開業までの流れ

STEP04/不動産の選定・仲介

このステップですべきこと

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  • 戸建てクリニックやテナント物件、医療モールなどを比較・検討する
  • テナント物件の場合、クリニックに適している物件であるかを事前調査する
  • 医療機関の知識のある不動産仲介業者に仲介を依頼する

それぞれのメリット・デメリットから適した物件を選定する

クリニックを開業するための物件には、大きく分けて「戸建てクリニック」と「テナント物件(ビル診療所)」があります。

戸建てクリニックには、土地を購入して新築物件を建てるケース、土地を借りて新築物件を建てるケース、オーナーに物件を建ててもらい土地ごと借りるケース(建て貸し)、さらに自己所有の土地への新築や自宅を改装するケースなどがあります。資金や開業地に左右されますが、比較的自由度が高い設計が可能です。

また、いわゆるビル診といわれるビル診療所は、すでにあるビルにテナントとして入居して開業するものです。戸建てに比べて初期費用が安く抑えられることが多く、都心や駅前での開業ではテナント開業が多いです。
しかし、使用できるスペースや給排水、電気容量等によっては、開業する診療科に適していない場合もあります。さらに、駐車場の確保が困難な場合も少なくありません。

ほかに、医療モールなどの計画物件への入居、継承開業といった選択肢もあります。それぞれのメリット・デメリットと、開業するクリニックの理念・方針を照らし合わせ、適した物件を選びましょう。

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  メリット デメリット
購入
  • 自由に設計・建築ができる
  • スペースに余裕がある(将来の拡張など)
  • 駐車場を設けやすい
  • 初期投資が高額になる
  • 建築工期が長い
建て貸し
  • 自由に建築・設計ができる
  • 比較的初期投資が少ない
  • 契約が長期となる
  • 家賃負担が割高
  • 建築工期が長い
テナント物件
(ビル診療所)
  • 初期投資が少ない
  • 建築工期が短い
  • 医療専門でない場合が多く、諸所に制限がある
  • 駐車場、駐輪場の確保が困難
  • 貸主の都合に合わせる必要がある
オススメ
医療モール
  • 地域に認知されやすい(集患力)
  • 施設、設備の供用ができるケースがある
  • 診診連携等の相乗効果がある
  • 医療機関開業適地としてすでに調査されている
  • 他クリニックの影響を受ける事がある
  • 科目によっては競合する可能性がある
  • 共通ルールが存在する事がある(休診日、診療時間、駐車場など)
オススメ
継承開業
  • 低コストの開業が可能、投資リスクが少ない(内装費や医療機器等の投資が安価)
  • 従来の患者さんを引き継ぐ事ができる
  • 開業までの準備期間が短い
  • 既に周辺地域で認知度が高い
  • 医師会への入会や銀行融資がスムーズ
  • 規模や診療方針が一致しないことがある
  • 営業権(のれん代)が発生する事がある
  • 継承時期が合わないことがある
  • 施設老朽化が著しいことがある
  • バリアフリーなどの対応が難しいことがある

テナント物件はクリニックを前提とした事前調査が必須

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戸建てクリニックを新築する場合、土地を借りたり、建て貸し物件を借りる場合は、それが何年契約であるか、契約期間満了後の再契約が可能かどうかといった条件をきちんと確認しておきましょう。また、建築に条件がある土地などもありますので注意が必要です。
なお、新築にあたっては、戸建ての医療機関を扱った経験や実績の多い設計会社を選ぶことをおすすめします。

テナント物件の場合、さまざまな制約があるため、事前に詳細な調査が必要です。
賃料や面積、築年数、構造などの目に見えやすい項目だけでなく、実際に開業する際の設備や動線にも注意が必要です。物件によっては、クリニック開業に適さないものや予定外の工事などが必要になることもあります。クリニックを開業する物件として、特に注意すべき点は下記のとおりです。

  • 天井高
    医療機器や無影灯、天井走行型レントゲン装置など、設置する機器が必要とする天井高を満たしているか
  • 電気設備
    使用する医療機器に必要な分の電気容量、コンセントが確保できるか
  • 給排水設備
    トイレ、流し台、手洗い場などが必要な分設置できるか
    (患者用・スタッフ用のトイレが確保できるか、動線が被らないか)
  • 空調・換気設備
    各部屋に給気・換気設備を設けることができるか
    エアコンの設置に支障はないか
  • 消防設備
    テナント物件のビルに定められた消防設備のほか、新たに必要となる設備が用意できるか
    スプリンクラーの設置義務があるか・用意できるか

また、不動産仲介についても専門業者に依頼することをおすすめします。特に、医療モールや継承物件などを知識のない不動産業者が仲介すると、話が行き違っていたり、追加費用が発生したりと、後々トラブルとなるリスクがあります。

ここに注意

広さやアクセス、築年数などが気に入ったテナント物件。「クリニック開業に適している」「他にも開業を決めた医師が内見をしている」といった不動産業者の言葉に安心し、事前調査をせずに契約を決めてしまったが、いざ医療機器を入れる際に想定していた場所に収まらず、追加工事をすることになってしまった。

上記のような失敗は、意外と珍しいことではありません。また、築年数が経っている物件などではアスベストが使用されていることなどがあり、契約後に発覚すればトラブルの原因にもなります。契約の前に、必ず調査することが不可欠です。

不動産仲介から事前調査、設計施工までを一貫管理

不動産仲介から事前調査、設計施工までを一貫管理のイメージ

総合メディカルでは、不動産仲介、物件の事前調査、設計・施工まで、すべて自社内および関連会社で行うことができます。それぞれの業者が密に連携をとっているため、業者との打ち合わせに関する日程調整もスムーズに行え、また、業者間の行き違いによる誤解や連絡ミスなどの心配もないので、安心して物件探しをご相談いただけます。

物件の事前調査については、関連会社の医療・介護施設専門の企画・設計・施工事務所「ソム・テック」と連携して行います。医療機関として使用可能な物件かどうか、医師の求める医療提供が可能かなどを医療機関設計のプロの目線で調査するため、契約後のトラブルを回避する準備が可能です。

物件選びでは、すべての要望が叶えられるベストな物件に出会うことは難しいものです。だからこそ総合メディカルでは、医師が望む条件のうち、優先されるべきもの、他の要素でカバーできるものなどを見極め、その医師にとって最適な物件をご提案しております。