看護師はもちろん、受付や事務、場合によっては助手や検査技師など、スタッフの総合力とチームワークで成り立つものです。
しかし、人材の管理や募集などに関わった経験を持つ医師は、実は少ないのではないでしょうか。
ここでは、開業時の求人と採用を成功させるポイントを見ていきましょう。

診療を円滑に進めるために必要なスタッフ数を決めたら、ハローワークや民間の求人サイト、折り込みチラシなどを通じて、募集をかけます。
この際、どの媒体にどう求人広告を出すかなどは、クリニックの地域性や専門性などを考慮して計画を立てることがすすめられます。
たとえば、住宅街にあるクリニックであれば、インターネットからの募集だけではなく、チラシのポスティングなども有効です。求人と同時に、クリニックの開業告知にもなるというメリットもあります。

診療方針や経営理念の実現に力を発揮してくれる人材を探す

スタッフの選別や面接の際には、どんな点を重視するべきでしょうか。
職業的に優秀で、人柄がよく、コミュニケーション能力の高い人と働きたいのはもちろんですね。しかし、それだけでは不足があります。
大前提として、院長の診療方針や経営理念、クリニックの将来像といったビジョンをよく理解し、納得した上で、力を発揮してくれる人であるかを見極めることが大切です。

ですから、面接の際には、職歴や条件面について話すだけではなく、医療に対する姿勢や、診療方針をどう受け止めているかなどについて質問することが重要です。

また、面接の待ち時間などには、簡単なアンケート用紙などに、直接記入をしてもらうこともおすすめです。
直筆の文字や文章からは、見た目の印象や、時間をかけて書き込んだ履歴書の内容だけでは伝わりにくい、人となりや性格などを感じ取れることがあります。

就業規則は求人・採用の前に文章化しておく

就業規則は求人・採用の前に文章化しておくのイメージ

採用後の就業規則などは、法的には設定が必要のない規模のクリニック(労働者10人未満)でも、募集や面接を行う前に文章化しておくことがおすすめです。
人事労務に関する取り決めは、よい職場づくりのはじめの一歩です。面接で応募者から口頭で確認をされた際なども、慌てずに回答できるでしょう。
厚生労働省労働基準局監督課が「モデル就業規則」を公表しているので、参考にしてください。

診療方針や経営理念についても、明文化して、共有できるようにしておきましょう。
診療方針などは、医師やスタッフ間で常にコンセンサスをとり、再確認しあうことが、実践に繋げるためのカギになります。
日々の仕事への姿勢やクリニックのカラーを保つためにも、わかりやすく伝えられるようにしておくことが重要です。

ここに注意

募集時に労務に関する条件やルールを明確にしておかないと、開業直後にいきなりつまずいてしまう可能性もあります。

たとえば、とあるクリニックでは、診察の受付時間をそのまま就業時間として、受付スタッフを採用していました。
当然、診療時間の前後には準備や片づけなどが必要ですから、受付スタッフに残業が発生して、予算よりも多くの人件費がかかりました。
その後、仕方なく就業時間を変更したものの、「採用時の条件と違う」と、受付スタッフから不満が噴出するといった事態に陥ったのです。

同様に、就業規則を決めていなかったため、退職や解雇についての明確なルール設定がなく、スタッフが辞めるときに条件などが折り合わず、問題が発生するなどのリスクもありますので、慎重に検討しましょう。

丁寧な募集、面接、研修は働きやすい職場環境につながる

丁寧な募集、面接、研修は働きやすい職場環境につながるのイメージ

スタッフを雇い入れたら、開業前の研修も必要です。
各人がそれぞれにキャリアを積んできていたとしても、新しいクリニックでの作業やレイアウトに慣れる必要があります。

開院までの期間には診察シミュレーションや患者さんへの接遇マナーのほか、医療機器・電子カルテのレクチャー、衛生講習、個人情報保護に関する講習などを行います。
スタッフ同士も普通は初対面のはずですから、全員のチームワークを成立させるためにも、個別研修だけではなく、実際の診療時間を想定した研修などが行えると望ましいでしょう。

接遇マナーについては、マニュアルを学習してもらうのではなく、患者さんへの接し方や言葉遣いなど、基本的な部分を客観的に確認しておいたほうが安心です。
多くの患者さんからは「クリニックのスタッフの印象=クリニックへの印象」として受け止められ、受診時の満足度に直接反映されます。

これらの研修についても、人材育成などを先導した経験のない医師が一からカリキュラムを作り、実践するのは、非常に手間のかかることではないでしょうか。
総合メディカルでは、地域性に合った求人の開始から、書類選考、面接、採用後の研修まで、一貫した支援を行っており、就業規則の試作や、各種管理諸規定の制作支援なども可能です。
細かなところでは、面接への立ち合いや、人選などのご相談にもご希望によって応じています。

また、総合メディカルでは、採用時の適性検査のサービスも提供しています。

  • 適性検査とは……採用選考対象者の課題決定能力や課題処理能力などを知る検査テスト。個人の特性を測定し、職務行動を予見するための客観的な判断に役立つ。

面接や研修を丁寧にきめ細かに行うことは、「自分はよいクリニックのメンバーである」というスタッフの自覚や意識づけにも役立ちます。これは、開業後の仕事の質やモチベーションを保つことにもつながる、大切なポイントといえるでしょう。